
■ 編集ノート:
小手川大助氏は、財務官僚として金融機関破綻後の公的管理を担った。その後、産業再生機構を設立し、バブル崩壊後の処理に当たった。日本の金融危機の対応に継続して努めたのみならず、IMF日本代表理事としてリーマンショック後の世界金融危機に尽力した国際通でもある。東京経済大学の周牧之教授の教室では2025年5月22日、小手川氏を迎え、激動する世界情勢の現状と行方について伺った。

■ イギリスの介入が戦争を長期化
小手川:2020年3月29日にイスタンブールでウクライナとロシアが交渉をし、一旦合意した。しかしその5日後にイギリスのボリスジョンソンがキエフに行き、「もっと戦争しろ」と言ったのだ。
これは本当にひどい話で、あの時もし止めていれば、今ロシアが占領するウクライナ西側のケルソン、東側のマリウポリ、それからザポロージエを、まだ当時ロシアは占領していなかったので、今の状況に比べれば圧倒的にウクライナの領土は大きいままだった。ところが、ジョンソンの介入の結果、今日のようになってしまった
だから、それはイギリスが責任を全部取るべきだと私は思う。ちなみにこの時のウクライナ側の交渉官は、その1カ月後にキエフの街中で夜、轢死体で発見されている。
周:誰に殺されたかは分かったのか?
小手川:今でも分からない。おそらくネオナチの連中だろうと言われている。
欧米は嘘ばかりついていたが、ついにトランプが大統領になったこともあり、正直な意見を言う人が出てきた。今年3月の初めに『ザ・ヒル』という信頼できるアメリカの議会雑誌に、アランクーパーという大学教授が正直なペーパーを書いた。この人はもともと民主党のスタッフで反トランプで、軍事戦略と紛争管理が専門だ。
その人が「ロシアのウクライナ侵攻は防ぐことができた。一番責任があるのはゼレンスキーとバイデンだ」「これまでマスコミが一貫してロシアの侵攻は挑発されたものではないとしてきた論調は、全くの誤りだ」と言い、そこで大事な3つの理由を述べている。「ドイツ、フランスと一緒に打ち方止めの合意をしたのに、それをウクライナのネオナチが壊し、あのような事態になったということ。2つ目はミンスク合意を何回も違反したのは、ゼレンスキーだということ。そして2021年11月と12月にバイデンに対してプーチンが、『そろそろ堪忍袋の緒が切れるから何とかしろ』と何回も警告した。それに対してバイデンは何もしなかった」つまりすべて責任は彼らにあることを公に発表した。
周:ボリス・ジョンソンは、当時イギリスの首相だった。過去数百年、イギリスは一貫してヨーロッパでのまとまろうとする勢力を潰してきた。今回、ロシアとウクライナを戦わせる事に執念を燃やすのも、その一環だと思われる。ちなみに、ボリス・ジョンソンは、2016年イギリスのEU離脱を主導した人物だ。

■ 固定化するイギリス階級社会
周:イギリス年金基金の7〜8割が外国株を買っている。恐らく主にアメリカ企業の株を買っている。イギリス国内企業株を買うのは1割もいない。つまり投資先としての良い企業はイギリスに無くなっている。金融立国のイギリスは自国に投資しなくなった。これはイギリス経済の困窮ぶりを表している。
にもかかわらず、なぜイギリスは、ヨーロッパの中で最も戦争を煽るのか?同じ島国の日本からイギリスはどう見えるのか。
小手川:イギリスに残っている産業は金融業と兵器産業だけだ。イギリス製兵器のパーツを作っているのはスウェーデンだ。だからスウェーデンはいつもイギリスと同じような行動をする。ノーベル賞もそうした観点から選ばれる。例えばノーベル賞を受賞する中国人はことごとく中国政府に反対している人たちだ。
周:ノーベル賞はダイナマイトを開発し戦争で築いた巨万の富を元に設立された。とくにノーベル平和賞や文学賞などは反体制的なイメージも強い。トランプは自分が幾つかの戦争を終結させたことでノーベル平和賞を取ると訴えていたが、それはノーベル平和賞の本質を理解していなかったわけだ(笑)。
小手川:イギリスと日本の1番の違いは、イギリスが階級社会であることだ。貴族の称号を持っている人は、一生どころか永遠に保障される。
正確に言うと、イギリス人は土地の使用権しか持てない。すべての土地は国王陛下が持っているため、一般国民は使用権しか持ってない。だが、貴族たちは、その所有権を未来永劫何代にわたってずっと持っていられる。王室は表に出ない隠された資産をたくさん持っていて、それを使いWWF等さまざまなNPOの援助をしている。
日本との違いはイギリスが階級社会で階級間の移動がないため社会がものすごく固定化している点だ。低い階層に生まれた人は希望がない。
私がいろいろな場面で感じたのは、世界で一番日本人を嫌っているのはイギリス人だという事だ。めったに表に出さないが、何かのきっかけでイギリス人は、彼らが第二次世界大戦前一番進んでいた鉄鋼業、造船業、ミントンという有名な陶磁器さえ、日本との競争に敗れたと、日本側に被害感情を見せることがある。1990年代半ばに「フルモンティー」という映画があった。失業しガス自殺を図った若者が男性ストリップをして何とか暮らしていく悲惨な映画だ。イギリスの昔の工場地帯が舞台になっている。
周:「世界の工場」としてのイギリスにとどめを刺したのは日本だ(笑)。

■ アメリカを上手に抱き込んだチャーチル
小手川:もう少し古い歴史から紐解くと、ロシアの仇敵はイギリスだ。イギリスはロシアが大嫌いだ。イギリスにとって一番重要な植民地だったアメリカが独立したときに、アメリカの独立を一番助けたのがロシアだったからだ。
もちろんフランスも助けたが、ラファイエット公爵の個人的な感情があったためだ。一方ロシアは、エカテリーナという元ドイツ人だった女帝が有名なフランスの啓蒙思想家ヴォルテールに感化され、民主主義を良しとし、アメリカ独立を支援した。それは百年後、南北戦争時のイギリスの南軍との関係に連なる。南は主たる産業が綿花で、奴隷をたくさん使っていた。その頃のイギリスは奴隷貿易で儲かっていた。産業革命時に、蒸気船を作った有名なアメリカ人フルトンに投資していたのが奴隷商人だった。それに対し当時のロシア皇帝アレクサンドル2世はリンカーンをサポートした。ロシア艦隊をアメリカ東海岸に送り、イギリスの艦隊は南軍と一緒に北を攻められていた。1776年のアメリカ独立以来、アメリカの最大の脅威はイギリス、一番の仲間はロシアとなった。
これが変わったのは1939年の6月だ。第2次世界大戦が始まろうかという時に首相になったチャーチルは母親がアメリカ人だった。ドイツに勝とうと思ったらアメリカを引っ張り込むしかない。それで当時のイギリス国王に頼み、国王夫妻にカナダに行ってもらっている間に、アメリカ政府と交渉した。ニューヨークのハドソン川にあったルーズベルト大統領の私邸で、アメリカ風のピクニックをやった。これは「ハドソン川のピクニック」という映画にもなっている。
その時、有名なルーズベルト夫人エレノアが、王妃に対してファーストネームでアメリカ風に名前を呼ぶので、王妃はものすごく嫌な顔をするものの立ち場上ひっくり返すわけにはいかない。その時に初めてイギリスとアメリカの関係が良くなった。それは、ドイツがポーランドに侵入する1カ月前だった。これはイギリスにとっては大博打だった。その一年半後、日本が真珠湾攻撃をした時、喜んでシャンパンを開けたのがチャーチルだった。地団駄を踏んだのがヒットラー。まさに現代化の流れがそのようになっている。そう考えると全体が見えてくる。
周:第二次大戦勝利の一手はチャーチルがアメリカを上手に抱き込んだことだ。これと対極に、日本の真珠湾攻撃は、負け戦の一手だった。蒋介石は真珠湾攻撃のニュースを聞き、興奮のあまり一晩眠れなかった。

■ 恵まれ過ぎて失敗したドイツ
小手川:ヨーロッパがいま大失敗しているのはあまりにも恵まれすぎたからだ。1991年にソ連が崩壊し、東ヨーロッパ、ロシアまでヨーロッパの新しいマーケットになった。モノがどんどん売れた。一番儲かったのがドイツだった。ユーロが出来るまではドイツマルクが強すぎてドイツの人件費がスペインの二倍くらいあった。通貨が統一されたあとユーロでドイツの人件費とスペインの人件費がイコールになった。単に東ヨーロッパの国々がマーケットになっただけでなく、西の貧しかったスペインやポルトガルもモノを買う力がどんどん付いてきた。
市場は伸び、しかも彼らが買ったのがドイツ製品だったため、これがドイツ人を甘やかしてしまった。緑の党という最悪の党が出来た。私のよく知っている日本人女性でドイツ人と結婚した人が1カ月に2回くらい面白いペーパーをYouTubeに出している。ドイツの環境省次官がいきなり環境NGOのトップになる。環境NGOのトップが環境省の局長になるといった事が頻繁に起こる。非常に腐った関係になる。さらに彼らはつるんでドイツの有名な企業、シーメンスやフォルクスワーゲンに対して「環境規制をごまかしているだろう」などと脅迫をする。「証拠はある。公開されたくなければ緑の党に政治献金を出せ」と迫る。
このままいけば近々フォルクスワーゲンも潰れる。この前、大分に来たエストニアの有名な指揮者が言っていたのは「ベルリンフィルハーモニーが、今お金がなくなっている。いま中国政府に支援をお願いしている」。今年のバイロイト音楽祭、ザルツブルク音楽祭の予算は3文以下っとになるなど、ドイツは本当に悲惨な状況になった。2024年11月末にフォルクスワーゲンは労使交渉が終わり、合意したが、その内容はひどい。2030年までにフォルクスワーゲンのドイツ国内工場の従業員を30万人クビにする。それを組合が飲んだ。そうでないともうやっていけない。
その最大の失敗は、中国と組んだことだ。これからはEVの時代だとして中国企業と合弁した。中国の企業にEVのノウハウを全部渡した。その時ドイツは、中国が自分たちの最大のマーケットになると思い、これで成功したと思った。中国政府が国内の自動車会社に補助金を出し、あっという間に中国に物凄い数のEV生産工場が出来て世界最大のEV車生産国になった。ドイツにはEVの分野で将来はない。主要政党である緑の党は少しも問題意識を持っていない。緑の党を応援している人がほとんど公務員で、社会の経済状況の良し悪しは自分たちには関係ないと考えているからだ。
周:ドイツはガソリン車に強いが、EVには弱い。バッテリーにしても自動運転にしても、そもそもドイツの自動車メーカーには技術が無い。中国は逆で、EVが強い。バッテリーは世界で大半のシェアを取っている、自動運転も、テスラと真正面から勝負しているのは、中国企業くらいだ。ドイツの問題は、あまりにも恵まれすぎてIT革命に乗り遅れ、産業技術が何世代も遅れていることだ。もう1つ、ロシアとウクライナの戦争でエネルギー不足が大問題になっている。
小手川:そうだ。ドイツが非常に恵まれていたことの大きな要因は、ロシアからパイプラインで送られる天然ガスが非常に安価だったことだ。それが今度の戦争で全部止めになった。
ドイツの私の知り合いがベルリンで会議があるから行ってみたら、ベルリンの立派なパーティ会場が暗かった。「もっと明るく」と言ったら「できません。この3年間で電気料金が8倍になったから」。すでに電力がないから使えない状況になっている。
周:知人の経済学者の話では、ドイツでは中国の技術やサプライがないとモノが作れなくなっている。10年前の中国の製造業のイメージとは真逆なことが起こっている。

■ 「帝国」のブレが「周辺」と大きな摩擦を生む
周: 外交面においては、トランプはバイデン政権との逆をやっている。バイデン政権は一生懸命に同盟国をまとめようとしたのに対して、トランプは同盟国を「ゆすり集団」として容赦なく高関税を課している。こうした帝国のブレが、関係諸国との大きな摩擦を起こす。
歴史から見ると、これに似ているパターンが第二次大戦後に2つ事例として取り上げられる。1つは、1956年にソ連のフルシチョフによるスターリン批判が起こった時、中国と東欧の一部がソ連に反発したこと。結果、中国とソビエトとの関係は、とことん悪化し、1969年ウスリー川の珍宝島での中ソ国境紛争に発展した。
もう1つは、鄧小平が実権を握り毛沢東批判をした時、毛沢東の盟友たる北朝鮮やベトナムとの関係が悪化した。1979年の中越戦争もその延長線上で考えれば見えてくる風景が違ってくる。
第2次トランプ政権は、ヨーロッパの盟友、そして隣国カナダにも厳しい姿勢を取っている。つまりトランプはヨーロッパの現在の首脳らを、バイデン政権の「代理人」と見做しているところがある。これに対してヨーロッパ諸国やカナダもトランプのアメリカに批判的だ。
そもそも帝国とはそういうものだ。帝国内部で起こる大転換は、それまで付いてきた周りの諸国の人々にとっては困惑させられるものだ。いまのヨーロッパの情勢を判断する一つの視点となる。
学生:第1次トランプ政権時、彼を支持するいわゆるユダヤ系の人が政権の中枢を占め、イスラエル問題に強く介入するイメージがあった。今回のガザ地区での紛争に関して、トランプはどの方向へ動くのだろうか?
小手川:イスラエル問題に関するポジションは、いまのところネタニヤフとの関係を損なわない方が米国の国内政治的にいいとトランプは思っている。トランプはドイツ系とスウェーデン系で、親戚にユダヤ系はあまりいないが娘婿のクシュナーがユダヤ人だ。トランプの父親は不動産業をニューヨークのクイーンズで成功させたが、クイーンズはニューヨークではトップの地区ではない。トップはマンハッタンだ。マンハッタンの不動産は全てユダヤ系が握っている。トランプはマンハッタンに進出しようと自分の娘にユダヤ系の人を選び、娘婿と一緒にマンハッタンの土地開発をやった。娘婿クシュナーは、ユダヤ系の少数派メンバーだ。彼の属する少数派のユダヤ人グループの発祥地は白ロシアの境目のところにある。ユダヤ人ではないが、同地域の出身で有名な作曲家にラフマニノフがいる。ロシアのユダヤ系マフィアはプーチンが大統領になった時、選択肢を与えられた。亡命する等して出ていくか、或いは、経済力を剥奪された。例外は有名なロンドンのサッカーチームのチェルシーを持つアブラモビッチというロシアの大金持ちで、彼も同じユダヤ教の非常に少数の宗派のメンバーで、彼はプーチンとの関係を保っている。

■ ロシア人は日本好き
小手川:私は日本の一番いいところは日本では職業に貴賎がないところだと思う。いい仕事悪い仕事がない。例えば、お手洗いの掃除をしている人の仕事ぶりを周りの人はよく見ていて、その人が真剣にプロフェッショナリズムで任された仕事をきっちりやれば、その人は日本では尊敬される。最高の美徳とされる。
周:社会主義国家中国で育った人間からすると、それは1番素晴らしいことだと思う。階級を無くし平等を訴える毛沢東はまさしくそうした発想を中国社会に植え付けた。私は小学校から農村で農作業をする課外授業を受けていた。農民や労働者に敬意を払うべきであると強く教えられた。
小手川:社会は変わっている。昔と違いGDPが増えたとか、パワーキャピタルがどれだけ多いかが、競争の題材になっている。一度しかない人生をどこでどう過ごすのが幸せか?その選択の時代に入っていると思う。
新型コロナ明けの人々の行動を見て分かるのは、日本人が認識しているかどうかは別にして、世界の人々の認識は、特にロシア人は、日本が1番いい、日本に来たいという事になっている。日本は清潔で、美味しいものが安く買える。治安の心配がない。夜9時以降の電車に女性が一人で乗っていられる場所を世界中で日本以外に見たことはない。文化的に癒されるものが沢山ある。温泉他さまざまな日本の文化を見て、日本は世界で1番愛される国だとロシア人の84%が言っている。二番目はブラジルだ。ただブラジルは日系人が多いことも影響していると思う。
ロシア人がなぜ日本を好きかというと、まず、日本製品が信頼できて壊れない。日本人は嘘を言わない。長い関係を重要視している。それから日本の文化が素晴らしいという。古い日本の文化にお茶、お花がある。生け花教室が世界で一番多い都市は、モスクワだ。冬場は雪道がずっと続くので、せめて家の中ぐらいは綺麗な花で飾りたい、ということだ。そうした日本の古い文化だけでなく、アニメとコスプレはロシアの若い人たちにとって最大の憧れだ。
ロシア人は日本好きで、逆にロシア人が一番嫌いなのは中国だとも言われる。面白いのは、世界各国にいくと必ず中華料理屋があるが、モスクワで中華料理屋を探すのは難しい。日本料理屋はモスクワに山のようにある。モスクワだけで、寿司屋と名が付く店は650件ある。
周:ところがマスコミや外交政策で見ると何故か日本人はロシアが余り好きでは無いようだ。

■ 戦後の社会システムが日本の支え
周:アメリカの友達はアメリカ社会の基盤が壊れていると言う。例えばバンス副大統領の著書『ヒルビリー・エレジー』を読んでみると分かるように地方や家庭が痛々しいほど崩壊している。
それに対して、グローバリゼーションを経験しある程度の格差社会になった日本では、社会の崩壊は起きていないのは何故かということだ。これは、戦後日本の社会システムがかなり効いているからではないか。この社会システムこそ非常に大きな強みだ。グローバル社会の中でどうしても格差が生じているが、幸いにして日本文化の影響もあり、社会システムそのものの良い面がまだ活きている。
小手川:そうだ。中国政府の方から聞いて面白いなと思った言葉は、「中国は多くを日本から学んだが、1つだけ日本から学べなかったことがある。それは社会主義だ」。日本は今世界で一番社会主義的な国だという。
これは別に社会主義がいいとかではなく、もともと日本は農業社会だと思う。農業社会はどうしても皆で一緒にいろいろな仕事をしないといけないので、共同意識が強い。確かに、私の出身の九州の田舎は、みんなが自分を見ていて、うるさく感じることがあるが、結果的にそれが平等につながる。いわゆる欧米の狩猟民族的なところとは全然違うところがあると、私は思う。そういう意味で日本人に近いのがロシア人であり、また東ヨーロッパ人であり、双方農耕社会だ。
周:ロシアはソビエトという共産主義国家の70年間で、かなり社会主義的な思想が浸透しているはずだ。それも「社会主義的な日本」に親近感を持つ一つの理由かもしれない。
【対談(Ⅵ)に続く】

プロフィール
小手川 大助(こてがわ だいすけ)
大分県立芸術文化短期大学理事長・学長、IMF元日本代表理事
1975年 東京大学法学部卒業、1979年スタンフォード大学大学院経営学修士(MBA)。
1975年 大蔵省入省、2007年IMF理事、2011年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、2016年国立モスクワ大学客員教授、2018年国立サンクトペテルブルク大学アジア経済センター所長、2020年から現職。
IMF日本代表理事時代、リーマンショック以降の世界金融危機に対処し、特に、議長としてIMFの新規借入取り決め(NAB)の最終会合で、6000億ドルの資金増強合意を導いた。
1997年に大蔵省証券業務課長として、三洋証券、山一證券の整理を担当、1998年には金融監督庁の課長として長期信用銀行、日本債券信用銀行の公的管理を担当、2001年に日本政策投資銀行の再生ファンドの設立、2003年には産業再生機構の設立を行うなど平成時代、日本の金融危機の対応に尽力した。
