中国中心都市指数2017
1.<中国中心都市指数>とは
世界が大都市、メガシティの時代に入った時期は、ちょうど中国の改革開放期と重なった。この間、中国は「アンチ都市化政策」から、「小城鎮発展政策」へ、そしてメガロポリスを基本形態とする「新型都市化政策」へと政策をシフトさせた。中国も大都市化、メガシティ化の過程をたどり始めた。
1980年から2015年、中国の都市人口は3.8億人増加し、同時期の世界都市人口増加総数の30%を占めた。上述したように1980年から2015年、全世界で都市人口が100万人以上増えた都市は274都市にも達し、それら都市で7.8億人もの人口が増えた。それに対して、同時期中国で都市人口が100万人以上増えた都市は72都市にのぼり、その数は世界の26.3%に達した。さらにこれら中国の都市で増えた2.3億人の人口は世界での上記274都市の人口増加分の29.5%に当たった。
同時期250万人以上増えた都市に絞って見ると、世界全体では92都市あるうち、中国は30都市に達し、その数は世界の3分の1を超えた。中国の同30都市での人口は合わせて1.7億人増え、世界同92都市の人口増加総数の33.4%をも占めた。
さらに同時期、世界で都市人口が1,000万人以上増えた都市は11都市あり、そのうち中国は半分近くの5都市あった。
上述した分析で明らかになったのは、中国の急速な都市化、大都市化、メガシティ化と世界の趨勢とが合致していることである。
さらに注目すべきは、中国で都市人口が250万人以上増加した30都市はすべて直轄市、省都と沿海都市に集中していることである。上述の大都市化と中心都市、沿海都市との関係の分析および推論に完全に一致している。
これは世界の他の大都市の発展と同じメカニズムが、中国の大都市の発展をもたらしたことを意味する。中国の都市の大発展は、グローバリゼーションの産物である。
今日、上述した中国30都市の常住人口総数と戸籍人口総数との差は、7,022万人に達した。言い換えれば、今なお7,000万人を超える外来人口が、この30都市に住んでいる。大量の人口を吸収したこの30都市は、中国全国のGDP、貨物輸出総額、海外旅行客数、特許取得数それぞれに占める割合が、39.2%、67.0%、58.1%、56.4%と極めて高い。また、中国全国の上場企業(メインボード)の66.3%も同30都市に集中していた。まさにこの30都市が改革開放以来の中国社会経済の発展を主導したことが見て取れる。
大都市化、メガシティ化の本質は中心都市間の国際競争にある。地域的で国家的かつ世界的なセンター機能の強化を通じて、人材、資本、企業の吸引力を高めることが、中心都市競争の肝腎要である。
従って、都市のセンター機能をいかに正確に評価し、強化するかが、極めて重要となってくる。
こうした認識に立ち、雲河都市研究院は〈中国都市総合発展指標〉を基礎に「中国中心都市指数」を研究開発し、中国都市の主要なセンター機能を評価する手法を確立した。
「中国中心都市指数」は〈中国都市総合発展指標〉の中で、センター機能評価に比較的関連が強い指標を抽出し、新たに「都市地位」「都市実力」「輻射能力」「広域中枢機能」「開放交流」「ビジネス環境」「イノベーション・起業」「生態環境」「生活品質」「文化教育」の10大項目に組み直した。さらに、この10大項目ごとに3つの中項目を置き、各中項目指標をいくつかの指標データで支え、中心都市を評価する指標体系を作った。
2.中国中心都市指数総合ランキング
「中国中心都市指数」の総合ランキング上位37都市に、すべての直轄市、省都および計画単列市がランキング入りした。また、こうした「肩書き」を一切持たない蘇州もこれに加わった。
中心都市ランキングトップ37位の都市は、中国のGDPの40.7%、特許取得件数の54.4%、貨物輸出の59.9%、海外旅行客数の55.3%を占めている。さらにこの37都市には、現在合わせて6,338万人の非戸籍人口が生活している。37都市は、全国の25.4%の人口を持つだけでなく、全国の42.7%のDID人口も持つ。膨大で高密度の人口と強大な中心機能が、巨大な創造力を醸成した。この37都市に全国72.4%の上場企業(メインボード)が集まり、中国社会経済発展を力強く引っ張っている。