【レポート】発展原動力の二極化、中国の都市発展の大きなトレンドに 〜中国都市GDP・DID人口・IT輻射力・他12指標ランキング〜

 中国経済発展の空間構造に大きな変化が生じており、都市の発展で明確な集中と分化の現象が起きている。各種の機能が上位都市に集中する傾向が日増しに顕著になっている上、高度な機能の集中度がますます高まっている。これに応じて、都市間の分化も目立つようになり、いわゆる「発展原動力の二極化」が明らかになってきた。

 雲河都市研究院は〈中国都市総合発展指標2018〉を使って、12種類のデータに関する上位30都市ランキングを発表。全国298都市(地級以上)のパフォーマンスをもとに、複数の重要指標と機能の集中度を分析し、「発展原動力の二極化」を解説した。


1. GDPランキング上位30都市

 中国国内のGDPランキング上位10都市は順に、上海、北京、深圳、広州、重慶、天津、蘇州、成都、武漢、杭州で、この10都市の合計GDPが全体に占める割合は23.6%に達する。上位30都市の合計GDPは全体の43.5%を占めている。つまり、上位10%の都市が全国4割以上のGDPを生み出しており、中国経済の発展がGDPランキング上位30都市に高く依存していることが明らかとなった。

2. DID人口ランキング上位30都市

 密度は都市問題を議論する際の重要なキーワードだ。「中国都市総合発展指標」では、1㎢あたり5000人以上の地区をDID(Densely Inhabited District:人口集中地区)と呼び、人口密度に関する正確かつ効果的な分析を行っている。
 DID人口ランキング上位10都市は上海、北京、広州、深圳、天津、重慶、成都、武漢、東莞、温州で、この10都市のDID総人口が全体に占める割合は22.8%に達する。上位30都市のDID総人口は全体の43.2%を占めている。つまり、DID人口ランキング上位10%の都市には、全国4割以上のDID人口が集中していることになる。
 注目点は、中国298都市(地級以上)のGDPとDID人口の相関関係を分析した結果、両者に強い相関関係がみられ、相関係数が0.93の高水準に達し、「完全な相関関係」を示したことだ。さらに、GDPとDID人口という二指標のランキング上位30都市のうち26都市が重複した(順位は一部異なる)。これらは、DID人口の重要性を示しており、今後の中国の都市発展ではDID人口の規模と質に注目しなければならない。

3. メインボード上場企業ランキング上位30都市

 上海、深圳、香港の三大メインボードの上場企業数ランキング上位3都市は上海、北京、深圳で、この3都市のメインボード上場企業総数が全体に占める割合は39.6%に達する。上位30都市のメインボード上場企業総数は全体の69.7%を占めている。つまり、メインボード上場企業ランキング上位10%の都市に全国7割近いメインボード上場企業が集中している。
 メインボード上場企業が大都市、特に中心都市に集中する状況がますます顕著となった。

4. フォーチュン500中国企業ランキング上位30都市

 30年前の1989年に、フォーブスが発表するフォーチュン500にランクインした中国企業はわずか3社だった。2018年にランクインした中国企業は105社に大幅に増え、米国企業の126社に迫った。注目点は、中国企業3社がトップ10にランクインしたことだ。
 フォーチュン500の中国企業の本拠があるのは中国の28都市で、うち66.7%が北京、上海、深圳の3都市に集中している。一般的なメインボード上場企業に比べ、フォーチュン500に躍り出た中国企業は、全国的な中心都市に集まる傾向が強い。
 メインボード上場企業数ランキング上位30都市とフォーチュン500中国企業ランキング上位30都市を分析すると、中国の最も優良な企業の本社も、いわゆる経済的な中枢管理機能を北京、上海、深圳に代表される上位中心都市に集約している。

5. 製造業輻射力ランキング上位30都市

 製造業輻射力(周辺影響力)ランキング上位10都市は深圳、上海、東莞、蘇州、佛山、広州、寧波、天津、杭州、厦門(アモイ)で、この10都市はいずれも大型コンテナを利用しやすい港湾があるという優位性を持ち、10都市の貨物輸出総額が全体に占める割合は48.2%に達する。上位30都市の貨物輸出総額は全体の74.9%を占めている。つまり、中国では現在、製造業輻射力が大きい10%の都市から全国4分の3に当たる貨物が輸出されている。

6. IT産業輻射力ランキング上位30都市

 IT産業輻射力ランキング上位10都市は北京、上海、深圳、成都、杭州、南京、広州、福州、済南、西安で、この10都市のIT就業者総数、メインボードITセクター上場企業数、中小企業ボードITセクター上場企業数、創業板ITセクター上場企業数が全体に占める割合はそれぞれ52.8%、76.1%、60%、81%に達する。上位30都市のIT就業者総数、メインボードITセクター上場企業数、中小企業ボードITセクター上場企業数、創業板ITセクター上場企業数は全体の68%、94%、78.2%、91.2%を占める。中国のIT産業がIT産業輻射力ランキング上位都市に集中する状況が顕著となっている。
 現在、中国の多くの都市がIT産業を重点産業として発展させているが、実際には、IT産業は北京、上海、深圳、成都、杭州、南京、広州といった都市に集中し、特定の都市に集中及び収れんする傾向が製造業よりも強い。こうした意味で言うと、IT産業の発展を目指す都市は、IT産業の発展に必要な条件を研究・分析しなければならない。

7. 高等教育輻射力ランキング上位30都市

 高等教育輻射力ランキング上位10都市は北京、上海、武漢、南京、西安、広州、長沙、成都、天津、哈爾浜(ハルビン)で、この10都市の211プロジェクト対象大学と985プロジェクト対象大学総数、一般大学・専門学校の在校生総数が全体に占める割合は69.3%、26.0%に達する。上位30都市の211及び985大学総数、一般大学・専門学校の在校生総数は全体の92.8%、57.1%を占めている。現在、中国の高等教育資源、特にハイクオリティな高等教育資源が高等教育輻射力ランキング上位都市に集中している状況が明かとなった。

8. 科学技術輻射力ランキング上位30都市

 科学技術輻射力ランキング上位10都市は北京、上海、深圳、成都、広州、杭州、西安、天津、蘇州、南京で、この10都市のR&D(研究開発)人材資源総量、特許取得件数が全体に占める割合は36.3%、33.2%に達する。上位30都市のR&D人材資源総量、特許取得件数は全体の59.8%、62.6%を占めている。現在、中国の科学技術資源が科学技術輻射力ランキング上位都市に集中する状況が顕著となっている。

9. 文化・スポーツ・娯楽輻射力ランキング上位30都市

 文化・スポーツ・娯楽輻射力ランキング上位10都市は北京、上海、成都、広州、深圳、武漢、杭州、南京、西安、鄭州で、この10都市の映画興行収入総額、延べ観客数が全体に占める割合は34%、30.6%に達する。上位30都市の映画興行収入総額、延べ観客数は全体の57.7%、54.6%を占めている。
 現在、中国では文化・スポーツ・娯楽資源だけでなく、興行収入に代表される文化・スポーツ・娯楽消費が文化・スポーツ・娯楽輻射力ランキング上位都市に集中する状況が顕著となっている。

10. 飲食・ホテル輻射力ランキング上位30都市

 飲食・ホテル輻射力ランキング上位10都市は上海、北京、成都、広州、深圳、杭州、蘇州、三亜、西安、厦門で、この10都市の五つ星ホテル軒数、国際トップクラスレストラン軒数が全体に占める割合は35.7%、77.1%に達する。上位30都市の五つ星ホテル軒数と国際トップクラスレストラン軒数は全体の61.1%、91.8%を占めている。中国の高級飲食店とホテルが飲食・ホテル輻射力ランキング上位都市に集中する状況が顕著となっている。
 雲河都市研究院は〈中国都市総合発展指標2018〉を使って、IT産業輻射力と飲食・ホテル輻射力に関する分析を行った。その結果、両者の相関係数は0.9に上り、両者の間に「完全な相関関係」があることが明らかとなった。交流経済の典型であるIT産業では、高所得で見識が広い経営者たちは「食事をすることが好き」であり、「食事をすること」は間違いなく彼らが「交流する」重要なシーンとなっている。
 北京、上海、深圳、成都、杭州、南京、広州はIT産業輻射力が最も強い上位7都市で、これらの都市は中国で美食の街となっている。今や食事は、都市の交流経済が発展するために軽視できない「重要な生産力」だ。
 しかし、製造業輻射力と飲食・ホテル輻射力の相関係数はわずか0.68にとどまる。IT産業に比べ、製造業従事者は美食に対する感度が低いことが示された。

11. コンテナ港利便性ランキング上位30都市

 コンテナ港利便性ランキング上位10都市は上海、深圳、寧波、広州、青島、天津、厦門、大連、蘇州、営口で、この10都市の港湾コンテナ取扱総量が全体に占める割合は82%に達する。上位30都市の港湾コンテナ取扱量は全体の97.8%を占めている。言い換えると、中国では現在、コンテナ港利便性ランキング上位10%が港湾コンテナ取扱量のほぼ全てを独占している。
 雲河都市研究院が〈中国都市総合発展指標2018〉を使って、中国298都市(地級以上)の貨物輸出額と港湾コンテナ取扱量の相関を分析した結果、両者の密接な相関が明らかとなり、相関係数が0.81の高水準に達し、「非常に強い相関関係」が示された。また、製造業輻射力とコンテナ港利便性という二指標のランキング上位30都市のうち24都市が重複した(順位は一部異なる)。このことから、製造業特に輸出工業が良い条件を備える港湾に高く依存していることが明らかとなった。今後も引き続き、中国の製造業、特に輸出工業は良い条件を備える港湾がある都市へと向かい、集中が進む見通しだ。
 工業発展と港湾条件の関係をはっきりと認識することは、中国の将来的な工業分布に極めて重要な意義を持つ。中国は、至る所で工業化を進めた過去のやり方について真剣に議論し、内陸で分散式に工業化を進めた非合理性と低効率を見直すことで、工業のハイクオリティな発展を目指す必要がある。

12. 空港利便性ランキング上位30都市

 空港利便性ランキング上位10都市は上海、北京、広州、深圳、成都、昆明、重慶、杭州、西安、厦門で、この10都市の乗降客数と貨物・郵便取扱量が全体に占める割合は49.9%、73.5%に達する。上位30都市の乗降客数と貨物・郵便取扱量は全体の81.3%、92.9%を占めている。中国では現在、航空運輸による人の移動と物流の大部分が、空港利便性ランキング上位10%の都市に集中している現状が明かとなった。
 雲河都市研究院は〈中国都市総合発展指標2018〉を使って、中国298都市(地級以上)のIT産業輻射力と空港利便性の相関を分析した。その結果、両者の密接な相関が明らかとなり、相関係数は0.82の高水準に達し、「非常に強い相関関係」が示され、製造業輻射力とコンテナ港湾利便性の相関関係よりも強い。IT産業輻射力と空港利便性という二指標のランキング上位30都市のうち21都市が重複している(順位は一部異なる)。これらから、交流経済の代表産業となるIT産業の発展は、便利な条件を備える空港に高く依存していることが分かった。今後も引き続き、IT産業は良い条件を備える空港がある都市へと向かい、集中が進む見通しだ。


 現在の中国は、経済総量とDID人口総量はもちろん、各種の機能が少数の大都市、超大都市、大都市群に集中しつつある。その上、ハイエンドな機能がますます発揮され、上位都市に集中する現象が加速している。この流れはさらに強まる見通しだ。これらを踏まえ、各種の中心機能が集まる大都市、超大都市、大都市群の経済構造と空間構造をどのように改善するかが、中国の目指すハイクオリティな発展にとって極めて重要となる。


「中国網日本語版(チャイナネット)」 2020年1月2日