【専門家レビュー】生態都市建設と都市総合発展指標/周其仁・北京大学国家発展研究院教授

周 其仁

北京大学国家発展研究院教授、経済学博士


 過去20年間、中国の都市化は急速に進み、多くの人々が都市へ移住した。大規模なインフラ整備により、都市の物理的なスケールは拡大の一途を辿った。新中国建国以来長い間遅れていた都市化が、ついに加速しはじめた。

 都市が都市たる所以は、限られた空間に多様、複雑かつ豊富多彩な経済文化活動が存在することである。このように見ると、都市は密度で定義するべきである。

 しかし今まで中国の都市化は、建成区(政府が定める都市的エリア)面積拡張の速度が都市人口増加の速度より速かった。つまり「人口の都市化よりも土地の都市化の方が先んじた」のである。

 中国経済の規模は世界第2位であるが、1人当たりになると未だ低い水準に留まっている。同様に中国の都市も、面積は大きいものの、密度は小さい。

 一つの原因は、中国の「都市」は広域行政区である。都市の行政エリアには市街地も郊外もさらに広大な農村までも含まれている。その意味では中国の「都市」の概念は海外一般の「都市」概念と同じではない。ゆえに行政の主導のもとで、農村エリアを侵食し、スプロール化しやすい。

 「ローマは一日にして成らず」。都市エリアへの急激な拡張は、都市の環境、財政などにおける持続的な発展に大きな問題を突きつけているだけでなく、市民生活の向上や都市文化の育成が追いつかないことが多い。

 中国の都市化は転換点にある。単なる都市エリアの拡大というやり方は、もはや持続不可能である。中央政府も地方政府も中国都市化の次のステップがどこに向かうか真剣に考えなければならない。

 方向性は、中国経済発展にとって最も重要である。2014年3月16日、中国政府は「国家新型都市化計画(2014−2020年)」を発表した。この計画は中国都市化に、都市化法則の重視、人間本位、配置の最適化、生態文明、文化伝承などを明確に示した。

 戦略的な方向性が示された以上は、実行可能な「指揮棒」が必要である。都市間競争に明確な項目およびゴールを示せば、都市のリーダーらは、行動しやすくなる。こうした観点から、周牧之教授と彼のチームは、中国国家発展改革委員会発展計画司のコミットメントのもとで、徹底的な調査、分析、比較を行い、〈中国都市総合発展指標〉として発表し、中国都市化の方向転換を導く科学的な指標システムを提供した。この指標はまさしく新型都市化を推し進める「指揮棒」である。

 特に私は、「密度」を用いて中国の都市問題をとらえる同指標の斬新な知見に賛同している。

 これまでの都市問題の政策議論では、いつも「大都市を発展させるか? 或いは中小都市を発展させるか?」の問題に翻弄されていた。〈中国都市総合発展指標〉は、大、中、小といったスケールで都市をとらえるだけではなく、その密度も問題にしている。

 現在、中国の都市には多くの低密度都市空間が存在し、深刻なスプロール化が起こっている。したがって、大、中、小いずれの都市であっても、都市づくりにおいて「密度」を軸にすえていかなければならない。


プロフィール

周 其仁(Zhou Qiren)

 1950年生まれ。中国社会科学院、中国国務院農村発展中心発展研究所での勤務を経て、英国及び米国へ留学し、UCLAにて博士学位取得、1995年帰国。北京大学中国経済研究中心教授、同中心主任、北京大学国家発展研究院院長、中国人民銀行貨幣政策委員会委員など歴任。

 主な著作に、『发展的主题:中国国民经济结构的变革』(1987年、四川人民出版社〔中国〕)、『农村变革中国发展1978−1989 戒(1994年餓関奇丸雁汽閑橘忌大学出版社械香港海)餓懐中国区域发展差调查1978−1989戒(1994年餓関奇丸雁汽閑橘忌大学出版社械香港海)餓懐数网竞争:中国电信业的开放和革戒(2001年餓三聯書店械中国海)餓懐产权制度变迁戒(2004年餓北京大学出版社械中国海)餓懐挑灯看剑:观察经济大时代戒(2006年餓北京大学出版社械中国海)餓懐真实世界的经济学戒(2006年餓北京大学出版社械中国海)餓懐收入是一连串事件戒(2006年餓北京大学出版社械中国海)餓懐世事胜棋局戒(2007年餓北京大学出版社械中国海)餓懐病有所医当问谁:医맣溝列评论戒(2008年餓北京大学出版社械中国海)餓懐中国做对了什么戒(2010年餓北京大学出版社械中国海)餓懐货币的教训戒(2012年餓北京大学出版社械中国海)餓懐竞争宅런荣戒(2013年餓中信出版社械中国海)餓懐革的逻辑戒(2013年餓中信出版社械中国海)餓懐城乡中国戒(上)(2013年餓中信出版社械中国海)餓懐城乡中国戒(下)(2014年餓中信出版社械中国海)駕。

(『環境・社会・経済 中国都市ランキング ー中国都市総合発展指標』に収録。肩書は当時