中国中心都市&都市圏発展指数2018

1. <中国中心都市&都市圏発展指数>とは


 雲河都市研究院が2018年に公表した「中国中心都市指数2017」は社会的な高い関心を呼び、好評を博した。本報告では、同指標の基礎に立ち、以上の分析に基づいて都市圏への問題意識をさらに高め、中国都市圏の発展を全面的に評価する「中国中心都市&都市圏発展指数2018」(以下、CCCI2018)を開発した。

 「中国中心都市&都市圏発展指数」は元の「中国中心都市指数」の骨組みをベースに、全国298の地級市およびそれ以上の都市について、「都市地位」、「都市圏実力」、「輻射能力」、「広域中枢機能」、「開放交流」、「ビジネス環境」、「イノベーション・起業」、「生態環境」、「生活品質」、「文化教育」の10大項目を設定した。また、この10大項目ごとに3つの小項目を置き、計30の小項目を設けた。さらに、114の指標データを用いて、これらの小項目を構成した。

 同指数の1つの大きな特徴は、298の地級市以上の都市をベースに、4つの直轄市、22の省都、5つの自治区首府、そして5つの計画単列市の、合わせて36の中心都市を評価したことである。

 

中国中心都市&都市圏発展指数構造図

2. 中国中心都市&都市圏発展指数2018 総合ランキング


中国中心都市&都市圏発展指数2018総合ランキングトップ37都市

 下図が示すように、「CCCI2018」総合ランキングトップ3都市は順に、北京、上海、深圳で、ランキング第4位から第10位の都市は、広州、天津、成都、杭州、重慶、南京、武漢であった。この36都市で、全国39.7%のGDP、55.2%の貨物輸出、48.7%の特許取得数を稼ぎ出し、全国25%の常住人口、41.4%のDID人口、71.6%のメインボード上場企業が集中し、全国94.8%のトップ大学、34.1%の映画館・劇場、58.1%の五つ星ホテル、54.1%の三甲病院を有している。

中国中心都市%都市圏発展指数2018 総合ランキング

3. 都市地位大項目 


 都市地位大項目ランキングのトップ3は、北京、上海、広州。第4位から第10位は順に天津、重慶、南京、杭州、成都、深圳、武漢。 都市地位大項目は行政機能、メガロポリス、“一帯一路”の3つの小項目指標を設置。行政機能の小項目においては、首都、直轄市、省都の行政機能が高得点となった。長江デルタ、珠江デルタ、京津冀(北京・天津・河北)の3大メガロポリスの都市は、大項目指標において点数が高い。“一帯一路”の小項目では、貿易投資および海外との往来が良好な都市が、上位を占めた。

都市地位ランキング概略図(総合ランキング中心都市トップ20)

4. 都市圏実力大項目 


 都市圏実力大項目ランキンングトップ3は北京、上海、深圳。第4位から第10位は順に広州、天津、重慶、杭州、武漢、成都、南京。都市圏実力大項目は経済規模、都市圏品質、企業集積の3つの小項目指標を設置。面積も人口も規模も特大な4大直轄市が、経済規模のトップ4を占めた。北京、上海、深圳は企業集積小項目で圧倒的優位に立ち、順にトップ3を飾った。上海、深圳、北京は都市圏品質小項目でもトップ3となった。

都市圏実力ランキング概略図(総合ランキング中心都市トップ20)

5. 輻射能力大項目


 輻射能力大項目ランキングトップ3は北京、上海、深圳。第4位から第10位は順に成都、広州、杭州、南京、西安、武漢、天津。

 輻射能力大項目は製造業・IT産業輻射力、金融・科学技術・高等教育輻射力、生活文化サービス輻射力の3つの小項目の指標を設置。北京は3つの小項目の第1位をすべて独占した。上海は金融・科学技術・高等教育輻射力と生活文化サービス輻射力の2つの小項目で第2位、深圳は製造業・IT産業輻射力で第2位だった。広州と成都はそれぞれ金融・科学技術・高等教育輻射力と生活文化サービス輻射力で第3位につけた。

 
輻射能力ランキング概略図(総合ランキング中心都市トップ20)

6. 広域中枢機能大項目 


 広域中枢機能大項目ランキングトップ3は上海、広州、深圳。北京は第4位につけ、第5位から第10位は順に天津、寧波、青島、武漢、廈門、成都。広域中枢機能大項目は水路輸送、航空輸送、陸路輸送の3つの小項目指標を設置。上海、深圳、寧波、広州をはじめとする臨海都市が水路輸送の上位を占めた。上海、北京、広州の3都市は航空輸送でトップ3となった。陸路輸送トップ3は広州、武漢、北京。

 
広域中枢機能概略図(総合ランキング中心都市トップ20)

7. 開放交流大項目


 開放交流大項目ランキングトップ10は上海、北京、深圳、天津、広州、重慶、杭州、成都、青島、寧波。  開放交流大項目は国際貿易、国際投資、交流業績の3つの小項目指標を設置。国際貿易トップ3は上海、深圳、北京。国際投資トップ3は天津、上海、北京。交流業績トップ3は上海、北京、広州だった。

開放交流ランキング概略図(総合ランキング中心都市トップ20)

8. ビジネス環境大項目 


 ビジネス環境大項目ランキングトップ3は上海、北京、広州。第4位から第10位は順に深圳、成都、天津、南京、廈門、重慶、武漢。  ビジネス環境大項目は園区支援、ビジネス支援、都市交通の3つの小項目指標を設置。園区支援トップ3は上海、深圳、廈門。ビジネス支援トップ3は北京、上海、広州。都市交通トップ3は上海、北京、広州だった。

ビジネス環境ランキング概略図(総合ランキング中心都市トップ20)

9. イノベーション・起業大項目


 イノベーション・起業大項目トップ3は北京、深圳、上海。第4位から第10位は順に広州、杭州、天津、南京、成都、武漢、重慶。イノベーション・起業大項目は研究集積、イノベーション・起業活力、政策支援の3つの小項目指標を設置。研究集積トップ3は北京、上海、深圳。イノベーション・起業活力トップ3は深圳、北京、上海。政策支援トップ3は北京、上海、重慶で、直轄市が政策支援で高評価を得た。

イノベーション・起業ランキング概略図(総合ランキング中心都市トップ20)

10. 生態環境大項目


 生態環境大項目トップ3は上海、北京、深圳。第4位から第10位は順に広州、天津、重慶、廈門、杭州、成都、武漢。  生態環境大項目は資源環境品質、環境努力、資源効率の3つの小項目指標を設置。環境努力トップ3は北京、上海、重慶。資源効率トップ3は上海、深圳、北京で、同3都市はDID人口の規模が大きく密度が高いだけでなく、企業の本社も集積している。しかし、資源環境品質では中国中心都市&都市圏発展指数の対象36都市からは海口と廈門だけが全国トップ20に入り各々第13位と第19位であった。その他の都市は及ばなかった。

生態環境ランキング概略図(総合ランキング中心都市トップ20)

11. 生活品質大項目


 市民と密接に関わる生活品質大項目ランキングは、北京、上海、広州がトップ3、深圳は意外にも第10位へと順位を落とした。第4位から第9位は順に天津、杭州、成都、南京、重慶、武漢。深圳が第10位まで順位を下げたのは、主に医療福祉、住みやすさの2つの小項目が足を引っ張ったためである。住みやすさ小項目のトップ3は上海、蘇州、成都。生活消費水準小項目トップ3は北京、上海、広州。医療福祉小項目トップ3も北京、上海、広州であった。

生活品質ランキング概略図(総合ランキング中心都市トップ20)

12. 文化教育大項目 


 文化教育大項目ランキングでも深圳はいまひとつ振るわず、トップ10から外れた。トップ3は北京、上海、広州。第4位から第10位は順に南京、武漢、成都、天津、西安、重慶、杭州。文化教育大項目は文化娯楽、人材育成、文化パフォーマンスの3つの小項目指標を設置。中でも深圳は人材育成で全国第11位につけたが、文化パフォーマンスでは第73位と落ち込んだ。

文化教育ランキング概略図(総合ランキング中心都市トップ20)

 「中国中心都市&都市圏発展指数」は、その分析により中心都市の発展状況を各方面から観測・判断し、中心都市の都市圏発展に有益な方向性を提示する。全国298の地級市以上の都市の分析研究は、中国の高度な都市機能が中心都市に集中し、かつ高機能であるほど集約度が高いことを示した。中心都市をコアとする都市圏の育成と発展こそが、国際競争での中国の都市の勝敗を決める。



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