中国中心都市&都市圏発展指数2019

 国際シンクタンクの雲河都市研究院が作成した「中国中心都市&都市圏発展指数2019」がこのほど発表された。総合ランキングのトップ3は北京、上海、深圳。第4位から第9位は順に広州、天津、成都、杭州、重慶、南京となった。

 2018年のトップ10都市と比べ2019年は第1位から第9位まで順位の変化は無かった。中心都市ではない蘇州が第10位に仲間入りしたことで武漢がトップ10から転落した。トップ10以外の都市では、寧波、鄭州、済南、福州、貴陽、石家荘、南寧、銀川などの都市の順位が上がった

 「中国中心都市&都市圏発展指数」は中国国家発展改革委員会発展戦略和計画司の依頼で開発された「中国中心都市指数」をベースにバージョンアップされ、同計画司と雲河都市研究院が共同で開発した「中国都市総合発展指標」の派生指数として、36の中心都市の評価に特化したものである。今回は、2017年以来の3度目の発表になる。

 「中国中心都市&都市圏発展指数2019」のランキングでは東北三省の転落が目立つ。前年度と比べ、同地域における瀋陽、長春、ハルビンの3省都はそれぞれ2つ、1つ、3つ順位を下げ、それぞれ第21位、第26位、第29位となった。新中国の重化学工業基地としての雄姿と今日の中心都市間競争における落ち込みぶりとが大きなギャップを感じさせる。

 「中国中心都市&都市圏発展指数」の大きな特徴は、中国の4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市の計36都市を「中心都市」とし、全国297の地級市以上の都市の中で評価した点にある。同指標の分析によると、これら36の「中心都市」は全国GDP規模の40.5%、貨物輸出の51.3%、特許取得数の48.6%を占め、全国の常住人口の24%、DID人口の42%、メインボード上場企業の67.5%、全国の981&211高等教育機関(トップ大学)の94.8%、5つ星ホテルの57.8%、三甲病院(最高等級病院)の48.1%を有している。

 「中国中心都市&都市圏発展指数2019」は「都市地位」、「都市圏実力」、「輻射能力」、「広域中枢機能」、「開放交流」、「ビジネス環境」、「イノベーション・起業」、「生態環境」、「生活品質」、「文化教育」の10大項目と30の小項目、114組の指標からなり、包括的かつ詳細に、中心都市の都市圏発展を指数で診断し、中国中心都市の高品質発展を促す総合評価システムである。

 「中国中心都市&都市圏発展指数」は「中国都市総合発展指標」の878の基礎データから438の基礎データを精選し、中心都市の都市圏発展を評価するための指標システムを構築した。これら基礎データは、統計データだけではなく、衛星リモートセンシングデータやインターネットのビッグデータも取り入れている。「中国中心都市&都市圏発展指数」はある意味では五感で都市を感知するマルチモーダルインデックス(Multimodal Index)である。例えば衛星リモートセンシングデータによるDID(Densely Inhabited District:人口集中地区)分析は、都市圏人口の規模、分布、密度を正確に把握し、それらと経済発展、インフラ整備、ガバナンス、生態環境マネジメントとの関係を多面的に分析でき、都市圏研究レベルを一挙に引き上げた。これはまさしく斬新なスーパーインデックスである。

 二酸化炭素排出量を中国の都市圏評価に取り入れたことは、「中国中心都市&都市圏発展指数2019」の一大進化である。長年の努力により雲河都市研究院は、衛星リモートセンシングデータの解析とGISの分析を用いて各都市の二酸化炭素排出量を正確に算出した。これにより都市圏評価の精度と分析幅を格段に上げた。

1.「都市地位」大項目

 北京、上海は「都市地位」大項目ランキングのトップ2であり且つ偏差値の高さで他都市を大きく引き離している。ランキング第3位から第10位までは順に天津、重慶、広州、深圳、南京、杭州、成都、武漢が入った。2018年と比べ北京、上海の順位は不動であり、天津、重慶、深圳の順位は上昇した。とくに深圳は、2018年の第9位から2019年には第6位へと躍進した。

 「都市地位」大項目は行政機能のレベルだけでなく、メガロポリスにおける中心都市の役割、そして“一帯一路”、“長江経済ベルト”、“京津冀協調発展”など国家戦略におけるパフォーマンスをも評価する。

 そのため、同大項目は「行政機能」、「メガロポリス&都市圏」、「一帯一路」の3つの小項目指標を設置し、「行政階層」、「大使館・領事館」、「国際組織」、「メガロポリス階層」、「中心都市階層」、「都市圏階層」、「一帯一路指数」、「歴史的地位」など8組の指標データで構成される。

 (1)「行政機能」小項目:北京、上海、重慶は同小項目のトップ3である。第4位から第10位までの中心都市は天津、瀋陽、広州、杭州、南京、成都、武漢であった。首都、直轄市、省都が行政機能小項目において優勢であった。

 (2)「メガロポリス&都市圏」小項目:北京、上海、深圳が同小項目のトップ3を飾った。第4位から第10位までの中心都市は広州、天津、杭州、南京、成都、重慶、合肥であった。メガロポリス&都市圏小項目では、長江デルタ、珠江デルタ、京津冀、成渝の四大メガロポリスの都市の得点が高い。

 (3)「一帯一路」小項目:北京、上海、深圳は同小項目のトップ3であった。第4位から第10位までの中心都市は広州、ウルムチ、昆明、南京、ラサ、西安、天津だった。2018年と比べ北京、上海、深圳、南京の順位は維持されたものの、広州、ウルムチ、昆明、ラサ、西安の順位が上がり、一帯一路の拠点都市であることに加え、貿易・投資や人の往来の活発な都市の得点が高い。

2.「都市圏実力」大項目

「都市圏実力」大項目ランキンングトップ3は北京、上海、深圳である。偏差値からみると他都市と比べ、この3都市の優位性が突出している。他にトップ10入りした中心都市は広州、重慶、天津、杭州、成都、武漢の6都市であった(トップ10内に36中心都市ではない都市が含まれる場合がある。以下同)。

2018年と比べトップ10都市のうち北京、上海、深圳、広州の順位は不動だった。重慶は1位、杭州は2位順位を上げた。このほかにも寧波、鄭州、福州、済南、昆明、貴陽、石家荘、西寧、銀川、フフホト、ラサなど都市の順位が上がった。

「都市圏実力」大項目は「経済規模」、「都市圏品質」、「企業集積」の3つの小項目を設置し、都市の経済と人口規模、そして都市圏の人口集約度とその構造、さらにはその経済中枢機能を評価する。

  そのため、同大項目は「GDP規模」、「税収規模」、「固定資産投資規模指数」、「電力消費量」、「常住人口」、「DID人口」、「常住人口増加率指数」、「人口流動」、「DID面積指数」、「都市圏人口集中度」、「都市圏構造」、「フォーチュントップ500中国企業」、「中国トップ500企業」、「メインボード上場企業指数」の14の指標データで支えられる。

 (1)「経済規模」小項目:上海、北京、重慶が同小項目のトップ3を飾った。偏差値からみて他都市に比べ同三都市は優位性が明らかである。トップ10ランキング入りの中心都市は他に深圳、広州、天津、成都、武漢、杭州の6都市であった。深圳、広州の経済規模はすでに天津のそれを超え、四大直轄市にひけをとらない経済力を有している。2018年と比べ、2019年は36中心都市中、同小項目のトップ10都市の順位は変わらなかった。鄭州、寧波、長沙、西安、合肥、福州、済南、昆明、太原、ウルムチ、蘭州、フフホト、銀川、西寧、ラサなど都市の順位は上がった。

 (2)「都市圏品質」小項目:上海、深圳、北京が同小項目のトップ3を飾った。ランキングトップ10入りした中心都市は他に、広州、天津、武漢、成都、杭州の5都市であった。297の地級市以上の都市のうち、2019年は重慶が同小項目で順位が第31位と振るわなかったものの、2018年の第43位と比べると上げ幅は大きく、これが「都市圏実力」大項目での順位アップの由来であった。同小項目では杭州が2018年の第13位から2019年には第10位に上がったことが、同市の「都市圏実力」大項目での順位上昇につながった。

 (3)「企業集積」小項目:北京、上海、深圳は同小項目において圧倒的な優位でトップ3位を占め、同3都市の企業本社集積規模の強大さは突出していた。ランキング10位入りした中心都市は他に広州、杭州、南京、寧波、重慶、福州の6都市であった。36中心都市全体からみると、2018年に比べ広州、寧波、福州、アモイ、済南、青島、鄭州、銀川、フフホトなど都市が順位を上げた。

3.「輻射能力」大項目

 「輻射能力」大項目ランキング第1位の都市は北京であり、そのゆるぎない力で、同大項目における各小項目ランキングでも軒並み1位を獲得した。上海、深圳、広州、成都、杭州、南京、武漢、西安の8中心都市もトップ10入りした。2018年と比較し、トップ10のうち北京、上海、深圳、杭州、南京の順位は不動で、広州、武漢の順位は僅かに上がり、成都、西安は順位を下げた。天津はトップ10から弾き出された。

 中心都市が「中心都市」たる所以は、周辺地域や全国への輻射力の大きさにある。このため、都市の輻射力をはかることが中心都市評価のキーポイントとなる。「輻射能力」大項目は、まさに中心都市の各機能が全国及び周辺地域に与える影響力の強弱をはかる指標である。同大項目は、都市の産業、科学技術、高等教育など分野の輻射力をはかるだけでなく、都市での生活サービス分野の輻射力を特に注視し明らかにしている。

 同大項目では「産業輻射力」、「科学技術・高等教育輻射力」、「生活文化サービス輻射力」の3つの小項目指標を立て、「製造業輻射力」、「IT産業輻射力」、「金融業輻射力」、「科学技術輻射力」、「高等教育輻射力」、「文化・スポーツ・娯楽輻射力」、「医療輻射力」、「卸売・小売輻射力」、「飲食・ホテル輻射力」など9組の指標データから構成される。

 (1) 「産業輻射力」小項目:北京、深圳、上海がトップ3の雄姿を示した。トップ10入りした中心都市は他に成都、広州、杭州、南京、アモイの5都市であった。36中心都市全体からみると、2018年と比べ北京、深圳、上海、成都、アモイ、福州、寧波の順位は維持された。広州、重慶、武漢、合肥、海口、瀋陽、太原、石家荘、西寧、ウルムチ、南寧、フフホトなど都市の順位は上がった。

 (2) 「科学技術・高等教育輻射力」小項目北京、上海、深圳は同小項目のトップ3を占め、とくに北京の優位性が際立った。ランキング第4位から第10位までの都市は広州、南京、天津、成都、杭州、武漢、西安であった。36中心都市全体からすると2018年と比べ北京、上海、長沙、大連、合肥、瀋陽、太原の順位は変わらず、深圳、南京、天津、杭州、済南、青島、寧波、長春、アモイ、福州、石家荘、銀川など都市の順位は上がった。

 (3)「生活文化サービス輻射力」小項目:北京、上海、成都が小項目のトップ3を占め、北京の同小項目での優勢が突出していた。ランキング第4位から第10位までに入った中心都市は広州、杭州、武漢、南京、深圳、天津、西安の7都市だった。深圳は第7位から第8位へと順位を下げた。

4.「広域中枢機能」大項目

 「広域中枢機能」大項目ランキングの第1位は水路輸送、陸路輸送、航空輸送いずれも上海が優勢を誇り、偏差値から見て他都市を大きく引き離した。ランキング第2位から第10位までの中心都市は広州、深圳、北京、天津、青島、寧波、アモイ、重慶、南京だった。2018年と比べ第5位までの都市に変化はなく、青島、アモイの順位はやや上がり、重慶は2018年の第11位から2019年には第9位へと上昇し陸路輸送の貢献が大きかった。

 交通中枢は中心都市の重要な機能で、これは他のセンター機能が成り立つ土台でもある。広域中枢機能は都市の水路輸送、陸路輸送、及び航空輸送のインフラ条件と輸送量を測る大項目である。

 同大項目は「水路輸送」、「航空輸送」、「陸路輸送」の3つの小項目を設置し、「コンテナ利便性」、「コンテナ取扱量」、「水運輸送指数」、「空港利便性」、「航空輸送指数」、「鉄道利便性」、「鉄道密度指数」、「高速道路密度指数」、「国道・省道密度指数」、「道路輸送指数」など10組の指数データで構成される。

 (1)「水路輸送」小項目:上海、深圳、寧波は同小項目のトップ3をとなった。ランキング10位内に入った中心都市は他に、広州、青島、天津、アモイ、大連の5都市で、臨海都市が同小項目の上位を占めた。

 (2)「航空輸送」小項目:上海、北京、広州が同小項目のトップ3であった。いずれも中国最大の航空輸送中枢都市であり、偏差値から見た優位性が顕著である。深圳、成都、昆明、重慶、西安、杭州、鄭州は第4位から第10位までを占めた。西南・西北地域の航空輸送依存の高さが、成都、昆明、重慶、西安など都市の航空中枢地位を高めた。

 (3)「陸路輸送」小項目:広州、深圳、貴陽が同小項目のトップ3であった。ランキング10入りした中心都市は他に、北京、上海、南京、重慶、武漢の5都市であった。同小項目の中で西南地域の貴陽のパフォーマンスは目を見張るものがあった。

5.「開放交流」大項目

 「開放交流」大項目ランキングトップ10入りした中心都市は上海、深圳、北京、広州、重慶、天津、成都、寧波、杭州の9都市である。2018年と比べ、トップの上海は首位の座を維持し、深圳、重慶、成都、寧波は順位をあげた。

 開放交流はグローバリゼーションを背景に、都市と世界との人、カネ、モノの交流交易を推し量る重要な指標である。同大項目は「国際貿易」、「国際投資」、「交流業績」の3つの小項目指標を立て、「貨物輸出」、「貨物輸入」、「実行ベース外資導入指数」、「対外直接投資」、「海外旅行客」、「国内旅行客」、「国際旅行外貨収入」、「国内旅行収入」、「世界観光都市認定指数」、「国際会議」、「展示会業発展指数」など11組の指数データから成る。

 (1)「国際貿易」小項目:上海、深圳、北京が同項目でトップ3を飾った。トップ10入りした中心都市は他に広州、寧波、天津、アモイの4都市だった。2018年と比べ、寧波、成都、合肥、長沙、済南、昆明、南寧、海口など都市の順位が上がった。

 (2)「国際投資」小項目:上海、深圳、北京がトップ3だった。ランキング第4位から第10位までの中心都市は順に天津、重慶、寧波、青島、成都、大連、武漢であった。2018年と比べ、ランキングトップ10入りした中心都市の中で、上海、深圳、寧波、成都、大連、武漢の順位が上がった。

 (3)「交流業績」小項目:上海、北京、広州が同項目のトップ3となった。偏差値から見ると、トップ3都市の値が他都市を大きく引き離した。ランキング第4位から第10位までの中心都市は順に、深圳、重慶、成都、杭州、武漢、西安、アモイだった。2018年と比べ、ランキングトップ10入りした都市では、杭州、武漢、西安、アモイの順位がアップした。

6.「ビジネス環境」大項目

 「ビジネス環境」大項目ランキングトップ3の都市は、北京、上海、広州であった。深圳、成都、南京、天津、武漢、杭州、重慶が順に第4位から第10位となった。2018年と比べ、トップ10入りした中心都市の中で北京、南京、武漢、杭州の順位が上がった。

 ビジネス環境は、都市の交流交易経済を開花させる大切な要素である。同大項目は純粋なビジネスサポートを測るだけでなく、都市の政策的なサポートも評価する。市内交通を、ビジネス環境を測る重要な指標としている点は特記すべきである。

 同大項目は、「園区支援」、「ビジネス支援」、「都市交通」の三つの小項目指標を設置し、「国家園区指数」、「自由貿易区指数」、「平均賃金指数」、「事業所向けサービス業従業員数」、「ハイクラスホテル指数」、「トップクラスレストラン指数」、「1万人あたり公共バス利用客数」、「都市軌道交通距離」、「都市歩道・自転車道密度指数」、「公共交通都市指数」など10組の指数データで構成する。

 (1)「園区支援」小項目:深圳、上海、アモイがトップ3都市となった。トップ10入りした中心都市は他に、海口、天津、重慶、西安の4都市あった。2018年と比べ、トップ10中心都市の中で深圳、海口、天津の順位が上がった。

 (2)「ビジネス支援」小項目:北京、上海、深圳がトップ3となった。トップ10入りした中心都市は他に、広州、成都、杭州、天津、南京、重慶の6都市であった。2018年と比べ、トップ10都市のうち深圳、南京の順位が上がった。

 (3)「都市交通」小項目:北京、上海、広州がトップ3を占めた。ランキング第4位から第10位までの都市は順に深圳、武漢、成都、南京、蘭州、杭州、ウルムチだった。2018年と比べ、北京が上海に代わって第1位となった。成都、蘭州、杭州の順位が上がった。

7.「イノベーション起業」大項目

 「イノベーション・起業」大項目では深圳が北京を追い落として第1位を獲得した。トップ10入りした中心都市は他に、北京、上海、広州、杭州、成都、南京、天津、武漢の8都市だった。2018年と比べ、トップ10都市の中で深圳、広州、成都の順位が上がった。

 イノベーション・起業は交流交易経済の融合、再編の重要手段であり、都市発展の主要な原動力である。よって同大項目は研究開発への投入だけでなく、その成果も重視する。また起業の活力を見据え、さらに政策支援も評価した。

 よって同大項目には「研究集積」、「イノベーション・起業活力」、「政策支援」の3つの小項目指標を置き、「R&D内部経費支出」、「地方財政科学技術支出指数」、「R&D要員」、「中国科学院・中国工程院院士指数」、「創業板・新三板上場企業指数」、「特許取得数指数」、「国家改革試験区指数」、「国家イノベーション模範都市認定指数」、「情報・知識産業都市認定指数」、「国家重点研究所・工学研究センター指数」など10組の指標データから構成される。

 (1)「研究集積」小項目:同小項目ランキングトップ3を飾った都市は、北京、深圳、上海だった。偏差値からみると同3都市のパフォーマンスが他都市をはるかに上回った。トップ10入りした中心都市は他に広州、南京、杭州、天津、武漢、成都の6都市だった。2018年と比べると、トップ10都市の中で、深圳、広州、南京、杭州、成都の順位が上がった。

 (2)「イノベーション起業活力」小項目:トップ3の都市は深圳、北京、上海であった。中でも深圳、北京両都市の偏差値は他都市を大きく引き離した。トップ10入りした中心都市は他に広州、杭州、成都、南京の4都市だった。2018年と比べ、トップ10入りした中心都市には順位をあげた都市はなかった。

 (3)「政策支援」小項目:同小項目ランキングトップ3都市は北京、上海、重慶であった。トップ10入りした中心都市は他に天津、成都、武漢、青島、西安、深圳の6都市で、直轄市の政策支援の手厚さが目立った。2018年と比較すると、トップ10入りした中心都市では成都、武漢、西安、深圳の順位が上がった。

8.「生態環境」大項目

 上海、深圳、北京が「生態環境」大項目のトップ3を飾った。トップ10入りした中心都市は他に広州、重慶、成都、アモイ、武漢の5都市だった。2018年と比べ、36中心都市の中で深圳、重慶、成都、武漢、南京、長沙、貴陽、昆明、ラサ、西寧の順位が上がった。

 都市にとっては、生態環境の品質や資源利用の効率の重要性はますます高まっている。同大項目指標は環境品質と資源効率を重視すると同時に、都市の環境努力への評価も行う。特記すべきは、今年度、初めて二酸化炭素排出量の評価を導入した点である。

 これにより、同大項目は「環境品質」、「環境努力」、「資源効率」の3つの小項目指標を置き、「気候快適度」、「空気質指数」、「1万人当たり水資源」、「森林面積」、「自然災害による直接的経済損失指数」、「地質災害による直接的経済損失指数」、「災害警報」、「公園緑地面積」、「環境努力指数」、「環境配慮型建築設計評価認定項目」、「国家環境保護都市認定指数」、「DID人口指数」、「GDP当たりCO2排出量」、「一人当たりCO2排出量」、「市街地土地産出率」など15組の指標データで構成される。

 (1)「環境品質」小項目:36中心都市の中で同小項目トップ30入りしたのは、3都市に限られ、海口の第15位、ラサの第17位、昆明の第27位であった 同項目において中心都市の成績は芳しくなかった。2018年と比べ、36中心都市の中で、重慶、寧波、南寧、杭州、成都、南京、蘭州、西寧、合肥、長沙、武漢の順位が大幅に上がった。

 (2)「環境努力」小項目:北京、上海、深圳が同小項目のトップ3を飾った。トップ10入りした中心都市は他に重慶、広州、鄭州、南京、天津、成都の6都市だった。2018年と比べると36中心都市の中で深圳、鄭州、南京、成都、アモイ、済南、寧波、西安、貴陽、長春、銀川、太原、ウルムチ、フフホト、海口、西寧の順位が上がった。

 (3)「資源効率」小項目:上海、深圳、北京が同小項目でトップ3を飾った。トップ10入りした中心都市は他に、広州、武漢、成都、長沙、南京の5都市だった。2018年と比べ、36中心都市の中で、長沙、重慶、貴陽、ラサの順位は上がった。

9.「生活品質」大項目

 「生活品質」大項目では北京、上海、広州がトップ3となった。杭州、成都、重慶、南京、武漢、天津、深圳が順に第4位から第10位までとなった。2018年と比べ、トップ10のうち前から3位までは不動だった。杭州、成都、重慶、武漢の順位は高くなった。

 ハイクオリティな生活は都市を評価する最重要ポイントのひとつである。高い生活水準を支えるサービス業も都市発展の重要な支柱となる。また都市の住みやすさや安全性も一大関心事である。生活消費水準の評価や医療福祉の水準も重視する。

 同大項目は都市の「住みやすさ」、「生活消費水準」、「医療福祉」の3小項目指標を設置し、「住みやすい都市認定指数」、「文明衛生都市認定指数」、「安全安心都市認定指数」、「中国幸福感都市認定指数」、「交通安全指数」、「1万人当たり社会消費財小売消費額」、「海外高級ブランド指数」、「1万人当たりホテル飲食業営業収入額」、「1万人当たり通信費額」、「1万人当たり住民生活用水量」、「平均寿命」、「医師数」、「三甲病院(最高等級病院)」、「高齢者福祉施設ベッド数」など14組の指標データで構成される。

 (1)「住みやすさ」小項目:同小項目では上海が首位、成都が第3位だった。ランキングトップ10入りした中心都市は他に、杭州、北京、寧波、南京、西安、長沙の6都市だった。2018年と比べ、トップから第4位までの順位は変わらなかった。36中心都市の中で、多数の都市が順位を上げた。特に西安、広州、鄭州、昆明、済南、福州、ラサ、貴陽、ハルビン、南昌、フフホト、蘭州、太原、西寧の順位の上げ幅が高かった。

 (2)「生活消費水準」小項目:北京、上海が同小項目の1位2位を獲得した。トップ10入りした中心都市は他に広州、海口、ラサ、アモイ、深圳、南京の6都市だった。2018年と比べ、トップ10都市の中で北京、上海の上位は変わらず、海口、ラサ、アモイが順位を引き上げた。

 (3)「医療福祉」小項目:北京、上海、重慶が順に同小項目のトップ3だった。広州、成都、天津、杭州、武漢、済南、南京が順に第4位から第10位となった。2018年と比べ、トップ10都市では重慶、成都、済南の順位が上がった。

10.「文化教育」大項目

 「文化教育」大項目のランキングでは北京、上海、広州が上位3位を占めた。特に北京、上海の偏差値は他都市を大きく引き離し、両都市の文化教育資源の厚みが突出していた。南京、武漢、成都、杭州、天津、重慶、深圳が順に第4位から第10位となった。2018年と比べ、36中心都市中、前から6番目までの順位は変わらなかった。杭州、深圳、鄭州、合肥、福州、昆明、石家荘、太原、ラサの順位が上がった。

 文化教育は都市の精神世界を形作る。「文化教育」大項目は都市文化娯楽生活の場所と関連消費を測るだけでなく、国際性、全国的な文化パフォーマンス、教育投資と傑出人材育成も評価する。

 同大項目では「文化娯楽」、「文化パフォーマンス」、「人材育成」の三つの小項目を立てた。同大項目は、「映画館・劇場消費指数」、「博物館・美術館指数」、「スタジオ指数」、「動物園・植物園・水族館」、「公共図書館蔵書量」、「世界トップ大学指数」、「傑出文化人指数」、「オリンピック金メダリスト指数」、「地方財政教育支出指数」、「1万人当たり幼稚園在園児童数」、「インターナショナルスクール」、「高等教育指数」、「傑出人物輩出指数」など13組の指標データから成る。

 (1)「文化娯楽」小項目:北京と上海は同小項目で1位と2位を飾った。両都市の偏差値は他都市を大きく引き離した。両都市の文化娯楽分野での突出ぶりが明らかである。トップ10入りした中心都市は他に重慶、広州、深圳、成都、杭州、南京、天津の7都市だった。2018年と比較し、36中心都市の中で北京、上海の王者ぶりは変わらなかった。重慶、南京、鄭州、長沙、済南、寧波、福州、ラサの順位はアップした。

 (2)「文化パフォーマンス」小項目:北京、上海、南京がトップ3を飾った。とりわけ北京の高偏差値は他都市を引き離し、北京はその分野で突出していた。第4位から第10位までは広州、武漢、西安、長沙、天津、杭州、成都であった。2018年と比べ、36中心都市の中で、深圳、太原、昆明、寧波の4都市の順位の上げ幅が高かった。

 (3)「人材育成」小項目:北京と上海が同小項目の1位、2位を飾った。両都市の偏差値の高さは他都市を引き離していた。第3位から第9位までは順に広州、天津、南京、杭州、成都、武漢、深圳だった。2018年と比べ、前5位までの都市の順位は変わらなかった。36中心都市のうち、杭州、成都、深圳、鄭州、合肥、石家荘、ラサ、長春、大連、太原の順位が上がった。


 2019年2月19日、中国国家発展改革委員会が公布した『現代化都市圏育成発展に関する指導的意見』は、中心都市を都市圏発展政策の中核とし推進することを謳った。

 中国都市化は都市圏の時代に突入した。高密度人口集積の優位性への認識をさらに重視し、より良質なDIDを作り上げることが、都市圏政策の一番の要である。同政策のもう一つの重点は、中心都市と周辺中小都市の相互発展である。第三の政策ターゲットは中心機能の輻射力を向上し強化させることだ。とりわけ強調すべきは、中心都市を国際交流プラットフォームの中心舞台に据えることである。今日のグローバル時代、国際競争と国際交流が国の命運を決める根本である。一国の国際競争力、国際交流水準の高低が、最終的に都市圏の国際性を決定づける。『中国中心都市&都市圏発展指標』はまさに以上の意義に基づき、マルチの角度から都市を評価し、中心都市の都市圏発展のために開発された斬新な政策ツールである。

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