【激論】周牧之・索継栓・岩本敏男・石見浩一・小手川大助:GXが拓くイノベーションインパクト

■ 編集ノート:東京経済大学は2024年11月30日、国際シンポジウム「グリーントランスフォーメーションにかける産業の未来」を開催した。後援は北京市人民政府参事室。中国インターネットニュースセンターがメディア支援を担当した。
   福川伸次元通商産業事務次官、鑓水洋環境事務次官、岡本英男東京経済大学学長、楊偉民中国第十三回全国政治協商会議経済委員会副主任、中井徳太郎元環境事務次官、南川秀樹元環境事務次官、邱暁華中国統計局元局長、徐林中米グリーンファンド会長、田中琢二IMF元日本代表理事、周其仁北京大学教授、尾崎寛直東京経済大学教授をはじめ産学官のオピニオンリーダー16人が登壇し、日中両国のGX政策そしてイノベーションへの努力などについて議論し、未来に向けた提言を行った。実行委員長は東京経済大学の周牧之教授が務めた。
   セッション2「GXが拓くイノベーションインパクト」では、周牧之教授、索継栓中国科学院ホールディングス元会長、岩本敏男NTTデータグループシニアアドバイザー・元社長、石見浩一エレコム社長・トランス・コスモス元共同社長、小手川大助大分県立芸術文化短期大学理事長兼学長・IMF元日本代表理事が日中両国企業の取り組みと成果を報告し、GX分野での日中協力について展望した。


【激論】周牧之・索継栓・岩本敏男・石見浩一・小手川大助:GXが拓くイノベーションインパクト

東京経済大学 国際シンポジウム
~ グリーントランスフォーメーションにかける産業の未来~

■ Session 2 ■ GXが拓くイノベーションインパクト

司 会                  周牧之 東京経済大学教授、経済学博士
パネリスト           索継栓 中国科学院ホールディングス元会長
                             岩本敏男 NTTデータグループ元社長
                             石見浩一 エレコム社長・トランスコスモス元共同社長
コメンテーター 小手川大助 大分県立芸術文化短期大学理事長兼学長・IMF元日本代表理事

日時 2024年11月30日(土)13:00〜18:00 
会場 東京経済大学/大倉喜八郎進一層館

東京経済大学国際シンポジウム「グリーントランスフォーメーションにかける産業の未来」

周牧之:セッション1でのマクロ的な議論を受け、このセッション2では、ややミクロ的な議論を展開していきたいと思います。早速、本題に入ります。

■ ムーアの法則駆動時代

周牧之 東京経済大学教授
司会を務める周牧之 東京経済大学教授

周:1965年、後のインテル創業者のひとりになったゴードン・ムーアが、半導体集積回路の集積率が18カ月間ごとに2倍になる、そしてその価格が半減すると予測をしました。これが所謂「ムーアの法則」です。
 ムーアの法則は、物理的な法則ではありません。一つの目標値に過ぎないです。しかしムーアの法則を信じ、多くの技術者出身の企業家が半導体産業に沢山投資し続けてきました。その結果、半導体はその後60年間今日まで、ほぼムーアの法則通りに進化しました。これまで無かった製品やサービス、産業が生まれました。既存の産業も大きな変化を余儀なくされました。
 私はこの間の人間社会を「ムーアの法則駆動時代」と定義しています。ムーアの法則駆動時代では、ハイテクをベースにしたイノベーションが社会発展の原動力となります。
セッション2の第1グラウンドでは、中国科学院ホールディングス、NTTデータグループ、そしてエレコムという日本と中国を代表するテックカンパニーのリーダーに、其々の取り組みを紹介していただきます。
 先ほど総合司会が紹介してくださったのですが索さんは急用で来日できなくなったのですが事前に録画されたビデオで参加してくださいます。まず索さんのビデオを8分間流します。次に、岩本さん、石見さんの順で話してください。続いて小手川さんにコメントをお願いします。では索さんのビデオをお願いします。

ムーアの法則

■ イノベーションでGXと低炭素発展に貢献


索継栓(ビデオ参加): 私は中国科学院の索継栓です。仕事の都合により本日の会議に直接参加できず、大変残念です。ビデオを通じて皆さまと交流し、学べることを光栄に存じます。
 今回の会議テーマはGX、中国語でいう「双碳(カーボンピークアウト、カーボンニュートラル)」です。これは世界が共通して関心を持つテーマで、「双碳」は中国政府が打ち出した地球規模の気候変動に対応する重要な取り組みです。「双碳」の実現は、エネルギー転換、低炭素発展を促進し、経済の高品質で持続可能な発展のための重要な手段です。今後の発展理念と生態文明建設への中国の決意を表し、国際社会への責任ある大国としての姿勢を示すものです。
 中国科学院は、中国の科学技術戦略の主幹として、GXと低炭素発展を推進するため数々の措置をとり、一定の成果を上げてきました。

索継栓 北京市人民政府参事、中国科学院ホールディングスシニアディレクター、元会長
ビデオで参加する索継栓 中国科学院ホールディングス元会長

索:「双碳」戦略を実施するため、イノベーションに支えられる行動計画を発表しました。ビックイノベーションの突破にフォーカスし、特に0から1へのイノベーション、すなわち革新的な基盤技術の突破に注力しています。企業と研究機関との協力で、基礎研究から重要技術の突破、そして総合的な実証まで一体化した発展システムを築いています。こうした行動計画のもとで、中国科学院は、化石エネルギーのクリーン化、再生可能エネルギーの核心技術、先進的な原子力システム、気候変動対策、汚染防止と総合的環境管理など、多くの分野で世界的にもオリジナルな成果を挙げました。沢山の重要な実証プロジェクトを実施し、数多くのイノベイティブスタートアップ企業も育成しています。
 中国は「石炭が豊富、石油が不足、天然ガスが少ない」というエネルギー構造を持っています。毎年5億トンを超える石油を輸入する一方で、石炭資源が化石燃料全体の90%以上を占めています。石炭のクリーン且つ効率的な利用は、GXのカギとなります。これは、従来の石油を原料とする化学工業の発展経路をシフトさせる重要課題でもあります。中国科学院は石炭による合成油、オレフィン、エタノーなどの精製に関する多くの技術上の難題を克服しました。
これら技術に関しては、中国科学院山西石炭化学研究所が長年にわたる研究開発を通じて、多くの技術において、世界をリードする成果を上げました。こうした成果をもとに中科合成油公司を設立し、技術移転と応用を進めています。現在、千万トン規模の石炭による油精製工業装置を建設し、石炭資源の効率的かつクリーンな利用に有効なアプローチを獲得しました。
 また、中国科学院大連化学物理研究所が、石炭によるオレフィン精製技術を数十年にわたって研究してきました。現在、この技術は内モンゴル、陝西、新疆、寧夏といった主要な石炭産地で実用化されています。すでに23基の大規模工業装置が稼働し、オレフィンの年間生産規模は年間3,000万トンを超えました。
 再生可能エネルギーや蓄電技術においても、中国科学院は大きな成果を上げました。再生可能エネルギーの拡大にあたっては、蓄電技術のイノベーションが不可欠です。蓄電技術は、大規模な再生可能エネルギー発電を電力網へ接続する際の不安定性を緩和する基盤です。
中国科学院物理研究所は、蓄電分野において、長期にわたり研究を積み重ね、特にリチウム電池で顕著な成果を収めています。中国のリチウム電池産業の発展は、同研究所の研究成果に大きく支えられていると言っても過言ではありません。
 2016年に衛藍新能源を設立、固体リチウム電池製品を開発し、電気自動車、ドローン、電気船舶など多くの分野に応用され、広範な将来性を持っています。例えば、衛藍新能源の固体リチウム電池を搭載した蔚来(NIO)の電気自動車は、航続距離が1000キロを超えました。また、低空経済をはじめとする新たな分野においても広い応用の可能性を秘めており、さらに蓄電分野においても大きな発展余地を有しています。
 同時に、中国科学院はナトリウムイオン電池の開発に力を入れ、すでにエネルギー貯蔵産業において大規模な実証を行い、中国エネルギー貯蔵産業の発展に基盤を築いています。
中国科学院工程熱物理研究所は、圧縮空気エネルギー貯蔵分野で継続的に研究開発を行い、大きな成果を上げました。2021年と2024年には、それぞれ世界初の100メガワット級、300メガワット級の圧縮空気エネルギー貯蔵実証プロジェクトを完成させました。
さらに、中国科学院は、フロー電池、核融合などのエネルギー技術で大きな成果を上げています。
 中国科学院はイノベーションを通じて、GXと低炭素発展に大きく貢献し、中国の「双碳」目標の実現と、経済社会の持続可能な発展を支えています。

周:中国科学院は中国最大の、世界でもあまり例を見ないテック集団です。100を超える研究所を抱えています。索さんが会長を務めた中国科学院ホールディングスカンパニーはこれらの研究所から起業した企業をまとめる元締めです。次は岩本さんよろしくお願いします。

岩本敏男 NTTデータグループシニアアドバイザー、元社長
パネリストを務める岩本敏男 NTTデータグループ元社長

■ センシング技術で世界をカバーするデジタル3D地図

  岩本敏男:NTTデータグループの岩本と申します。今日は、周先生の司会で、小手川さんにコメントをお願いし、石見さん共々このパネルに参加できることを大変光栄に思っています。よろしくお願いします。私は画面を使いながらお話ししますので、画面を見ていただければと思います。NTTデータグループといっても案外ご存知ではない方もおられるので、簡単にご紹介させてください。NTTデータの前身は電電公社の中に出来たコンピュータ開発部隊です。電電公社は1985年に民営化してNTTになり、私どもNTTデータはその3年後に最初に分離独立してできた企業です。
 NTTグループはこの2年ぐらいで大きく集約をしていて、一つはドコモとコミュニケーションズを中心としたグループ。もう一つは地域会社の東日本、西日本の国内通信を手掛けているグループです。そして、最後が私どものNTTデータグループです。つい最近は海外の事業を全てNTTデータグループが引き受けることになりまして、約4.4兆円の売り上げになっている。こういう企業グループになっています。

岩本:私が社長を務めたのは2012年からでありますが、NTTデータは1988年、昭和63年が分離独立の年で、昨年まで35期ありますが一度も減収を経験していません。毎年増収に次ぐ増収で、先ほど申し上げたように2023年度で約4.4兆円です。2025年度が中期の最終年ですが5兆円近い売上まで達成する見込みです。海外の展開も、私が社長の時に思い切ってグローバル化にアクセスを踏みましたので、今ですと50カ国以上、従業員数は20万人に近い数です。日本の従業員が約44,000人なので、4倍くらいが海外、合わせて20万人ぐらい、こういう企業グループになっていると考えてください。

岩本:今日テーマになっているグリーントランスフォーメーションも世界のいろいろなところで非常に重要なことになっています。私たちはITビジネスの観点から、この達成をお手伝いしています。
 一巡目のプレゼンテーションでは、グリーンとは直接は関係ないかもしれませんが、みなさんにお伝えしたいNTTデータグループが持っているイノベーションの例を二つ紹介します。
まず一つ目は、全世界デジタル3D地図の活用です。これはJAXAのだいち、ALOSという衛星を打ち上げそのデータをIT処理し、三次元のデータ地図を作っています。そこに書いてあるように様々な用途で使われます。もちろんセンシング技術が入っていますので、当然GXは大変重要な一つのファクターです。映像を見ながらご説明します。
 これはエベレストです。別に飛行機で撮ったわけではありません。先ほど申し上げた衛星から撮影したものを画像処理し、こうした形にしています。衛星にはいくつものセンサーを積んでありますので、高さ方向のデータも全部撮ることができます。かなり細かい形で立体地図ができます。使われているのはこうした自然災害のビフォー&アフターですとか、或いは鉄道を作る、或いは自動車道路を作るというようなインフラの造成にも役立っています。
 このシステムの分解能ですが、最初は5mでしたが、今は都市部ですと50cm分解能まで可能です。例えば無線通信のアンテナ設置を設計するとき、どのビルのどこに無線アンテナを置くと、5Gがうまく通信出来るかというようなことのシミュレーションに役立ちます。いま世界中125カ国に輸出していて非常に使っていただいています。
 GXでは山林の利用が大変重要です。よくテレビでブラジルのアマゾンの森林がすごいスピードで消滅していることが放映されますが、こうした衛星からの撮影データを画像処理することで、手に取るようにわかってくる事例もあります。

■ バチカン図書館の文化遺産をデジタルアーカイブ

 岩本:もう一つ、これは直接GXとは関係ないかもしれませんが、私自身も携わったのでご紹介したい話があります。バチカン図書館のデジタルアーカイブ・プロジェクトです。バチカン図書館、みなさんご存知だと思いますが、ここには羊皮紙、パピルス、和紙などに書かれたマニュスクリプト、手書きのものが貯蔵されています。手紙もありますし、絵もあります。日本からのものも沢山あります。オペラ発祥の地、イタリアにありますので、楽譜などもあります。そういったものも羊皮紙、パピルス、和紙などに書かれていますから、放っておくと壊れてしまうこともあります。デジタルアーカイブするプロジェクトですが、この下に書いた3行は、私が言ったことではなくバチカンの人が言ったことです。「これらのマニュスクリプトはバチカンのものではない。バチカンの宝ではなく、人類の遺産である。」これをデジタルアーカイブすると、インターネットで世界中の研究者の研究室に届けることができます。それまではローマやギリシャを勉強したい研究者は、バチカン図書館に来て手続きを経て実際に見ていくわけですが、その必要がない。

岩本:私はローマに行って塩野七生さんともいろいろお話しをしましたが、彼女もここでいろいろな文献にあたった上で、ローマ人の物語、ギリシャ人の物語を書いているわけです。
 これがバチカン図書館の中の様子でありまして、私は何回も入っていますが素晴らしい美術館のようなところです。一般の人は入れませんが、私は仕事柄入ることができました。実はここにこういうものがあります。何だかお分かりですか?そんな大きなものではありませんが、和紙に金箔が張ってありました。金箔はかなり無くなっていましたが、ラテン語が書いてあり、右下に伊達陸奥守政宗と書いて花押が押してあります。

岩本:2011年の大震災は大変でしたが、400年前、まったく同じところで、月は違いますが1611年12月に大地震と大津波が起こっています。そしてその時の領主が伊達陸奥守政宗です。彼が実はローマ法王パウロ5世にあてて親書を出し、遣いを出しています。それが支倉常長という男です。彼は太平洋を渡ってアカプルコからメキシコに上陸し、その後スペインに渡り、国王に会おうとしました。なかなか会えなかったのですが。そして、地中海を抜けてローマに行くわけです。
 これは伊達政宗がローマ法王パウロ5世に当てた手紙です。実はこれのレプリカが仙台の博物館にあり、私はラテン語で書かれた横書きの手紙を見ていたのです。伊達陸奥守政宗は達筆だったので、祐筆を使っていません。いろいろな手紙をほとんど全部自ら書いていました。ラテン語が書けるわけがありませんので、横書きの親書は政宗が書いているわけではありません。実はバチカンに行ってみると、縦書きの和文があったのです。
 つまり、縦書きの和文と、横書きのラテン語の手紙が2通あったのです。いずれも伊達政宗の直筆のサインと花押が押されていました。
 伊達政宗の直筆の書に何と書いてあるか。伊達政宗が支倉常長をパウロ5世に派遣したのは、震災復興プロジェクトです。彼は実はメキシコと貿易をやりたかった。メキシコはスペインの植民地でしたから、スペイン国王に、ぜひメキシコとの貿易をさせてくれということを頼みたかった。
 パウロ5世には何と書いたか。嘘もいっぱい書いてあり、「もしこれを認めてくれたら仙台に教会を建て宣教師を迎える」と書いてあります。でもその頃、徳川幕府はキリスト教禁止令を出していますからあり得ないのですが、「ローマ法王パウロ5世もスペイン国王のフィリップ3世に、ぜひ日本との貿易をするように促して欲しい」ということが書かれていて、もし助力してくれたら先程のようなことをすると書いてある手紙ですね。こういったものを、デジタルアーカイブしたことが、私にとっても大変記憶に残ることです。

周:ありがとうございます。石見さんどうぞ。

石見 浩一  エレコム社長、トランス・コスモス元共同社長
パネリストを務める石見 浩一エレコム社長・トランス・コスモス元共同社長

■ THINK ECOLOGYでGXを


 石見浩一:周牧之教授の文献を読ませていただいて、実際1979年までの世界CO2排出量が、現在の蓄積の約54%に相当し、1980年から99年の増加分は現在の蓄積の15.3%、2000年から2019年までの20年間の増加分は現在の蓄積の30.7%を占め、もう世界は至急の状態になっていることが分かります。また中井徳太郎さんによると0.03%くらいが産業革命時の全大気の中のCO2量だったのが、今もう0.04%を超え、(CO2濃度)400ppmを超えて急激に進んでいるとのことです。実際GXの取り組みはマクロの部分では大勢の方が話していただいたので、私は1100億円くらいの企業のトップですから、そういう企業がこうしたことを積み重ねないとより良くならないのではないかという、何かヒントになるような話が出来たらと思います。
 私の簡単な自己紹介から入らせていただきます。私自身は味の素とトランス・コスモスとエレコムの3社に在籍し、新しい事業の創造や海外事業の発展、経営に携わってきました。実質156カ国にビジネスとして訪問しその市場を見、事業を作ってきました。CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)や関係会社の経営や取締役を200社近くさせていただき、いろいろな形で上場企業も含め経営を見てきた経験があります。よりGXのグローバル化への取り組みは重要だと身をもって感じます。
 エレコムは、創業38年周年目に入り、葉田順治という創業者と共に経営を一緒にしています。エレコム自身はPC、モバイルなどの製品を開発、発売し、BtoCからBtoBへ事業拡大し、今はグローバル事業への発展を取り組んでいる企業です。最近、調理家電やペット家電、ドライヤーなど通電系の事業も広がりを見せ始めています。
 エレコムブランドの70%以上は中国で製造しています。私たちはファブレスメーカーですので、私たちが開発、デザインをし、中国のメーカーと一緒になってモノを製造する。そして販売、営業をエレコムが担うことで、日本の量販店、B to B市場へ販売しているという事業プロセスです。
 エレコムの企業の目的である「Better Being」とその取り組みとしてここで書いています。ポイントでは、製品開発、調達面はエレコムが担い、よりお客様にご満足いただける製品やソリューションを提供する。中国も含めたサプライチェーンを一緒にきちんと実行することにより、より価値の高い製品やコスト効率の良い製品を生産する。そしてそれらの製品を日本のみならずこれからグローバル市場という成長の高い市場に提供していきたい。海外市場販売はまだ全体の3%の売上です。次の5年間でグローバル市場を20%まで持っていきたいと考えています。事業の根幹である従業員、「人」が一番重要だという経営感を私は持っています。Better beingをパーポスにし、これからもより良い製品、より良いアクションを続けていきたいと思っています。

石見:エレコムグループが最初にGX活動らしく進めていることの一つに、森を再生することです。これは結構時間がかかります。2009年と2012年に海辺と山に対して、再度森林を再生の取組を実施しています。10年、15年単位で森を、防風林を、再生していく。これを実際進めることによって、他の場所にも広げられるパターンを作りつつあり、各自治体とも話をし、エレコム自身のノウハウとして今後も進めていきたいとと考えています。

石見:また、棚田100選に選ばれた丸山千枚田という景観を維持、広げる活動も実施しています。この棚田は熊野にあります。実際自治体へ寄付する中でこの素晴らしい景観をより早く、継続的に再生していきたいと感じ取り組んでいます。実際行っているときに知見のある方が言われていたのは、棚田を守ることだけが答えではない。棚田と上流にある山、森が繋がっているのでその森、山からどの様に水が下りてきて、棚田と連携しているかの循環を見据えて設計しないといけない。森の適宜伐採も含め進めていかないと丸山棚田がきちんと管理出来ていることにならないと指導を受けました。森からつながって、田んぼがあり、結果としてお米ができるという点を私自身が認識しました。

石見:現在のエレコムがGXの主流が、CO2排出を吸収できる取組、森をつくる、棚田を再生する活動を中心に進めています。今後さらにサステイナビリティを考える上で、強力に実現していけないと考えていることが、(エレコムグループGX活動)2と3です。
 2と3は実際私たちが再生エネルギーを使って、モノを作っていく。日本にも松本と伊那に工場があり、湘南国際村に研修所があるので、そこは太陽光の発電パネルを中国から仕入れ、そこで再生エネルギーを使って動く取組を進めています。

石見:また石油由来のプラスチックをなるべく減らしたいということから、2021年に、「THINK ECOLOGY」というブランドをエレコムとして作りました。そのTHINK ECOLOGYが付く製品をより多く出していこうということを、凄く今考えてやっています。例えば、ケーブルですが、このケーブルは土に還ります。とうもろこし由来のプラスチック再生を使っています。ただ、こういう製品にかかるコストが1.3倍から1.4倍くらいになるので、製品の意味を伝えて高く製品を販売できる消費者を作るとか経済的な形をどう作っていくかが、大きな課題だと思います。
 「THINK ECOLOGY」ブランドで、パッケージやプラスチックの再生や、マニュアルのWeb化を、2021年と比して、10%、20%落とした製品であればこのマークを付けて良いと決めて、いま全型番の52%まで来ています。これが100%になっていくことを目指し、そして従来より今プラスチック74トン分くらいは効率化で使わなくなってきていますので、そうしたことを迅速に実行していくことが企業として大切に考え、動いてる最中です。

周:ありがとうございます。このセッションの登壇者三人(岩本敏男NTTデータグループ元社長、石見浩一エレコム社長、小手川大助IMF元日本代表理事)には共通の特徴が一つあります。それは、御三方がいずれも日本のグローバル化を推し進める旗手であるということです。国際人であるだけでなく、それぞれの企業グループのグローバル化を、猛烈に推し進めてきた方々です。
 私の隣の小手川大助さんは、英語は勿論、ロシア語や中国語もできます。先ほど(セッション1)の田中琢二さんの先輩で、IMFの日本代表理事も務めてきた方です。このグラウンドのコメントをよろしくお願いいたします。

コメンテーターを務める小手川大助 大分県立芸術文化短期大学理事長兼学長・IMF元日本代表理事
コメンテーターを務める小手川大助 大分県立芸術文化短期大学理事長兼学長・IMF元日本代表理事

■ 環境対策と産業競争力の両立が鍵

小手川大助:私の方から、環境問題について若干、地政学的な観点から説明申し上げます。先ほど話に出た2024年11月8日がアメリカ大統領選挙でしたが、それと同じくらい重要だったのが、2024年11月9日にドイツの政権が破綻したことでした。理由は、財務大臣を務めていた自由民主党党首のリントナーが、環境予算の継続と、ウクライナに対する支援の継続の二つに最後まで反対したため、ショルツ首相がその財務大臣を解任したからです。
 その結果、ドイツ政府は瓦解し、2025年1月中旬に総選挙になりました。実はこの問題が生じる前に、ドイツでは2024年9月に3つの州で州選挙があった。そこでこれまで極右と言われていたドイツのための選択肢(AFD)と、半年前に出来たばかりの新しい党で極左と言われているザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)という、女性が作った新しい政党BSWの、二つの党が大勝利しました。そして、三つの州全てで。緑の党と自由民主党の議席がゼロになりました。
 いま言いました極右・極左の二つの政党に共通している政策があります。一つは、ウクライナ戦争反対、ドイツはウクライナに対して支援をするべきではないということ。もう一つは、行き過ぎた環境政策をすぐに止めるべきである、という二つでした。
 なぜかと言うと、この環境政策のために、ドイツの主要企業の60%が海外へ行ってしまったからです。先週ドイツの有名企業フォルクスワーゲンが中国の工場を閉めると発表しましたが、いよいよ今晩のうちに合意をしなければ、明日からフォルクスワーゲンの組合はストライキに入ります。
 そういうことで、ドイツは、環境政策やウクライナ支援より経済重視に大きく舵を切ってきていますので、これは非常に注目しなければいけないと思います。
 ちなみに2025年1月に総選挙があったらどうなるか。予想ですが、もともと政権を持っていたキリスト教社会民主同盟(CDU)はおそらく第一党で残るだろう。一方で、緑の党と自由民主党はほぼ議席はゼロになると言われています。それに代わってドイツのための選択肢(AFD)がおそらく社会民主党を抜いて第二党になる。それから新しい政党であるBSWも、下手をすると社会民主党を抜くかもしれないと言われています。
 まず、ヨーロッパの環境政策の一つの中心であるドイツが、大きく変わっていきそうだということになります。

周:要するに、環境問題と国内産業の競争力を両立できるかどうかについて、ヨーロッパもアメリカも、いま大変に揺れ動いています。激動の時代に入ったのですね。
 一方、中国では、先ほど皆さんの紹介でわかるように、EV(電気自動車)、そして自然エネルギー等々の環境関連産業がいま大発展し、国際競争力がかなり身についた。むしろ、環境問題と国内産業の競争力が両立できるような形になりつつあります。

司会の周牧之氏とコメンテーターの小手川大助氏
司会の周牧之教授とコメンテーターの小手川大助氏(左から)

■ ムーアの法則駆動産業が世界経済をリード

周:「ムーアの法則駆動時代」で、世界の産業構造はがらっと変化しています。時代が昭和から平成に切り替わった1989年、当時の世界時価総額ランキングトップ10企業の中で日本企業は7社も占めていました。GICSという世界産業分類基準の中分類から見ると、これらトップ10企業は、「銀行」の中分類は日本興業銀行、住友銀行、富士銀行、第一勧業銀行、三菱銀行5社が入っています。「石油・ガス・消耗燃料」に、エクソン(Exxon)、シェル(Shell)の2社が入っています。「電気通信サービス」はNTTの1社。「公益事業」は東京電力の1社、「ソフトウェア・サービス」はIBMの1社が入っていました。この第6位のIBMが、当時トップ10企業の中で唯一のテックカンパニーでした。

周:これに対して、35年後の2024年1月のデータでは、世界時価総額ランキングトップ10企業の構成は完全に塗り替えられました。テックカンパニーの存在感は一気に高まり、GICS産業中分類で見ると、首位のマイクロソフト(Microsoft)は「ソフトウェア・サービス」の中分類に分類され、第2位のアップル(Apple)は「テクノロジー・ハードウェア及び機器」です。第6位のエヌビディア(NVIDIA)が「半導体・半導体製造装置」です。この三つはいずれもGICSでは、「情報技術」という大分類に属しています。つまり、この3社は典型的な「ムーアの法則駆動産業」のリーディングカンパニーです。
 「メディア・娯楽」に中分類される第4位のアルファベット(Alphabet、グーグル)と第7位のメタ(Meta、旧Facebook)は歴然としたIT企業です。第5位のアマゾン(Amazon)は「一般消費財・サービス流通・小売」に中分類されていますが、ネット販売、データセンター、OTTのリーディングカンパニーです。第9位のテスラ(Tesla)は「自動車・自動車部品」に分類されていますが、この4つの企業は、すべて実は情報技術を使って既存産業の在り方を転換させたテックカンパニーです。なぜかというと、テスラは自動車メーカーというよりは自身をIT企業だと一生懸命アピールしています。実際もトップ級のIT企業です。つまりこの4社は、まさしくDXでこれら伝統的な産業を「ムーアの法則駆動産業」へと置き換えたリーディングカンパニーです。

周:これらテックカンパニー7社の時価総額は、いま12兆ドルを超え、世界の時価総額合計の13%弱を占めています。これはどのくらいの規模かというと、東証の全ての企業の時価総額の合計の約2倍に相当します。

■ スタートアップテックカンパニーがパラダイムシフトの主役

周:このテックカンパニー7社は圧倒的存在感から、アメリカでは「Magnificent 7」(マグニフィセント・セブン)と表現されています。注目すべきは、マグニフィセント・セブンがすべてスタートアップテックカンパニーだったことです。
 ムーアの法則のもとでの成功は、斬新な製品・サービス及びビジネスモデルを描く想像力が必要です。また、開発に膨大な時間とリソースが要るため、企業を起こし、自分でリスクを引き受けられるリーダーシップと、それを支えるチーム力が欠かせません。
対する大企業は、日本だけでなく国を問わず、何故かムーアの法則駆動時代でのパフォーマンスが、精彩に欠けています。
 これは大企業が組織の性格上、リスクテイクが苦手であること、また個人をベースにした想像力、リーダーシップの発揮がしにくいからでしょう。
 スタートアップテックカンパニーは、リスキーで長いトンネルを抜けた後、ようやく成功にたどり着きます。マグニフィセント・セブンは全てに、いまこのエヌビディアの株価で見られるパターンがあります。長い間非常に低迷し、急に伸びてくる。これは、(成功に至るまでの株価曲線が)左側に倒れた“L”字に見えるため、私はこれを「L字型成長」と定義しています。

周:1989年の世界時価総額ランキングトップ10企業で、第6位のIBMは、当時は唯一のテックカンパニーでした。しかし当時IBMはすでに100歳に近い巨大な古参企業で、斬新な製品・サービス及びビジネスモデルにチャレンジできる体質を持っていませんでした。世界に君臨したIBMは沢山のチャンスを逃し、業績が低迷し、現在、世界時価総額ランキングで、第79位に後退しました。

周:これに対し、マグニフィセント・セブンは鮮度が高い。創立順で見ると、マイクロソフトは1975年、アップルは1976年、エヌビディアは1993年、アマゾンは1994年、アルファベット1998年、テスラは2003年、一番若いメタが2004年です。7社の平均年齢は32歳です。特に創業者がCEOを務めるテスラ 、エヌビディア、メタの 3社は勢いがすさまじい。これら企業の鮮度の良さは、イノベイティブな体質を保つカギだと私は思います。
 日本、米国、中国3カ国それぞれの時価総額トップ100企業を最近私は比較分析しました。この分析で3カ国の企業の鮮度に大きな違いがあると判明しました。
 日本は、2024年の時価総額トップ100のうち1980年以降の創業は僅か5社。その中に岩本さんのNTTデータが入っています。しかし、21世紀創業の企業はゼロでした。大企業の官僚化で、リスクのある新規事業に消極的になりがちです。ですから結果、ムーアの法則駆動産業の発展が遅れ、日本は海外のテックカンパニーに支払うデジタル赤字が、2023年5.5兆円にまで膨らんだ。5年間で2倍増となりました。

周:対照的に、米国トップ100企業のうち、1980年以降の創業は何と32社にのぼります。そのうち21世紀創業の企業は、8社もあります。これら鮮度の高いスタートアップカンパニーこそ、ムーアの法則駆動産業を牽引しています。
 中国はトップ100企業のうち1980年以降の創業は82社にも達しています。そのうち21世紀創業の企業は、4分の1の25社にものぼります。中国のトップ企業の鮮度の良さは極めて顕著です。創業者のリーダーシップでイノベーションや新規事業への取り組みが素早いです。
 つまり、今日の世界における企業発展のロジックは完全に変わりました。技術力と起業家精神に秀でたイノベーティブなスタートアップ企業が、世界経済パラダイムシフトを起こす主要な勢力となっています。
 ここでいう起業家精神とは、企業を興す起業家精神です。GX時代も、まさしく起業家精神の有る無しに、かかっています。
 このセッション登壇者の皆さまのNTTデータ、そしてエレコム、また中国科学院ホールディングス傘下のレノボ(Lenovo)は、すべて1980年代に創業したテック企業です。このグラウンドでは、起業家精神の突破力でテック企業の発展、そしてGX推進をどう進めていくかについてご説明ご紹介いただきます。

■ レノボに代表される起業家精神が開花

索:中国科学院は、中国の戦略科学技術の主幹として、中国の科学技術進歩を推進し、高水準の科学技術自立自強を実現する重要な使命を担っています。特に起業家精神を発揮し、イノベイティブなスタートアップ企業を奨励するために、一連の取り組みを進めてきました。
 まず中国科学院の投資企業については、中国科学院の研究成果の市場化、産業化という重大な使命を担っており、新たな生産力を育成する重要な「イノベーションの発信拠点」として、また産学研融合を推進する重要な「インキュベーション拠点」としての役割を果たしています。これら企業は、新興産業に焦点を当て、重要なコア技術分野での研究開発に取り組んでいます。そのことによって、中国の経済社会発展を支える科学技術基盤を提供しています。
 中国科学院が出資する企業は1900社を超え、その多くはAI、半導体、ソフトウェア、環境保護などの分野に集中しています。現時点で、そのうち52社が上場しています。これら企業はそれぞれの分野で業界をリードする存在になりつつあります。中国科学院の成果を基盤として設立された企業は、技術を改良・高度化するため、科学院との連携を緊密に保っています。中国科学院高能物理研究所が2021年、国科控股と共同で設立した企業国科中子が一つの好例です。同社は加速器を用いたホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の成果を産業化しました。
 2015年の「科学技術成果転化促進法」の改正が研究者の起業意欲を大いに喚起し、企業と研究機関との人材交流を促進しました。それ以降、中国科学院の直接投資で555社の企業を設立し、そのうち90%が科学技術成果の産業化を目的としたものです。
 起業を促す制度保障、資金支援、人材育成などの政策も打ち出しました。まず人事や評価制度に関する政策を策定し、研究者が科学技術成果の産業化に積極的に参加できるよう奨励し、その権益を保障します。資金支援の面では、科学技術成果の産業化を促す行動計画を立ち上げ、重要な科学技術成果の実用化を後押しします。さらに人材育成と交流の面では、大学や企業と協力し、科学技術産業化の専門人材を育成、各種交流活動を行い、企業と研究機関との交流・協力を強化し、イノベーション企業に人材的支えを提供しています。

シンポジウム当日の東京経済大学キャンパス
シンポジウム当日の東京経済大学スキャンパス

索:皆さんもよくご存じのレノボグループ(Lenovo:聯想)は、実は中国科学院から生まれた企業です。1984年、柳伝志氏は中国科学院計算所の研究者10人と共に、わずか20万元の設立資金で、聯想の前身となる「中科院計算所新技術発展公司」を創立しました。創業初期、聯想は主にIBM、HP、SUN などの海外ブランドの販売代理を手掛けました。当時の中国産業はまだ非常に遅れていたため、聯想は積極的に事業を模索しました。同時に、研究開発を強化し、独自に「聯想式漢字カード」を開発、英語のオペレーティングシステムの中国語翻訳に成功しました。これが聯想発展の基盤となりました。
 聯想は2004年、 IBMのパーソナルコンピュータ事業を買収し、本格的に国際化の道を歩み始めました。IBMのPC事業は世界的に大きな影響力を持っていたからです。当時、零細企業聯想が大企業IBMを飲み込んだとして大きな話題になりました。この買収を通じ、聯想はより広大な市場と先進的な技術を獲得し、産業システム化によって国際競争力を一層高めました。
 その後、聯想は 2011年にNECのノートパソコン事業を買収し、さらに2014年にはグーグルからモトローラ・モビリティを買収しました。そして2017年には富士通の完全子会社FCCLの株式51%を取得しました。聯想は一連の国際的な買収を通じて、グローバルな経営体制を整え、世界のPC市場でチャンピオンとなりました。聯想は、国際市場を積極的に開拓し、自ら挑戦し続ける、いまや中国企業の代表的存在となりました。
 レノボグループの発展は、まさに起業精神に満ちた奮闘の歴史です。また中国科学院の成果の産業化、そして国際化への一つの典型的な事例です。これらの企業は、中国のイノベイティブなスタートアップに貴重な経験を提供し、中国の科学技術分野に大きく貢献しました。

国際シンポジウム会場

■ GHG排出量の可視化C-Turtleプラットフォームで排出量削減を

岩本:NTTデータグループが、GXでどんなことをしているか、そして将来どういうエネルギー分野でどんなビジネスを考えていかなければいけないか、ということについてお話ししてみたいと思います。先ずGXで当社がやっていることは国と同じく、2050年カーボンニュートラルを達成するということを公表したのですが、2023年に10年早めて2040年にはカーボンニュートラルが出来るということを公表しています。

岩本:これからお話しをする様々な取り組みは当社自身もそうですが、当社のサプライチェーンの上下流には多くのIT企業がいますので、そういうメンバーを巻き込みながらやれるかなということです。
 カーボンニュートラルは、はっきり言うとCO2を排出することと、CO2を吸収することとの差分を実質ゼロにすればいいと言うことになるわけですので、この原則を見ながら議論する必要があるかなと思います。

岩本:排出量の概要をいまさらお話しするわけではありませんが、GHG(温室効果ガス)は二酸化炭素だけでなく、他にもさまざまなものがあります。これらを二酸化炭素に換算すると、最近の統計では日本は11億トンレベルまで削減しているはずです。これを算定するのが重要なので、繰り返しで恐縮ですが、GHG排出量は活動量と排出原単位をかけたものだということを確認しておきます。
 企業のGHG削減計画は、国の指導もあって大体は2050年カーボンニュートラル、2030年はその半分ということです。このことをサステナブル報告書で公表しているのが日本のほとんどの大企業です。
 お分かりの通り、「Scope1」と「Scope2」は、いい悪いは別にして、分かりますし、やればいいんじゃないかと。「Scope1」と「Scope2」だけで十分だという人もいます。皆がやれば全部なくなるのだからということですが、でもそれだけでは十分ではないので、上流と下流のいわゆる「Scope3」というのがあり、これにどう対応するかが企業として一番悩んでいるところです。

岩本:どうやって計算するのか、本当にそれで削減につながるのか、というのが大変な課題になっているのは皆さんもご存知だと思います。
 二種類のGHG排出量の可視化、見方が違うと言ってもいいわけですが、一つは企業全体の排出量を可視化するということと、もう一つは企業が生み出す製品やサービス別の排出量の可視化。これはどちらも重要です。

岩本:この右側は、カーボンフットプリントと言われるわけですが、どちらも重要です。さらに言うと、それぞれには良い点と悪い点があります。目的によっていろいろ使い方を変えなければいけないのですが、いずれにせよ全社ベースで出すものと、其々の製品或いはサービスごとに出すフットプリントをちゃんとやらないとわからない、ということです。

岩本:そこで、可視化のプラットフォームをNTTデータはかなり前からご提案して、多くの企業に使っていただいています。
 つまり、先程申し上げた上流から下流にいくサプライチェーン、原料を買ってきて、自分の資本材を作る、自分のところでいろいろなScope1或いはScope2で出すのと、実際製品として出荷した後、それを消費する人、或いは最後は廃棄まで行くわけですが、そこでどのくらいCO2が排出されるか、このトータルをマネージしないと本当の意味でカーボンニュートラルにならないのです。

岩本:とはいえ、企業にはさまざまな課題があります。つまり、どう算定方法を出せばいいのか。細かくやればやるに越したことはないが、それをやる人の事務負担はたいへんで堪らない。
 それから、何のために可視化をするのかと言えば、CO2削減するためにやるわけですが、2次データを使って、この製品で大体このくらいの排出量だと計算するわけです。
 例えばパソコンを購入する例です。先ほどのレノボの話もありましたが、単にコストや能力だけでパソコンを買ってくるのではダメです。パソコンメーカーがカーボンフットプリントの観点で、自分のところのパソコンはこうだと出してくれると、それによってコストは高いがこちらの製品を買うかという判断ができます。
 鉄もそうです。水素還元で製造した鉄を買うと値段は高いがカーボンニュートラルの観点からはそちらを買うか、ということが出来るのでCO2削減ができる。

岩本:Scope1或いはScope2はもちろん大きな意味があります。問題なのはScope1、Scope2ではなくScope3です。私たちが提案しているC-Turtle のプラットフォームを使うと、自分のところ以外で排出される温室効果ガス、先ほど申し上げたように活動量✖︎排出原単位15カテゴリーがあることを皆さんご存知でしょうけれど、これが簡単に算出できます。  
 重要なのは一番上と二つ目です。買ってくる製品・サービス、或いは自分のところの資本材を作る。ここが凄く大きいので、これをどうやるかということですが、さきほど申し上げたように算出のやり方はさまざまですし、最初は皆さんエクセルなんかでやっていたのですが、とてもやり切れないわけです。従って私共のC-Turtle を提供することになったわけです。
 ちょっと簡単にまとめてみましたが、左側に書いてあるのは、N年度のサプライヤーの排出量です。このScope3をきちんと計測できるようになると、次の年にはサプライヤーからそれぞれ自分のところがこれだけ排出量が減りましたということが出てくる訳です。
 そうすると、それが自分のところのScope3の排出量削減につながるので、この仕組みを大きな負荷をかけないでやれるようにする。しかもこれが国際的なプラットフォーム、例えばCDPとかいろいろなところと連携をしながら、単に日本だけの独りよがりでは無い形にしていく。これが私どものC-Turtleのプラットフォームです。現在、多くの方々にご利用いただいています。
 実際に私どもでやってみると平均の排出原価単位が40%くらい改善できました。これは我々のサプライチェーンにつながる方々と、こういうことを理解してもらい、そうしたソフトプラットフォームをやってもらわないと出来なかったことです。

■ 膨大な電力を消費するAI時代への対処

岩本:二つ目。我々はデータセンターを山のように持っています。先ほどもNVIDIAの話がありましたけれど、AIもあり今データセンターは世界中で物凄い需要があります。NTTデータグループは、延べ床面積がたぶん世界でNo.3のデータセンターを世界中に保有しています。このデータセンター自身をグリーンにしていくというのは、大切なことです。
 東京都三鷹市に私が社長時代に建てたデータセンターがありますが、このデータセンターは最初から自然界のエネルギーを最大限に使う。もちろん太陽光パネルもそうですが、外気温が低い時は自然の外気温の冷却空気をうまく使う。ホットアイルとコールドアイルを上手く使うということが仕掛けられています。
 さらに、これはうちのデータセンターだけではありませんが、いろいろなデータセンターの中にサーミスタを置き、ワイヤレスでこの温度センサモジュールをコントロールすると、データセンター全体で、どこがどのくらいの温度になっているかが、可視化出来ます。これが可視化できれば、何故そういうことになるのか手を打つことが出来るので、こういう地道なところからデータセンターのグリーン化が進められています。

岩本:もう一つ、最近のAIの使用にも関係して、一般的に空調は実際の負荷がどのくらいあるかということとあまり関係なしに、ある一定の冷媒を流すようなことをやっています。つまり冷房用の消費電力が高止まりしているのですが、実際の温度は先ほどセンサーにサーミスタを付けると、どこがどのくらい時間別に発熱しているか分かるので、出来ればそれに合った形で、実際の冷媒を出すという形がいいわけです。こうしたことによってかなりの削減効果が得られてきています。

岩本:それから、ショートサーキットも、ちょっと専門的ですがお話しします。データセンターの中にラックがあり、そこにいろいろなパネルが入っているのですが、全部埋まっていないで空いているところがあると、(排熱が)漏れてきてしまい、冷房能力が低下します。簡単な話、そこのブランクを詰めてしまうと、いわゆるショートサーキットが起こらない。こうした地道な事もやりながら、データセンターの電力を下げる努力をしています。これがショートサーキットの防止で、付ける前の状態と、付けた後の状態では大きな差があります。

岩本:それからもう一つは、オンプレミスで、自分のところでデータセンターを構築したり、自分のところでプライバシークラウドを作ることがあるのですが、最近は、いわゆるオープンクラウドに移ってきています。この時も、出来るだけカーボンニュートラルが進んでいるパブリッククラウドへの移行をしていくとか、或いは、消費電力効率の高い最新のデータセンターを選択する、ここには当然ディザスタリカバリの装置なども考える必要がありますが、こういったこともトータルのカーボンニュートラルを削減する意味では大きな効果があると思います。

岩本:このデータセンターの電力消費で面白い仮説をお話しします。2016年の全世界の電力使用量は、せいぜい1ペタワット(1000テラワット)くらいです。ペタは1000倍ですから。これはIT関係の電力使用量ですからデータセンターだけでなく、いろいろな通信に使う設備などを全部入れています。
 これが2030年だと、たぶん42ペタワットくらいになるのではないかと言われています。さらに、2050年には桁違いに使うのではないかと言われています。消費電力がIPトラフィックに単純に比例したらという前提ですが。
 実際は、こんなことは起こらないです。何故かというと、2016年が1.1ペタワットくらいだと言いましたが、実際に世界中で発電される量は2016年が25ペタワットくらいで、2023年度は29.7ペタワットくらいです。だから2030年の世界発電量は多分伸びて、おそらく40ペタワット位まで行くのかもしれません。それでも2030年には世界発電量の全てをITだけで使うということになり、そんなことはあり得ません。現在、全世界の発電量の中で、ITでの使用率はせいぜい数%くらいです。

岩本:ただ、トラフィックは間違いなく伸びますし、データ量も圧倒的に伸びていきます。いまのは単純な試算値ですので、ITで全世界の発電量全てを使うなどということは起こらないですが、このくらいIT系、デジタル系で使う電力が増加していくということです。
 最近は、AIのデータセンターの電力使用量がものすごく多いと言われています。チャットGTP-4o(オムニ)は、公式な発表はありませんがパラメータ数が1兆を超えてきています。GTP3は1750億個のパラメータでしたが、そんなに時間がかからず人間の脳に匹敵する10兆、あるいはそれ以上なると思います。AIは大量のデータを学習させます。チャットGTPもそうですが、学習させるというのはNVIDIAなどの半導体を駆使し、大量のコンピュータパワーを必要とします。つまり、電力をものすごく必要とします。大体、原発1基分です。
 さきほど周牧之先生が、NVIDIAがなぜ急激にL字型で伸びたかと言いましたが、元々彼らはゲーム用の半導体メーカーです。ゲーム用の画面処理をするので、パラレルコンピュータ、パラレルプロセッシングできるように考案されたグラフィックプロセッサーです。GPU(Graphics Processing Unit)というのです。CPUと言わないです。ところが、AIが登場して爆発的に伸びてきたのです。AIの学習もかなり並列的な処理ですので、これが使えるということです。
 AIは膨大な電力を消費することがわかってきています。学習だけでなく、使うときもそうです。例えば、皆さんがGoogleで一つ検索を出すと大体0.3ワットくらいです。だがチャットGTPでやると10倍くらい、3ワットくらいかかるのです。

■ IOWNで究極のデータセンターGXを

岩本:冒頭申し上げたように、世界中で、日本でもそうですが、DC(データセンター)の需要はものすごい勢いで増えてきています。世界中で要請があります。たぶんDCを次々と構築しても足りないくらいです。DCの構築には電力問題を解決していかなければいけない。電力会社からの必要電力の供給を保証してもらうことが重要です。
 結論、電気を使うからいけないのです。電気を使わなければいいのでは、というので、NTTグループが提唱しているのが「IOWN(アイオン)(Innovative Optical and Wireless Network)」計画です。つまり、光を使う。

岩本:皆さん方も、通信に光が使われているのは、当たり前のように知っています。FTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)で、家までも光で入ってきています。光はそれほど電力は必要としません。でも昔は光で通信するとき、途中でルートを変更して中継するとき、一旦電気に落として、また電気から光というステップを踏みました。いま通信は中継なども含めて全部光で行います。
 最近出たIOWNの1番目のステージは、もうすでにサービス開始しましたが、これは遅延も少なく、大変素晴らしいネットワークです。次のような実験しています。東京に指揮者がいて、大阪のオーケストラを振る。ここには音楽に詳しい人がいると思いますが、ちょっとした遅延があっても、音楽家は絶対だめです。ところが、IOWNを使うと、音楽家の敏感な耳ですら、違和感を覚えないほどの低遅延ですので、東京の指揮者が大阪のオーケストラを指揮することができるということです。  
 ここまでだったら、なんだ、通信の話か、ということになると思うのですが、従来の銅線を使った通信もそうですが、電気通信技術でした。それを光と電子を融合する技術、光電融合技術(フォトエレクトロニクス)を使うと、とんでもない良い事が出てくる、ということになります。
 IOWN計画は、さきほど申し上げたように大容量、低遅延、低消費電力などを実現するのですが、IOWN1.0、オールフォトニクスネットワークは、すでに動き出しています。これができると、データセンター同士をつないで、ディザスタリカバリをやるのでも、遅延問題がなかなか大変でしたが、問題なく解決できるようになります。
 遅延問題では金融取引所でも数十ミリ秒くらいの遅延ですら問題になっていました。だから取引所サーバーの横に、其々の証券会社のサーバーを置かしてもらって取引をすることが起こっています。
 IOWN1.0でも凄いのですが、ステージは2.0、3.0、4.0と上がります。2.0はサーバーの中のボードとボードの間を光で結ぶ。これも出来るかもしれません。3.0はボードの中の半導体のチップのパッケージ同士を光で結びます。最後は、チップ中も光でやってしまう。つまり光半導体を作ることですが、技術的には出来る見込みです。ただ問題は、製造技術であるとか、品質のコントロールとか、コストとか、そこまで考えると私は実現までには2つ3つまだ課題があると思っています。
 ここまで行くとエネルギーは電気の100分の1になります。ということは、先ほどこんなことは絶対ありませんと言ったものの、100分の1なので、IT分野でのコンピュータパワーの大幅な伸びがあっても、電力はそれほど伸びないということになりますので、十分賄えるということになります。
 これは大きなイノベーションを起こすということです。周先生の先ほどの指摘とちょっと違うのは、大企業だってやれます。ベンチャー企業だけがやるのではありません。とくに日本の場合は、大企業はやります。日本製鐵ですら、水素還元を頑張ってやっています。まだ出来ていませんが、技術的には実現可能です。でも将来はコスト的にも実用化できるレベルに達すると思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

■ IOWNで再びNTTを世界一に

周:また飲みながら議論をしましょう(笑)。大企業でもやれるというのは、岩本さんのような方がいるからこそやれるのです。こういうチャレンジャーのリーダーシップのもとで、大企業のリソースが十分使えるのです。岩本さんが言っているIOWNは、最先端の技術です。いまは世界的にAIブームです。AIブームはいま投資競争です。NVIDIAのチップを買って、ガンガン皆投資しています。何に投資しているかというと、データセンターです。これが「AI軍備」大競争です。
 アメリカはNVIDIAのチップすら中国に買わせないようにしているんです。この大競争の中で大問題が浮上していまして、エネルギー問題です。膨大なエネルギーが必要とされます。かつデータセンターは熱をバンバン出して、冷やすのも大変です。これは計算していくと仕方がない程のエネルギー規模になっていきます。原子力復活論に繋がってきていまして、原子力ブームにまで繋がる大問題です。
 これを解決するには、岩本さんたちがいまやっているIOWNは、光技術を使いエネルギーはあまり消耗しない。究極のデーターセンターのGXです。
 これは人類の歴史をひっくり返すくらいのインパクトを持つビックイノベーションです。私はこれが実現できれば、実際マーケットに投入してうまくいけば、NTTはもう一回時価総額世界一のカンパニーになる。平成元年から30数年後に、もう一回世界一の時価総額カンパニーになるのは間違いない。何故かというと今、NVIDIAはいま時価総額で世界一です。IOWNがうまく出来たらNVIDIAがひっくり返される。NTTデータが世界一になります。期待しましょう。

岩本:ありがとうございます。

■ 起業家精神の極意

石見:いま岩本敏男さんがおっしゃっていたScope1と2、これは自社内なので、ある程度出来ます。どうしてかというと私たちがルールを決めて、私たちが測って、私たちが課題に対して対応策を取れるからです。
 一番重要なのは、PPTの右側の小さいものですが、(CO2)90%はメーカー、中国、台湾、ベトナムのメーカーで出てきます。ですから、この90%のScope3に手を付けないと、結局ファブレスのようなメーカーは最終的な答えが充分出ないです。そこをどういうやり方、どういう取組、ルール化を進めていくかは将にこれからが重要だと思って進めていきます。
 ですので、メーカーを選ぶ時に、原料から全部指定して対応するとか、製造工程をきちんと見させていただいてから動くなど、私たちは深圳の福田区にR&Dセンターを作りました。そこからきちんと中国メーカーと共にScope3に対応を進めていきたいと思っています。
 きょうは学生さんが結構いらっしゃるので、起業家精神を私なりに、全部英語で書きました。私が経営を携わり200以上の企業と関わる中で、重要なことを記しました。前職のトランスコスモスでは、中国にもメンバーが7000人くらいいましたから、投資をした様々な企業の方々にもお会いし、中国でも上場企業の社外取締役を勤めました。
 当時日本で最短で一部上場までいったマクロミルという会社が、2003年から従業員が数10人ぐらいだった時から社外取締役をやり、その経営のプロセスをみてきました。当時どういうことが起きていたかを考えた時に、Entrepreneurship、起業家精神は、どういうことかとで、最初に僕が浮かんだのは、経営は実行であるということです。Discipline of Getting things done、実行ができなかったら経営ではない。ここが私の中では一番重要なポイントです。
実行をするためにどうするのかを、起業家精神の中では考え続けることが重要です。

石見:これは左と右に分けています。左は、計画策定など考えること、起業をするときに、企業を大きくするときに考えること、プランニングするところです。もちろん市場調査、戦略戦術を練るところもあります。
 私自身が起業の時に重要だと思ったのは、ビジョン、何になりたいのか。10年後20年後に何になりたいのか。何の目的のためにやっているのか。そして使命は何なのかです。その企業の、カルチャーも作る企業としての将来の方向性なしでは、起業家の精神が本当の形では生まれない。そればかり話していたのが、マクロミルを始め重要な成功しているベンチャー企業の経営陣でした。
 その部分があってStrategy、タクティクス(戦術)があり、そして、なおかつ市場は動き、テクノロジーも動きますから、そこを考えていくところが計画です。
 それにも増して一番重要なのは右側です。Executionです。これは実行力、実行あるのみという部分で、先ず浮かぶ四つの言葉は、リーダーシップです。
 中国の企業家でもあった、中国のマイクロソフト代表と会い、マイクロソフトと上海最大ベンチャーキャピタルと一緒になってウィクルソフトとJV会社を作り、その後そのCSサポートを実施するJVを作った会社を買い取り、その後大きくなり5000人を超える会社になったとき、彼らの優秀さと、彼らの権限移譲されたディシジョンの速さに、リーダーシップの強さ、その場で決める力は、日本の企業を凌駕していることを感じました。そこがEntrepreneurshipの中で重要なポイントです。
 あとは、ベンチャーをスタートして3年5年のときに、さっき周先生の文献も読ませていただいたのですが、L字型の成長は、新しい製品やサービス及びビジネスモデルを開発し、既存の産業の再定義をすることで生まれてくる。
 要するに変わり続けることです。市場の動向、市場の状況、競合の動きのところでチェンジマネージメントをしない限り、優位性は出ない。ベンチャーはお金がないから、変わり続けたスピードで勝つしかないです。
 チェンジマネージメントのスピードをやりながら、どうビジネスのスケールをアップしていくか。この市場に入るとこのスケールがある程度取れるから、インターネット市場調査をやって大手企業に食い込んでいこうか等、スケーリングを大きくするためにすることが次の成長を考える上で重要です。
 チャレンジと変革、そしてもう一つ、レジリエンスをやっていても、事業というのは失敗します。ときに転びます。転びながらも復活力、回復力で強い意志を持ち続け、次のステップにいく。それはリーダーシップの重要な取組の一つでもあります。

石見:エレコムでGXを推進するところで、私自身が一番重要だと思うのは「協働」です。GXを実現するには意味があるわけで、グループ会社や中国の製造会社と、どれくらい私たちの目的、やるべきこと、実際やることによって得られるものが協働できるか。そこがGXを進める上で、一番重要な要素だと心から思っています。この協働がきちんとすべてのScopeで対応できていくことが重要だと思います。
 政府のレギュレーション、政府の助成金、政府の考えている項目は、企業にとっては重要です。そこにきちんとキャッチアップし対応していく。あとはビジネスの機会への発想、ビジネスの機会があるから、このGXを進めていく、また、CSRやコストの効率化で持ち続けること。そして経済との新しい価値の連動、エレコムの中ではGPIFもそうですし、再生材のコストでより高い価値の製品を作ることもそうです。
 そうした発想を、経済と新しい価値の創造をしていかないと、なかなか価格の転換はできないので、この三つの協働、ビジネスの機会への発想転換と行動、そして経済との新しい価値創造を視点に、私自身がGXをより進めていきたいと思います。

司会の周牧之氏とコメンテーターの小手川大助氏
司会の周牧之教授とコメンテーターの小手川大助氏

周:ありがとうございます。もうちょっと紹介します。石見さんは若い時に香港で最初のスタートアップ企業を自分で作ったんですね。

石見:はい。「宅配小僧」という通販のスタートアップ企業を、1年半くらいで形を作りました。失敗だらけでした。

周:企業を創業した経験も、また普通の企業を巨大企業に育てた経験もおありです。さらに200社以上の企業の面倒を見ている。沢山のスタートアップ企業を育成しています。その気力もすごいなと思います。私はとても200社は頭に入らないと思います。日本のスタートアップがいまちょっと少ないという、ある意味で日本社会の大問題がある中、一番大事なのは彼のような存在です。スタートアップの面倒を見て、育てていく。本当に貴重な存在です。
 岩本さんも、大企業の社長はみんなが岩本さんのような方ではないので、日本においても世界においても貴重な存在です。
 私の隣の小手川さんも、貴重な存在です。高級官僚で、財務省は中国の皆さんはまだピンと来ないかもしれませんが、中国の財務部と国家発展改革委員会を足したような存在です。この財務官僚の時代に産業再生機構を作り、バブル以降問題となっていた企業を再生させました。何社くらいですか?

小手川:40社です。

周:ダイエーなど巨大企業を再生させた実績があります。その後、私が知っている限りでは退官されたあとも、中国の日本に進出している企業を含めてたくさんの企業の面倒を見てきた貴重な存在の方、どうぞコメント、総括してください。

■ 大口献金者から見えるトランプ政権の政策志向

小手川:第1ラウンドでヨーロッパの中心であるドイツの話をしましたので、第2ラウンドでは当然ながら、アメリカの話になります。2024年11月8日、私どもが思っていた通り、圧倒的にトランプが勝ちました。
 実は、2016年の時も、私とフジテレビの木村太郎さんの二人だけが当時トランプが勝つと言っていました。日本に比べると、アメリカの選挙は物凄くお金がかかります。前回2020年の大統領選挙、上院議員選挙、下院議員選挙で使われたお金は2兆2000億円です。
 これは、日本でキックバックの問題になっている安倍派が使ったとされるお金が5年間で5億円というのと比較すると、アメリカの選挙資金の莫大さがお分かりになると思います。
 アメリカの場合、政治活動委員会「PAC」ポリティカル・アクション・コミッティがあり、PACは、どのような趣旨のお金がどう使われたかを、一応全部発表しています。
 しかも、PACはどんな団体がお金を入れてきたかも発表します。ところが、いまアメリカで何が行われているかというと、PACにお金を入れる団体が、殆ど免税団体になっています。いわゆるNPOです。NPOにどういう人たちがお金を出しているかは全く匿名です。大口の献金者等の名前は全然出てこない。
 2020年のときと比較すると、バイデンの献金者はほとんどが大口です。軍事産業とウォール街の銀行で、面白いのは、2020年の時から、トランプの献金者はほとんどが小口です。献金者の数が多いのです。今回もその傾向は基本的には変わっておりません。ところが、その中にひとりだけ大口献金者がいました。これは有名なテスラのイーロン・マスクではなく、日本では全然名前が知られていない石油関係の方で、中東と非常に良い関係があった方です。
 いますでに交渉が水面化で始まっていまして、2025年1月20日にトランプが大統領に就任したら、現在ロシアが占領している地域と、ウクライナとの間にいわゆる朝鮮半島形式で約5キロメートルの緩衝地帯を置き、そこにPKO(平和維持軍)を入れる。いま交渉しているのは、PKOを誰にするかという話と、それからウクライナが将来も含めてNATOに入るか入らないか、そこのところの文言を水面化で交渉している状況です。
 ウクライナとの停戦が行われると、何が起こるかというと、いま経済制裁の関係で、一般のマーケットに出てきていないロシアの石油天然ガスがどんどん出てきます。
 従って、基本的に一般のマーケットでは石油価格が下がります。そうすると困るのが、いま言ったような中東の国です。しかも今度の政権のエネルギー長官の第一候補は、アメリカのシェール産業の一番のリーダーです。当然、シェール産業の生産も増えます。そうすると石油の供給量が世界的に増えますから、ほっておけば当然価格は下がっていきます。
 それでは最大の献金者も困るだろということで、政府の唯一の方法は消費を増やすことです。アメリカの国内の石油の消費は相当に増えると思います。
 その延長線上に、アメリカがパリ協定から脱退する話が決められてくるので、そこがこれから非常に注目に値するところではあるとは思います。

■ ムーアの法則で水平分業加速

周:2007年から2009年の間に、私はアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)で客員教授をやっていました。その時、小手川さんはIMFの日本代表理事だったので、アメリカでも交流を重ねていたのですが、ちょうどその時、オバマが大統領選に出ていたんです。非常に面白かったです。オバマに使いきれない程の金が集まった。相手の共和党のマケインは、最後は金が底をついてコマーシャルが出せなくなった。一方、オバマは金を残してもしょうがないので、ばんばんと分単位でなく30分単位でコマーシャルを流していたんです。民主党政権の変質がひしひしと感じられた経験だった。
 近年、小手川大助さん、田中琢二さんとも、本学のゲスト講義で議論を重ねてきたのですが、やはりアメリカという世界の唯一の覇権国家のブレ、選挙によるブレの、世界に対する影響は極めて大きい。おそらく、中国の国内にいる皆さんが感じる以上に、世界に対する影響が非常に大きく、それがGXに如何に影響されてくるのか。おそらく周其仁先生の仰る通りに、我々は乾杯して飲むべきものは飲んでいくしかない。GXに関しては、我々はやれることからやるしかないと痛感しているところです。
 産業というのは、ムーアの法則駆動型になっていくと、実はその成長が大きく加速していくんです。さらに投資も巨大化し、世界市場とグローバル分業に依存せざるを得なくなってきます。つまり、ムーアの法則駆動産業は、グローバリゼーションを後押しします。
 私の分析では、ムーアの法則に沿った半導体の60年間の進化と世界の貨物商品輸出拡大との相関関係は一致しています。要するに、グローバリゼーションがいわばムーアの法則で急拡大しています。私はグローバリゼーションの本質は、ムーアの法則が駆動していると結論付けています。しかし今の話の中で出てきていますが、アメリカが中国に対するハイテク分野、そしてGX分野での貿易規制などを発動し、いま中国の電気自動車がアメリカになかなか入れない。太陽光パネルなどの輸出にもいろいろな制約をかけています。
 すなわちアメリカ自らグローバリゼーションに急ブレーキをかけています。世界の一番政治力を持っている国が、グローバリゼーションに急ブレーキをかけています。
 とはいえ、温暖化という地球規模の課題に、世界が一丸となって対処すべきです。
 最後に、GXそして二酸化炭素削減に向けて、日中の協力の可能性について、皆さん、其々の立場からお話ください。

司会の周牧之教授

■ 日中技術交流に更なる可能性拡げるGX

索:私は、日中両国が科学技術分野において、広範な協力基盤があると確信しています。日中両国は低炭素・GXに向けて共通の目標とニーズを有し、幅広い共通利益と協力の余地を持っています。
 石油や天然ガスといった化石エネルギーは、その埋蔵量の有限性、地理的依存性、分布の不均衡性から、強い地政学的属性を帯びています。日中両国はいずれも化石エネルギーの対外依存度が高く、輸入先が集中しているため、資源獲得をめぐる競争は不信感やエネルギー安全保障の不安を招きやすい状況にあります。それに対して、風力、太陽光、グリーン水素、原子力といったクリーンエネルギーは、その供給力がイノベーションに依存し、気候変動緩和とエネルギー安全保障の両立を支える柱です。したがってGX分野は、今後さらに両国の産業構造やエネルギー構造に大きな変化をもたらし、相互補完と相互依存を一層強め、技術交流と協力に可能性を拡げるでしょう。GX分野における協力は、日中両国の共通の利益に合致しています。
 中国は広大な市場を有し、再生可能エネルギー設備、省エネ技術、二酸化炭素回収・貯留(CCS)など日本の技術に大きなマーケットを提供できます。中国における社会実装は日本企業に豊富な技術応用シナリオや実証機会を提供し、技術の絶え間ない改善と高度化に寄与します。
 水素エネルギーを例に挙げると、日本はいち早く同分野の技術開発に取り組み、高分子電子材料、電磁力、極板などの重要技術において世界をリードしています。他方、中国は重化学工業のサプライチェーンが強く、水素エネルギーの大規模産業化において優位性を持っています。中国政府も現在、水素利用を強力に支援し、大規模な水素利用に必要な条件を備えています。水素産業の発展で、日中両国のカーボンニュートラル目標の達成に大きく寄与するでしょう。
 中国が新たな発展段階に入るにつれて、科学技術分野における日中協力の可能性は更に拡がります。産業協力で両国はそれぞれ強みを持ち、相互補完性も高いです。日本はマテリアルサイエンス、特に高性能複合素材や特殊金属素材の分野で顕著な優位性を持ち、さらに高精度測定機器、光学機器、産業用ロボットなどの先端装備製造においても豊富な蓄積があります。また、省エネ・環境保護技術、エネルギー管理や資源循環利用の分野で豊かな経験を有しています。他方、中国は5G通信やビッグデータなど情報技術の分野で急速に発展し、新エネルギー産業化でも顕著な成果を挙げています。特に太陽光発電や風力発電の設備容量は世界最大規模となりました。EV、リチウム電池、太陽光発電製品はいまや中国の輸出における新“三種の神器”となっています。
 日中両国は、幅広い共通の利益を持ち、広大な協力の可能性を持っています。両国の科学技術分野、とりわけGXでの協力は、必ずやアジアの発展、さらには人類の発展に重要な貢献を果たすものと確信しています。

■ 民間ベースでの協力とルール作りを

岩本:私自身、中国との歴史は30年ほど前に世界銀行の50億円くらいの融資を使い、中国人民銀行さんの決済システムのパイロット版を作ったことから始まりました。そして今日まで、100数十回ぐらい中国を訪問しています。今でも、中国には10カ所くらい拠点があり、4千人くらいの従業員がいますので、ついこの間も、北京、上海、無錫に行ってきました。来週、周先生もよくご存知の、今年で第20回目になる「東京―北京フォーラム」というフォーラムが東京で開催されます。今回、中国側からもかなりの大物の方々が来られて、20回目の大会ということもあるのでしょうけれど、色々なテーマで議論をします。私はそこではデジタル分科会で、AIのガバナンスについて、議論させていただくことになっています。 
 私の長年の中国との個人的なつきあいも含めて考えてみますと、このGXにおいても、基本的には双方のルールをお互いにどう認識し合うのかということだと思います。いろいろな政府同士の取り決めもあるでしょうが、ベースは民間だと思っています。民間ベースがいろいろなビジネスをする上で、必要なものは契約に書かれてくる訳ですが、さきほど言いましたようにサプライチェーンの問題もありますから、それなりに手を突っ込んだ議論をしなければならないところもあります。互いにこういうことをしようと言うルールをagreeすることが第一歩だと思います。
 ルールをagreeすることは、そのルールを互いに守っているよねということを認め合う、或いは、場合によっては、検証するようなことも必要になります。モニタリングといってもいいですが、こういった仕組みを、双方の政治体制が違うことも前提の上で、agree出来るかどうか。私はできると思います。
 それから、さっき小手川さんからも何回も出ているように、世界中で、今年は選挙の年で1月から毎月のように、インドネシアがあり、ロシアがあり、インドがあり、フランスがあり、イギリスがあり、今回のドイツもあり、他にもいくつもありますが、本当に選挙の年です。日本もありましたが。
 こういう世の中が大きく変わる年に、私は昔からこれをパラダイムシフトといっているのですが、凄い大きなパラダイムシフトの来る時代だからこそ、民間ベースのルールを作ってお互いに認め合って、それをモニタリングして検証していくという、こういうプロセスをお互いが尊重し合う。これが一番だなと思っています。私の今までの付き合いから見ても、充分、中国のさまざまな企業との間では出来ると思っています。

周:ありがとうございます。石見さんお願いします。

パネリストの岩本敏男氏、石見浩一氏
パネリストの岩本敏男氏、石見浩一氏(左から)

■ 日中協力でアジアのバリューチェーンを

石見:中国は、私たちのビジネスには欠かせないので、逆に言うと、どう一緒にやらせていただくのかが一番重要なイシューです。
 前述の通り、90%近い製造を中国のメーカーさんに担ってもらっている。深圳に私たちは新しくR&Dセンターを作り、いまどんどん中国との取引、ビジネスも広がっています。そこで多くの製品の品質を検証する。そしてその製品を持って日本市場、もしくはASEAN市場、その他の市場、米国市場に持っていく形もあります。
 これは笑い話ですが、脱中国だということで中国メーカーではないところに形を作ろうと言っても、中国の技術は圧倒的なので、ASEAN、ベトナムやフィリピンへ行っても、中国メーカーがそこで製造している、そういう状況がほとんどです。
 ですから逆に、どう一緒に世界の市場を開拓していくか、そして(世界の)GDP も大体60%くらいはアジア、インドを含むところから今後出てきますから、アジアの市場は、やはり中国と共に、より形を作っていく。グローバリゼーションは、いろいろな事が起きても最終的には続くと私は思っています。
 ですから、其の時に、アジアで、中国と日本、日本と中国で、どうバリューチェーンを作り、そして実際アジアの市場で戦っていくのか。グローバル市場で戦っていくのか。そこを模索し続けること。いろんなことは起きても、模索し続けることが結果としてGXの取り組みを協働することが重要です。
 再生可能エネルギーやエネルギーの使用量減はすぐできますし、いまも太陽光パネルは中国から調達し進めています。蓄電も、リチウムも圧倒的です。2月に私たちも中国の技術を使ってナトリウム電池を初めて発売しますが、リチウムとナトリウムの電池を中国で開発し、アジアで販売を強化していく。
 最終的にはグローバル化につながって、私たちはよりアジアの市場できちんとプレゼンスを残していきたいと考えています。
 エレコムのパーポスは、「Better being」です。より良き製品、より良きサービス、より良き会社、より良き社会を一緒になって作っていきます。

周:ありがとうございます。小手川さんどうぞ。

石見 浩一  エレコム社長、トランス・コスモス元共同社長
石見 浩一 エレコム社長・トランスコスモス元共同社長

■ トランプ氏は個人的な交渉や取引を重視

小手川:やはり日中は、地理的にも近いですし、経済的な関係も非常に深いので、当然今後仲良くやっていく必要があります。が、残念ながら日本の後ろには怖い怖い姑さんがいます。姑さんは、日本は自分の最大の同盟国とは言っているのですが、なかなか難しい人ですから、どうしてもこの姑さんがどういうことを考えているのかを、しっかり捉えていくことが重要だと思います。
 そんな観点からいうと、トランプさんは商売人です。戦争が大嫌いです。オバマやバイデンと違い、人権、民主主義、それからLGBTQなどへのドグマはありません。とにかく商売が好きで、しかも彼は自分の経験から一対一での交渉が大好きです。マルチの交渉、マルチの機関、IMFや世界銀行は大嫌いです。
 従って彼はとにかく一対一の交渉の場に出れば、自分が絶対に勝てると思っていますので、とにかく彼にとっては、どうやって相手を交渉の席に引っ張り出すかが最大の課題になります。
 そのため彼は物凄く高いボールを投げます。ところが実際に交渉の席につきますと、非常に話のわかる人に変わってしまい、とにかくディールをしたいというふうになってきます。
 トランプはニューヨークのちょっと東のクイーンズ地区の出身です。クィーンズ出身の人のことをニューヨークの人たちはどう言っているかというと、「Don’t listen to him」彼が言うことには耳を傾けるな。「Watch what he does」彼が何をするかを見ておけ、です。
 要するにトランプが色々な事を言っても全然気にする必要はない。実際彼が何をやってくるかが一番重要です。
 もう一つ付け加えますと、私も1980年代から90年代にかけて、アメリカを相手とした二国間交渉を嫌というほどやりました。相手は米財務省やUSTRで、当時のUSTRは、大体75名くらいいました。
 ところが2016年にトランプ大統領になり、ライトハイザー等がやってきて交渉に入ったのですが、その当時のUSTRは、なんと25名しかいませんでした。それで、どうなるかと言いますと、日本の外務省が作った合意案文を全部ほぼ丸呑みで、少しだけ変えてくるのですが、充分検討するような人間もいないようで非常に簡単に交渉がまとまりました。当時の外務省の人たちは万々歳だったことだけちょっと申し上げたいと思います。

■ 日中、交流進化が問題を解決

周:トランプが交渉好きということは、中国の皆さんも実はよくその話を議論していまして、実は中国人ほど交渉好きな民族もあまりないです。市場のおばあちゃまからビックカンパニーの社長たちまで、政治家まで、みんな交渉が大好きなんです。問題は、交渉の相手が信用できるかどうか。交渉した後は信用できないで、また全部違う話になってくると、これはまた違う話になります。

小手川:最後にひとこと。先ほどのセッションで徐林先生がおっしゃったことに関係しますが、アメリカは、最後は物凄く利己的になります。例えば、いまウクライナの関係で(ロシアに)経済制裁をやっているのですが、経済制裁にもかかわらずアメリカはずっとロシアから輸入しているものが三つあります。一つはウラニウムの鉱石、二つ目はディーゼルオイル、三つ目は化学肥料の原料になるケイ素です。とにかくアメリカは常に自分中心ですので、ルールとかはあまり考えない方がいいと思います。

周:アメリカという島国は、ユーラシア大陸から見ると島国なんですが、彼らの対ユーラシア政策も、島国、日本ではなくイギリスみたいな島国の伝統的な考え方、戦略でやっていますので。その話は私と田中琢二さんはかなり議論を重ねてきたんです。
 僕から見ると、日中関係もアメリカの影響をかなり受けます。GXもアメリカの影響をかなり受けます。我々はやはり周其仁先生がきょうおっしゃっていたように、やるべきことをやっていくしかないです。
 僕は実は日中関係を非常に楽観的に見ています。われわれ今回、中国から70名くらいの企業家あるいは、政府関係者、学者が来ています。泊まるところが大変でした。ホテルニューオータニに数十名入れるというのはとんでもない話だった。なかなか予約が取れない。最後は中国大使館の力を借りて、ようやくニューオータニに沢山の人たちが泊まることが出来るようになった。無事に多くの人たちが泊まることができました。
 何故かと言うといま日本には沢山の中国の皆さんが来ています。おそらく今年は1000万人を超えるでしょう。日本と中国の人と人との交流を重ねていくと、まったく話が違ってきます。3000万人になった場合、5000万人になった場合、実はこれはかなり近い将来の話になります。
 5000万人の中国の皆さんが毎年日本を訪ねてきた時に、日中関係のいままで我々が憂鬱になっていた話は、全部ふっとんでしまうと僕は信じています。
 はい。時間もだいぶ回りました。きょうは素晴らしいパネリストとコメンテーターに恵まれ、イノベーションや企業家精神、そして国際協力に至るたいへん示唆に富んだ話をしていただきました。
 GXに取り組む若い世代、あるいはこれからのグローバリゼーションに取り組む若い世代には、大変参考になります。
 どうもありがとうございました。
 これでお開きになります。どうもご清聴ありがとうございました。

■ レセプション

シンポジウム終了後、東京オペラシティ52階エムティーアイのラウンジにてレセプションを開催、登壇者及び来賓、参加者が交流を深めた。

   冒頭、前多俊宏エムティーアイ社長が歓迎挨拶をし、中井徳太郎日本製鉄顧問・元環境事務次官が乾杯の音頭をとった。
   有賀雄二勝沼醸造社長、汪雅平紹興国稀酒醸造会長、高溪蔓茅台生態農業戦略合資運営パートナー・上海溪桐実業会長が日中両国の自慢の甲州ワイン、紹興酒、茅台酒を紹介し、会場を盛り上げた。
   次いで莫懿鑫資本集団会長、張晓北京玄鸟錾文化发展有限公司会長、徐玄北京玄鸟錾文化发展有限公司社長がシンポジウムの日本側登壇者に、中国ミャオ族の職人が手作りしたプレゼントを手渡した。
   西正典元防衛事務次官、安庭中国全国政治協商会議委員・北京希肯琵雅国際文化発展会長、土屋了介エムティーアイ社外取締役・国際学園理事長・国立がんセンター中央病院元院長、李国平・北京大学首都発展研究院院長、林惠春北京師範大学一带一路学院教授、清水昭NPO健康医療開発機構理事長・川越リハビリテーション病院院長、王志学中国国新資産管理有限公司会長、都築明寿香日本経済大学学長、岩熊正道RKB毎日放送代表取締役専務取締役が、来賓を代表して挨拶し、シンポジウムの成功を讃えた。
 楊偉民第十三回中国全国政治協商会議経済委員会副主任、中井徳太郎元環境事務次官、徐林米中グリーンファンド会長、周牧之東京経済大学教授が壇上に上がり、20数年来の友情を回顧し、閉会挨拶をした。
    井上裕行東京経済大学教授、倉中るな画家・タレントが司会を務めた。