雲河都市研究院は、「中国都市総合発展指標2019」を発表した。これは2016年以来4度目の「中国都市総合発展指標」に基づいた中国都市ランキングの発表となる。同指標が中国全国297の地級市及び以上の都市をカバーしたことで、全ての都市が自らの立ち位置や成績を見ることができるようになった。
〈中国都市総合発展指標〉は雲河都市研究院と中国国家発展改革委員会発展戦略和計画司が共同で開発した都市評価指標システムである。同指標の特徴は環境、社会、経済の3つの大項目から中国の都市発展を総合的に評価するところにある。各大項目の下に3つの中項目を置き、各中項目は3つの小項目に支えられる。見事な3×3×3構造になっている。また、小項目は数多くの指標データにより構築される。2019年度ではさらに、これらの指標データが878組の基礎データより構成されることとなった。
これら基礎データは、統計データだけではなく、衛星リモートセンシングデータやインターネットのビッグデータを3分の1ずつ取り入れている。「中国都市総合発展指標」はある意味では五感で都市を感知するマルチモーダルインデックス(Multimodal Index)である。これは世界でも初めての斬新なスーパーインデックスである。
1. 総合ランキング
北京が4年連続総合ランキングで第1位を獲得。上海が第2位、深圳は第3位
「中国都市総合発展指標2019」総合ランキングトップ10都市は、北京、上海、深圳、広州、重慶、杭州、成都、天津、南京、武漢である。この10都市は5つのメガロポリスに分布している。長江デルタメガロポリスに3都市、珠江デルタメガロポリスに2都市、京津冀メガロポリスに2都市、成渝メガロポリスに2都市、長江中游メガロポリスに1都市ある。
総合ランキングではトップ4の北京、上海、深圳と広州は、総合実力が抜群で、連続4年間各々の順位を守り抜いた。4都市其々で見ると、首都北京は社会大項目で他の追随を許さない優位性を持つ。魔都上海は経済大項目で全国トップの座を揺るぎないものとした。新興スーパーシティ深圳は経済大項目におけるパフォーマンスに特に秀でている。由緒ある貿易都市広州は三大項目それぞれの成績のバランスが良い。
重慶は総合ランキングで天津と杭州を超え、2018年の第7位から第5位に上り詰めた。相反して天津は、2018年の第5位から第8位へと後退した。成都と南京は各々順位を1つずつ上げて第7位、第9位になった。これに対して武漢は順位を一位下げて第10位となった。杭州は第6位の座を守り抜いた。
2. 環境大項目ランキング
深圳は環境大項目で連続4年首位、上海と広州は各々第2位、第3位へと躍進
二酸化炭素排出量を中国の都市評価に取り入れることは、「中国都市総合発展指標2019」の一大進化である。長年の努力により雲河都市研究院は、衛星リモートセンシングデータの解析とGISの分析を用いて各都市の二酸化炭素排出量を正確に算出した。これにより都市評価の精度と分析幅を大幅に上げた。勿論、二酸化炭素排出量を取り入れたことにより総合ランキング、とりわけ環境大項目ランキングに一定の影響を及ぼした。
「中国都市総合発展指標2019」環境大項目ランキングトップ10都市は深圳、上海、広州、林芝、昌都、廈門、三亜、北京、日喀則、海口である。
深圳は4年連続環境大項目で第1位に輝いた。上海と広州は其々2018年の第8位、第7位から2019年には第2位、第3位に躍進した。対する北京は2018年の第5位から第8位へと転落した。
環境大項目ランキングで、チベットの林芝、昌都、日喀則の3都市がトップ10入りしたことは注目に値する。これはチベット各都市のデータ整備が進んだことから、「最後の浄土」であるチベットの、環境における優位性が現れた結果である。
これまで3年間、廈門、三亜と海口は、環境大項目ランキングの上位に名を連ねる沿海3都市であった。チベット勢3都市のトップ10入りのショックを受けてもなおトップ10内に留まった廈門、三亜、海口3都市は、其々第6位、第7位、第10位に踏みとどまった。
3. 社会大項目ランキング
北京、上海が連続4年間、社会大項目ランキングの首位、第2位に輝き、広州が連続3年間第3位に
「中国都市総合発展指標2019」社会大項目ランキングトップ10都市は、北京、上海、広州、深圳、杭州、重慶、成都、南京、武漢、天津である。
社会大項目ランキングでは連続4年間、北京が首位を、上海が第2位に輝いた。広州は連続3年間第3位を守り抜いた。
社会大項目は深圳のウィークポイントであった。本年度は大きな進歩を見せ、2018年の第8位から第4位へと躍進した。南京も前年の第10位から第8位へとアップした。
重慶、成都、武漢は社会大項目ランキングで2018年の順位を保持し、其々第6位、第7位、第9位であった。
杭州は前年比一位下がって第5位、天津は前年比で五位も下げて第10位へと転落した。
4. 経済大項目ランキング
上海が4年連続経済大項目ランキングで首位、北京、深圳も第2位、第3位を不動に
「中国都市総合発展指標2019」経済大項目ランキングトップ10都市は、上海、北京、深圳、広州、天津、蘇州、重慶、杭州、成都、南京である。
3つの大項目の中でも特に実力本位である経済大項目では、ランキング順位の変動幅が最も少ない。第1位から6位までの上海、北京、深圳、広州、天津、蘇州6都市が連続4年間、各々の順位を守った。杭州は連続2年間、第8位であった。
重慶は前年比で二位上げて第7位へ、南京は同一位上げて第10位となった。これに対して成都は二位下げて第9位へと滑落、武漢はトップ10外の第11位へと下がった。