中国都市総合発展指標2020


〈中国都市総合発展指標2020〉ランキング


 〈中国都市総合発展指標2020〉が2021年12月28日に発表された。中国都市総合発展指標は、中国における地級市以上(日本の都道府県に相当)297都市を対象とし、環境、社会、経済の3つの側面(大項目)から都市のパフォーマンスを評価したものである。〈指標〉の構造は、各大項目の下に3つの中項目があり、各中項目の下に3つの小項目が設けた「3×3×3構造」になっており、各小項目は複数の指標で構成されている。 これらの指標は、31%が統計データ、35%が衛星リモートセンシングデータ、34%がインターネットビッグデータで構成され、合計882の基礎データで構成されている。その意味で、〈中国都市総合発展指標〉は、異分野のデータ資源を活用し、「五感」で都市を高度に知覚・判断できる先進的なマルチモーダル指標システムである。

 


(1)総合ランキング

 総合ランキング第1位は5年連続で北京となり、第2位は上海、第3位は深圳であった。

 〈中国都市総合発展指標2020〉総合ランキングの上位10都市は順に、北京、上海、深圳、広州、成都、重慶、南京、杭州、天津、蘇州となっている。これら10都市は、長江デルタメガロポリスに4都市、珠江デルタメガロポリスに2都市、京津冀(北京・天津・河北)メガロポリスに2都市、成渝(成都・重慶)メガロポリスに2都市と、4つのメガロポリスにまたがっている。

 総合ランキング第11位から第30位は順に、武漢、廈門、西安、寧波、長沙、鄭州、青島、東莞、福州、昆明、合肥、仏山、無錫、済南、珠海、瀋陽、貴陽、大連、南昌、泉州の都市であった。


(2)環境大項目ランキング

 環境大項目ランキングは5年連続で深圳が第1位、広州が第2位、上海が第3位となった。

 〈中国都市総合発展指標2020〉環境大項目ランキングの上位10都市は、深圳、広州、上海、廈門、三亜、ニンティ、シガツェ、チャムド、北京、海口であった。なかでも廈門、三亜、シガツェはそれぞれ第4位、第5位、第7位に順位を上げている。

 環境大項目ランキングで第11位から第30位にランクインした都市は順に、珠海、東莞、成都、舟山、汕頭、山南、南京、重慶、福州、儋州、仏山、ナクチュ、普洱、巴中、杭州、昆明、武漢、泉州、中山、長沙であった。


(3)社会大項目ランキング

 社会大項目ランキングでは北京と上海は5年連続で第1位と第2位、広州は4年連続で第3位をキープしている。

 〈中国都市総合発展指標2020〉の社会大項目ランキング上位10都市は、北京、上海、広州、深圳、南京、成都、重慶、杭州、天津、西安となっている。なかでも南京、成都、天津はそれぞれ第5位、第6位、第9位に上昇し、西安はトップ10にランクインし、武漢はトップ10から脱落した。

 社会大項目ランキングの第11位から第30位は、蘇州、長沙、廈門、鄭州、済南、武漢、寧波、瀋陽、青島、合肥、昆明、福州、ハルビン、無錫、南昌、貴陽、南寧、大連、太原、長春となっている。


(4)経済大項目ランキング

 経済大項目ランキングは5年連続で上海がトップ、第2位は北京、第3位は深圳となった。

 〈中国都市総合発展指標2020〉の経済大項目ランキング上位10都市は、上海、北京、深圳、広州、成都、蘇州、重慶、天津、杭州、南京となっている。なかでも成都は第5位に躍進し、天津と杭州はランクを落とした。

 経済大項目ランキングで第11位から第30位にランクインしたのは、武漢、寧波、東莞、青島、西安、鄭州、長沙、廈門、無錫、仏山、済南、福州、合肥、大連、昆明、瀋陽、泉州、温州、長春、ハルビンの都市であった。

【ランキング】〈中国都市総合発展指標2020〉から見た中国都市のパフォーマンス 〜趙啓正、楊偉民、周其仁、邱暁華、周南、周牧之によるレビュ〜

〈中国都市総合発展指標2020〉英語版 2022年1月7日付中国国務院新聞弁公室HPで発表


1.新型コロナウイルスパンデミック下、中国都市の強靭さ


 2020年世界最大のテーマは、新型コロナウイルス対策であった。中国都市総合発展指標2020は、中国各都市の感染症対策と経済回復におけるパフォーマンスを、環境・社会・経済の視点から多元的に評価した。

 新型コロナウイルスの流行そのものについては、2020年中国における新規感染者(海外輸入感染症例と無症状例を除く)の80.8%が、新規感染者数上位10都市に集中した。武漢を始め同10都市はいずれも湖北省の都市である。これは、中国が迅速なロックダウン(都市封鎖)措置とゼロ・COVID-19 感染者政策(Zero COVID-19 Case Policy、以下ゼロ・コロナ政策と略称)で流行を早期に収束させ、他の都市で爆発的な感染拡大が起きなかったことを意味している。


(1)日常生活の逸早い回復で世界最大の映画市場に

 ゼロ・コロナ政策は、早期に流行を収束させ、市民生活を迅速に回復させた。新型コロナウイルスパンデミックで最も打撃を受けた分野の1つは映画興行であった。中国では、2020年の映画興行収入が前年比68.2%も急落した。  だが幸いなことに新型コロナウイルスの蔓延を迅速に制圧したことで、中国映画市場は急速に回復した。

 一方、これまで世界最大の映画興行収入を誇ってきた北米(米国+カナダ)は、新型コロナの流行を効果的に抑えることができず、2020年には映画興行収入が前年比80.7%も急減した。

 その結果、世界で最も速く回復した中国の映画市場が、映画興行収入で世界トップに躍り出た。

 特に注目すべきは、中国では新型コロナ禍でも、スクリーン数や映画館数が減るどころか増えていたことである。中国のスクリーン数は、2005年の2,668枚から2020年には75,581枚へと、28倍にもなった。

 映画市場の急回復に支えられ、2020年は中国国産映画の興行成績が非常に目を引く年であった。「Box Office Mojo」によると、2020年の世界興行ランキングで中国映画『八佰(The Eight Hundred)』が首位を獲得した。また、同ランキングのトップ10には、第4位にチャン・イーモウ監督の新作『我和我的家郷(My People, My Homeland)』、第8位に中国アニメ映画『姜子牙(Legend of Deification)』、第9位にヒューマンドラマ『送你一朶小紅花(A Little Red Flower)』の中国4作品がランクインした。また、歴史大作『金剛川(JingangChuan)』も第14位と好成績を収めた。中国映画市場の力強い回復により、多くの中国映画が世界の興行収入ランキングの上位にランクインした。

 2005年以来、中国における映画興行収入に占める国産映画の割合は50%から60%の間で推移していたが、2020年には一気に83.7%まで上昇した。

 新型コロナ禍が効果的に抑制されたことで、中国の映画興行収入はさらに上昇すると期待される。世界最大の興行市場になったことで、中国国産映画も輝かしい時代を迎えるだろう。


(2)航空輸送で旅客は激減、貨物は微減

 航空輸送も新型コロナパンデミックで大きな打撃を受けた分野である。特に、長引く海外旅行規制の影響で国際旅客が激減した。幸い、中国で新型コロナの流行は逸早く抑えられたため、国内の航空輸送は早期回復した。結果、2020年の中国空港旅客数は36.6%減少したものの、欧米や日本などの国々と比べ減少幅は比較的小さかった。


 2020年の中国空港旅客数の上位10都市は順に、上海、北京、広州、成都、深圳、重慶、昆明、西安、杭州、鄭州である。中国の空港旅客数に占める上位10都市の割合は44.9%、さらに同上位30都市の割合は75.5%にも達した。中国の航空輸送は中心都市に集中している。

 空港旅客数に比べ、2020年中国の空港航空貨物取扱量は6%減にとどまった。中国空港航空貨物取扱量の上位10都市は順に、上海、広州、深圳、北京、杭州、鄭州、成都、重慶、南京、西安となっている。このうち、深圳、杭州、鄭州、南京の4都市では、航空貨物取扱量が増加した。これはコロナ禍でも物流が活発に行われ、製造業サプライチェーンも迅速に回復したことを示している。中国の航空貨物取扱量に占める上位10都市の割合は72.8%、さらに同上位30都市の割合は92.5%にも達した。航空旅客輸送と比較して、航空貨物が中心都市に集中する傾向がさらに顕著である。


(3)海運輸送は
プラス成長

 新型コロナパンデミックの影響でサプライチェーンと海運は世界的に大きな混乱を生じ、現在に至ってなお収まってはいない。そうした中、2020年中国のコンテナ取扱量は1.2%成長を実現した。

 2020年の中国港湾コンテナ取扱量の上位10都市は順に、上海、寧波、深圳、広州、青島、天津、廈門、蘇州、営口、大連となり、この中で唯一、大連はマイナス成長に陥った。中国大多数の港湾都市でのコンテナ取扱量のプラス成長は、その背後の製造業輸出力の強靭ぶりをうかがわせる。

 中国の港湾コンテナ取扱量に占める上位10都市の割合は70.8%、さらに同上位30都市の割合は92.6%にも達した。中国のコンテナ輸送が特定の港湾都市に高度に集中していることが浮き彫りになった。


(4)輸出は急回復

 貿易摩擦や新型コロナパンデミックは、中国の輸出産業に大きな打撃を与え、2020年前半には輸出額が落ち込んだ。しかし後半には力強い回復を見せ、輸出額は前年比4%増を実現した。

 〈中国都市総合発展指標2020〉で見た「中国都市製造業輻射力2020」ランキングの上位10都市は、深圳、蘇州、東莞、上海、寧波、仏山、成都、広州、無錫、杭州となった。この10都市のうち、蘇州、東莞、無錫の3都市の輸出額が若干マイナス成長だったのに対して、その他の都市は輸出増を実現した。これら製造業スーパーシティの輸出力の強靭さが際立った。

 製造業輻射力の上位10都市は、中国の輸出額の44.2%を占めた。上位30都市の同シェアはさらに71.7%にも達した。中国の輸出産業はこれら製造業スーパーシティに高度に集中していることがわかる。


(5)IT産業の集中がさらに進む

 2020年は、IT業界にとって大発展の年であった。デジタル感染症対策、在宅勤務、オンライン授業、遠隔医療、オンライン会議、オンラインショッピングなどが当たり前になり、新型コロナウイルス禍で産業や生活のあらゆる分野におけるデジタル化が一気に進んだ。

 中国都市総合発展指標2020で見た「中国都市IT産業輻射力2020」ランキングの上位10都市は、北京、上海、深圳、杭州、広州、成都、南京、重慶、福州、武漢となっている。これらの10都市は、中国のIT業就業者数の58.3%、メインボード(香港、上海、深圳)上場IT企業数の77.6%、中小企業版上場IT企業数の62.5%、創業版上場IT企業数の75.3%を占めている。中国のIT産業はこれら中心都市への集中がさらに進んだ。

 


(6)殆どの都市が経済成長を実現

 2020年、世界の主要国がマイナス経済成長に陥ったにもかかわらず、中国はゼロ・コロナ政策により2.3%の経済成長を遂げた。

 2020年の中国GDPの上位10都市は順に、上海、北京、深圳、広州、重慶、蘇州、成都、杭州、武漢、南京となった。上位10都市は、中国GDPの23.3%を占めた。同上位30都市のシェアはさらに43%に達した。中国経済の上位都市への集中が鮮明になった。

 上位30都市のうち武漢だけが−4.7%成長であったが他の都市はすべてプラス成長を実現した。中国主要都市の強靭さが中国経済成長を支えた。


2.〈中国都市総合発展指標2020〉ランキング


 中国都市総合発展指標2020が2021年12月28日に発表された。中国都市総合発展指標は、中国における地級市以上(日本の都道府県に相当)297都市を対象とし、環境、社会、経済の3つの側面(大項目)から都市のパフォーマンスを評価したものである。〈指標〉の構造は、各大項目の下に3つの中項目があり、各中項目の下に3つの小項目が設けた「3×3×3構造」になっており、各小項目は複数の指標で構成されている。 これらの指標は、31%が統計データ、35%が衛星リモートセンシングデータ、34%がインターネットビッグデータで構成され、合計882の基礎データで構成されている。その意味で、〈中国都市総合発展指標〉は、異分野のデータ資源を活用し、「五感」で都市を高度に知覚・判断できる先進的なマルチモーダル指標システムである。


(1)総合ランキング

 総合ランキング第1位は5年連続で北京となり、第2位は上海、第3位は深圳であった。

 中国都市総合発展指標2020総合ランキングの上位10都市は順に、北京、上海、深圳、広州、成都、重慶、南京、杭州、天津、蘇州となっている。これら10都市は、長江デルタメガロポリスに4都市、珠江デルタメガロポリスに2都市、京津冀(北京・天津・河北)メガロポリスに2都市、成渝(成都・重慶)メガロポリスに2都市と、4つのメガロポリスにまたがっている。

 総合ランキング第11位から第30位は順に、武漢、廈門、西安、寧波、長沙、鄭州、青島、東莞、福州、昆明、合肥、仏山、無錫、済南、珠海、瀋陽、貴陽、大連、南昌、泉州の都市であった。


(2)環境大項目ランキング

 環境大項目ランキングは5年連続で深圳が第1位、広州が第2位、上海が第3位となった。

 中国都市総合発展指標2020環境大項目ランキングの上位10都市は、深圳、広州、上海、廈門、三亜、ニンティ、シガツェ、チャムド、北京、海口であった。なかでも廈門、三亜、シガツェはそれぞれ第4位、第5位、第7位に順位を上げている。

 環境大項目ランキングで第11位から第30位にランクインした都市は順に、珠海、東莞、成都、舟山、汕頭、山南、南京、重慶、福州、儋州、仏山、ナクチュ、普洱、巴中、杭州、昆明、武漢、泉州、中山、長沙であった。


(3)社会大項目ランキング

 社会大項目ランキングでは北京と上海は5年連続で第1位と第2位、広州は4年連続で第3位をキープしている。

 中国都市総合発展指標2020の社会大項目ランキング上位10都市は、北京、上海、広州、深圳、南京、成都、重慶、杭州、天津、西安となっている。なかでも南京、成都、天津はそれぞれ第5位、第6位、第9位に上昇し、西安はトップ10にランクインし、武漢はトップ10から脱落した。

 社会大項目ランキングの第11位から第30位は、蘇州、長沙、廈門、鄭州、済南、武漢、寧波、瀋陽、青島、合肥、昆明、福州、ハルビン、無錫、南昌、貴陽、南寧、大連、太原、長春となっている。


(4)経済大項目ランキング

 経済大項目ランキングは5年連続で上海がトップ、第2位は北京、第3位は深圳となった。

 中国都市総合発展指標2020の経済大項目ランキング上位10都市は、上海、北京、深圳、広州、成都、蘇州、重慶、天津、杭州、南京となっている。なかでも成都は第5位に躍進し、天津と杭州はランクを落とした。

 経済大項目ランキングで第11位から第30位にランクインしたのは、武漢、寧波、東莞、青島、西安、鄭州、長沙、廈門、無錫、仏山、済南、福州、合肥、大連、昆明、瀋陽、泉州、温州、長春、ハルビンの都市であった。


3.専門家レビュー


 中国都市総合発展指標2020の発表に際し、趙啓正、楊偉民、邱暁華、周其仁、周南、周牧之が中国都市のパフォーマンスについてコメントを寄せた。


趙啓正

中国人民大学新聞学院院長、中国国務院新聞弁公室元主任

 中国都市総合発展指標2020の最大の特徴は、新型コロナパンデミックに焦点を当て、中国各都市への影響を多角的に分析していることである。 新型コロナウイルスのような、人類にとって空前の脅威となる疫病はそうそうあるものではなく、〈中国都市総合発展指標2020〉はこれを捉え、都市に与える影響を分析した研究成果が、未来における類似の事態への対処に、非常に貴重な価値がある。

 新型コロナウイルスがパンデミックとなって迫り来る中、世界各国はいち早くワクチンや特効薬の研究開発に着手したが、それらの開発には時間を要する。中国は迅速なロックダウン措置とゼロ・コロナ政策をもってこのタイムラグを稼いだ。このやり方には各国で様々な見方があるものの、中国では伝統文化を背景に、ロックダウン、隔離、マスクへの大きな抵抗感はなかった。周牧之教授と雲河都市研究院が行ったコロナ対策に関する研究は、中国の措置を世界へ紹介し、国際的理解を得ることに一役買った。

 新型コロナウイルスとの戦いにおいて、中国の都市はAI、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、ブロックチェーンなどハイテクを活用し、人の移動に伴う感染可能性を効果的に防ぐことを実現した。全国共通の「健康コード」と「旅行コード」などのアプリは、国民に受け入れられ、効果的に実施されている。しかし、各国の文化や制度は異なり、これらの有効的な方法は多くの国で受け入れられていない。

 2020年、新型コロナウイルスが中国及び世界の都市の社会経済に大きな影響を与えた。中国の297都市を対象とした〈中国都市総合発展指標2020〉は、感染症対策やコロナ禍での都市発展を評価したことで大きな意義を持つ。これは、これまでの「指標」にはない特徴であり、中国の都市行政部門や学者の注目を集めるよう期待したい。もちろん、今回の指標は、コロナパンデミックに関心を持つ海外の学者や研究機関にとっても価値が高い。


楊偉民

全国人民政治協商会議常務委員、中国共産党中央財経領導小組弁公室元副主任

 新型コロナウイルスがすべてを乱した中、雲河都市研究院が毎年行う中国都市の「健康診断」は中断されず、予定通り中国都市総合発展指標2020が発表された。私はこれまで、中国都市総合発展指標は中国都市の健康状態に関する「健康診断」であると述べてきた。「健康診断」であるゆえ、1年に1回のチェックが必要で、何があっても止めることはできない。これは、新型コロナウイルス流行の影響を考えると、なおのことである。〈中国都市総合発展指標2020〉は、コロナ禍に直面した中国都市に焦点を当て、各都市の感染症免疫力に対して、どの都市が強く、どの都市が弱いかを示している。

 パンデミック発生以来、中国経済は世界の主要国の中で最も堅調に進んでいる。2020年は2.3%成長を実現、2021年では約8%の成長が見込まれる。一人当たりのGDPは2021年に12,000ドルに達すると予想されている。これは、中国政府が新型コロナウイルスの蔓延をうまく制圧した故であると同時に、中国経済の強大な回復力を示している。中国経済のレジリエンスは、フルセットの産業部門を持ち、サプライチェーンによる製造業輸出能力が高く、そして産業集積が巨大な点にある。このレジリエンスは、世界の主要国の中でも唯一無二なものである。そのため、新型コロナ感染症が突発的に起こったときも、国内の投資や消費が伸び悩むときも、貿易を通じて安定した経済成長を維持することができた。米国政府は中国企業を制裁することはできても、米国消費者の中国製品に対する強い需要を止めることはできない。2020年、中国の貨物・サービスの純輸出の経済成長への寄与度は28%にも達した。2021年の第1から第3四半期に同寄与度は19.5%となり、リーマンショック直前の2006年の14.3%を大きく上回る。

 中国都市総合発展指標2020によると、「中国都市製造業輻射力」の上位10都市と上位30都市は、それぞれ中国輸出総額の44.2%と71.7%を占め、これらの都市のレジリエンスを示している。

 中国の経済発展は「新たな段階」に入り、将来を見据え、国内外の「双循環」が互いに促進し合う新たな発展モデルを構築していくだろう。ここでは「国際大循環」と「国内大循環」のそれぞれを強調することではなく、二つの「大循環」の相乗効果に重点を置くべきである。新しい発展段階において、中国のどの都市が今後も主導的な役割を担っていくのか、注目したい。


周其仁

北京大学国家発展研究院教授

 中国都市総合発展指標は、時間の経過とともにその価値を増している。2020年度版の発表で、読者はより長い時系列で都市の経済・社会・環境における様々な変数の相関分析ができる。これらの変数は、本質的に都市における人間や組織の行動に関係している。

 こうした実証研究では、「比較」が非常に大切である。比較から、都市のダイナミズムが理解できる。「比較」ということでは、1978年にシンガポールを訪問した鄧小平の「比較したければ、世界と比較せよ」という言葉を思い出す。中国の都市は、互いに比較することも大切だが、世界の先進的な都市から学ぶことも大切である。今後の〈中国都市総合発展指標〉に国際都市との指標比較を加えることを、周牧之教授に提案したい。


邱暁華

雲河都市研究院副理事長、中国国家統計局元局長

 中国都市総合発展指標2020で印象深いことは4点ある。第1点は、都市の経済力が、やはりその都市の地位を決める決定的な要因である。経済発展が都市の未来を作る。2点目は、グリーン要素がますます重要になり、環境に配慮した変革が積極的であればあるほど、都市が発展する。3点目は、新型コロナ感染症の発生は経済社会の発展に影響を与え、人々の生活に影響を与えるが、都市の緊急事態対応力も試されており、総合ランキング上位の都市はその点で比較優位に立っている。4点目は、中国は新たな発展段階に入り、新しい発展モデルの構築を加速している。都市の発展もメガロポリスの構築へと移行し、中心都市が主役になる時代が始まった。中国の都市がより好循環な発展モデルを形成することを期待したい。


周南

中国国家発展改革委員会発展戦略和計画司副司長、一級巡視員

 2020年、突如として発生した新型コロナパンデミックが、世界経済社会のリズムを崩壊させた。中国はコロナ感染症対策、経済発展、社会安定という「同時実現が不可能なトライアングル」に苦心し、見事な答えを出した。中国都市総合発展指標2020によると、2020年のGDP上位30都市は、武漢を除き、すべて1〜5%の経済成長を実現したことがわかる。中国の成績と海外主要国における混乱は対照的である。

 地域発展という点では、長江デルタと珠江デルタの両メガロポリスが、経済、環境、社会の全般で明確な優勢を保っている。中国都市総合発展指標2020の総合ランキング上位100都市のうち、長江デルタは21都市、珠江デルタは12都市を占める。同上位10都市には長江デルタが4都市、珠江デルタが2都市ランキング入りし、その優位性が際立っている。メガロポリスや大都市圏の役割がますます重要になり、地域を牽引し、国際競争の土台となっている。

 総合ランキングは全体的に安定している一方、いくつかの一喜一憂がある。前年度と比較すると、2020年には長江中游メガロポリスに属する合肥が第26位から第21位、株洲が第71位から第68位、九江が第98位から第89位と、上昇した。その一方で、北方地域における都市の順位は大きく下がっている。〈中国都市総合発展指標2018〉と〈中国都市総合発展指標2020〉の総合ランキングを比較すると、3年間で瀋陽は第19位から第26位、ハルビンは第29位から第34位、長春は第30位から第36位に後退している。銀川は第67位から第81位へ、フフホトは第56位から第82位へと順位を下げた。この一連の順位変動は、「時流に逆らって進まなければ後退する」ことを鮮明に物語っている。

 中国都市総合発展指標の「中国都市製造業輻射力2020」から、製造業における都市の位置付けがより鮮明になってきた。メガシティでは一部の製造業が分散化され始めた。2020年には上海と広州が製造業輻射力において2018年比でともに2位ダウンしている。他方、成都、西安、南京、無錫が製造業輻射力を4~7位アップした。

 中国都市総合発展指標の「中国都市IT産業輻射力2020」では、武漢と廈門がIT産業輻射力でトップ10入りし、IT産業の中心都市への集中がさらに進んだ。

 完全無欠な指標というものは存在しない。しかし、〈中国都市総合発展指標〉を尺度に、水平的には都市間の比較優位性を、垂直的には都市の発展度合いを明快に測ることができる。熟読すれば、さまざまな視点からの思考を刺激してくれる。少なくとも、私にとってはそうである。


周牧之

東京経済大学教授

 新型コロナパンデミック以来、雲河都市研究院は、感染症対策の有効性と都市の経済回復について高い関心を寄せてきた。 2020年4月17日には逸早く、レポート「新型コロナパンデミック:なぜ大都市医療能力はこれほど脆弱に?(原題:新冠疫情冲击全球化:强大的大都市医疗能力为何如此脆弱?)」を発表している。 同年11月11日は、論文「ゼロ・COVID-19感染者政策Vs.ウイズ・COVID-19政策(原題:全球抗击新冠政策大比拼:零新冠感染病例政策 Vs. 与新冠病毒共存政策)」を発表し、中国の新型コロナウイルス対策と欧米や日本の政策とを体系的に比較した。「ゼロ・コロナ」の報告書や論文は、日本語・中国語・英語で国際的に発表され、中国の感染症政策の有効性に対する国際的な理解と評価に一役を買った。

 同時に、雲河都市研究院は、フォーラム、セミナー、対談などを通じて内外のトップクラスの専門家とともに、新型コロナパンデミックがグローバリゼーション、国際大都市、グローバルサプライチェーン、IT産業、娯楽産業、航空産業、海運産業などに与える影響を研究・議論してきた。

 中国都市総合発展指標2020は、過去4回発表した〈中国都市総合発展指標〉をベースに、都市の感染症対策の効果やパンデミックが関連産業に与える影響に焦点を当て、パンデミック下の中国都市に関する「健康診断」を届けるものである。

 中国都市総合発展指標2020は、中国経済の底力が主要都市の強靭さにあり、効果的な感染症対策が中国都市の発展を保障していることを示している。


日本語版『〈中国都市総合発展指標2020〉から見た中国都市のパフォーマンス 趙啓正、楊偉民、周其仁、邱暁華、周南、周牧之によるレビュー』(チャイナネット・2022年1月20日掲載)(中国网・2021年12月28日掲載)

中国語版『从“中国城市综合发展指标2020”看中国城市的抗疫与经济』(中国网・2021年12月28日掲載)

英語版『COVID-19 response and economy of Chinese cities from the perspective of China Integrated City Index 2020』(China.org.cn・2022年1月5日掲載)

【ランキング】〈中国都市総合発展指標2019〉全297都市ランキング


 中国の春節(旧正月)が明けた直後、雲河都市研究院は、中国地級市及びそれ以上の297都市 (都道府県に相当)の中国都市総合発展指標2019における総合ランキングを発表、環境、社会、経済三大項目のトップ100都市ランキングも公表した。趙啓正、楊偉民、周其仁、邱暁華、杜平、明暁東等著名な専門家が特別に寄稿し、中国都市総合発展指標の意義と中国都市発展への期待を寄せた。


趙啓正
中国人民大学新聞学院院長、中国国務院新聞弁公室元主任

 中国都市総合発展指標は都市を理解し、マネジメントするための理念、コンセプト、フレームワークを提供したと、私は確信している。私は同指標が、中国の各都市の市長をはじめとする政策担当者にとって非常に有用な参考書となると思う。1990年代には私自身、上海市副市長を務め、浦東新区の主任及び書記を兼務し、浦東新区開発の重責を負っていた。残念なことに当時は、同〈指標〉のような良い参考書はなかった。

 今日、人間の成長は数多くの指標によって表される。私たちが人間ドックを受ける際には、少なくとも数十の指標を用いる。今なら一般市民にとって馴染み深い健康指標も、30年前の中国では我々自身はもとより医師でさえ、それについて知識を持たなかった。つまり、自分の体を「科学的に管理」しようがなかった。

 30年前、中国人の平均寿命は70歳に至らなかった。それが今は、80歳に近づいている。健康指標の功績は大きい。

 同様に、数十年前、私たちは都市という「大きな体」を、どのような指標で測るかについてあまり意識していなかった。ただごく単純に政治、経済、文化などのマクロ的視点で、都市発展の計画を制定した。今振り返れば一種粗雑で、独断的ですらあった。

 今日、もし都市について緻密な計画と管理とで臨もうとすれば、まず都市に対しての明晰な理念と研究が必要である。そのための、総合的な指標による分析が欠かせない。従って、中国の都市発展には〈中国都市総合発展指標〉が提供する理念、合理性そして総合分析のフレームワークが貴重である。このような指標の精密なデータをもとに、研究を重ね、都市をどうマネジメントしていくかを模索するべきである。これは時代の要請である。


図1 中国都市総合発展指標2019 総合ランキング1-100位都市


楊偉民
中国全国政治協商会議常務委員、中国共産党中央財経領導小組弁公室元副主任

 中国国家発展改革委員会発展戦略和計画司と雲河都市研究院の研究成果である中国都市総合発展指標は、これまで私が目にした中国都市発展状況を測るものの中で、最も時代性、国際性、実用性に富んだ総合評価である。同〈指標〉は、中国都市の健康状況を見極める総合的な「健診報告」と言ってもいいだろう。そこから各都市は自分のどの指標が健全で、どこが劣っているか、あるいは不健全であるかが見て取れる。各都市はこれによって健康を保持し、都市病を予防し、病症をいち早く治すことができる。

 「健診報告」である以上、毎年「健診」を重ねることが肝要である。新しい指標を絶えず追加し、新しい状況を反映させ、新たな課題を見出すことも大切である。

 都市化は中国経済社会発展の原動力である。中国の都市化の道のりはまだ遠く、長い。中国経済はすでにハイクオリティを目指す発展段階に至った。都市は経済発展の主体であり、またハイクオリティ発展の空間でもある。都市のハイクオリティな発展が、中国全体のハイクオリティな発展につながる。

 中国都市総合発展指標は、環境、社会、経済の3つの視野で都市の発展を評価し、都市空間における均衡発展を重視する真の意味での都市の総合発展評価である。このような都市発展評価は、まさしく科学的かつ包括的な評価であり、中国の都市の持続的な発展に大きく寄与する。

 中国の都市は、生態文明の理念を堅持し、生態環境を重視する都市発展を進めなければならない。土地、水、エネルギー等の資源を節約し、自然へのダメージを最小限に抑えなければならない。生態安全を重視し、森林・湖沼・湿地などの環境生態空間の比重を増やし、さらには汚染物質の排出総量を減らすことも肝要である。

 中国都市総合発展指標は、応用可能な環境、社会、経済指標を体系的に示している。各都市は自らの指標を精査し、どの分野で滞りがあるかを見出し、改善に向けて努力すべきである。中国都市総合発展指標はただの評価指標ではなく、都市の今後進むべき道を指し示すものでもある。


周其仁
北京大学国家発展研究院教授

 都市間の競争は、都市文明を向上させる原動力である。故に都市間で何を比較し、競争するのかが都市発展の方向とクオリティに関わる一大事である。

 これまでの経験では、正しい目標の選択が行われた場合、いわゆる正しい“指揮棒”を手に入れた場合、都市は順当に発展し、強い競争力を獲得できる。その意味では、周牧之教授が率いるチームが貢献した中国都市総合発展指標は、中国都市のハイクオリティ発展に貴重な礎を打ち立てた。各地の市民、観光客、ビジネスマン等は同指標が描く“都市画像”から、生活やビジネスの決め手となる参照を得られる。各都市の政策担当者も同指標を使い、より正確な都市発展の目標や競争戦略を描き、中国都市を一層健全に発展させるであろう。


図2 中国都市総合発展指標2019 総合ランキング101-200位都市


邱暁華
マカオ都市大学経済研究所所長、中国国家統計局元局長

 中国都市総合発展指標は、大変意義のある取り組みである。私なりに下記の4つの意義をまとめた。

 第1に、これは都市発展の羅針盤である。同指標は中国の都市発展にディレクションと目標を示したことで、都市発展の方向性を指導している。

 第2に、これは都市発展の年鑑である。毎年出し続けられる同指標は、中国都市発展の軌跡を記述し、都市発展の変化を記録している。

 第3に、これは都市発展の診断書である。同指標は毎年、都市の「健康診断」を実施している。各都市の健康状況を明らかにし、都市政策の当事者や研究者の状況判断を助けている。

 第4に、これは都市発展の成績表でもある。さまざまな指標から都市の成績を明確に示し、且つ、297都市の違いを一目瞭然にしている。

 中国都市総合発展指標2019の全ランキング公開は中国都市の年度総括であり、年度健診でもある。こうした総括と診断によって中国都市発展の進展と不足が認識できる。これを踏まえ各都市は未来志向で不足を解決し、一層の発展を促し、中国と世界のさらなる良好な関係を築き上げるであろう。


杜平
中国国家戦略性新興産業発展専門家諮詢委員会秘書長、中国国家信息センター元常務副主任

 今回が第4回目の発表となった中国都市総合発展指標は、国内外で好評を博している指標システムである(すでに中国語版、英語版、日本語版が出版)。同指標は、中国の政策担当省庁、地方政府、学界および経済界に重要な参考と啓発を与え続けている。

 中国都市総合発展指標の独自の長所について私なりにまとめてみた。

 一つは、データの欠陥と歪みの問題を解決したことである。これまで中国での指標研究のほとんどは、統計データやアンケートデータにしか使えなかった。これらデータの設計、採集、集計から来るデータの欠陥と歪みは問題が大きかった。

 結果、同指標では、データ源の約30%は統計データ、約30%が衛星リモートセンシングデータ、約40%がインターネット・ビックデータとなっている。これによって、統計データで生じる歪みを是正することができた。さらに、これまで統計データではカバーしきれなかった領域も数字化できるようになった。こうした努力により中国都市総合発展指標が都市を評価するために必要なデータは、質量ともに確保できた。

 二番目に、中国都市総合発展指標の「3×3×3構造」が挙げられる。中国春秋時代の思想家老子は、「一から二が生まれ、二から三が生まれ、三から万物が生まれる」という宇宙観を説いた。都市という複雑かつ巨大なシステムをはかる指標の「3×3×3構造」はこのような思想に合致している。

 中国都市総合発展指標は、そのデザイン理念、指標間のロジック、システムにおいて、実に簡潔かつ合理的である。環境、社会、経済という3つの大項目を立て、9つの中項目、そして27の小項目を置き、878のデータで定量化した。

 よって、同指標は都市の変化を趨勢として捉えると同時に、細部までの変化も網羅する。これは都市の現状や課題を明らかにし、戦略や政策の策定の大きな助けになる。

 三番目は、中国都市総合発展指標がこれまで中国にはなかった指標を開発し、都市発展の趨勢を促す手立てとなったことである。例えば、「DID人口」を用いて、都市発展の規模と質を見極めた。また、「輻射力」という概念を提起し、都市の外部への影響力を様々な分野から検証できた。さらに輻射力と都市機能との相関関係の分析により、各産業がそれぞれ求める都市の機能を明らかにした。

 四番目は、国際比較である。中国都市総合発展指標は中国だけでなく、海外の都市も評価可能となっている。例えば、北京と東京両大都市圏の比較がリアルにできることで、中国の都市発展の目標が一層定まった。

 以上述べたように中国都市総合発展指標は先見性と戦略性を持ち、ハイクオリティな発展を求める中国の都市にとって実用性の高い政策・計画ツールである。


図3 中国都市総合発展指標2019 総合ランキング201-297位都市


明暁東
中国国家発展改革委員会発展戦略和計画司元一級巡視員、駐日中国大使館元公使参事官

 中国国家発展改革委員会発展戦略和計画司と雲河都市研究院が共同で研究開発した中国都市総合発展指標(以下〈指標〉と略称)の、2019年度ランキングが、正式に発表された。これは2016年度の初めての発表以来4度目になる。〈指標〉は近年、中国の都市発展の歴史を記録し、都市の高品質発展、空間構造の進化などプロセスをも捉えている。

 ハイクオリティ発展において、〈指標〉は環境、社会、経済の3つの軸から878のデータを精選し、都市の持続発展能力を総合的に表現している。とりわけ〈指標〉は、イノベーション、産業構造の高度化などについて経済大項目の中に「イノベーション・起業」という小項目を置き、都市の新たな活力を捉えている。指標の公表以来5年間、中国の都市発展のクオリティは明らかに向上し、都市化率も上昇し、約1億の農業人口が都市へ移動した。毎年1,300万人を超える都市部への就業増が実現した。都市の軌道交通も迅速に発展し、運行距離は5,500キロメートルに達した。都市の環境マネジメント力も強化し、汚水処理率は95.6%に達した。生活ゴミの無害処理率も大幅に上昇した。スマート化、グリーン化は、人文化への追求によって都市の在りようは一新された。

 空間構造において、〈指標〉は297の地級市およびそれ以上の都市を網羅し、中国都市の空間的な分布をすべてカバーし、中心都市とメガロポリスを軸にした中国の空間構造をきちんと捉えている。〈指標〉は、「輻射力」指標のシリーズを設定し、さまざまな分野における都市の影響力を顕にした。過去5年間で、人口集積と産業集積においてメガロポリスの存在が更に顕著になってきた。現在19のメガロポリスは75%の都市人口をかかえ、80%以上のGDPを貢献している。都市圏も急速に形成されている。中心都市の輻射力は増大し、圏域内におけるインフラ整備、公共サービスの提供、産業の連携は進んでいる。

 都市と農村の関係において、中国の都市行政区域の中には都市空間と農村空間双方が存在しているため、〈指標〉は都市を対象としているが、環境、社会、経済各大項目の中に農業、農村、農民に関わる指標を数多く設置している。とくに、経済大項目の中に「都市農村共生」という小項目を置き、都市の発展と農村の振興とのバランスを測っている。過去5年間で中国における都市と農村との協調発展の政策体系がより整備され、都市と農村における基本公共サービスの連携が一層深まった。農村部での水、電力、道路、ネットワークなどのインフラ整備水準が向上し、都市と農村の住民の収入比は2014年の2.75から2019年の2.64へと縮小した。

 中国都市総合発展指標2019は、中国都市発展の新たな変化も捉えている。前年度と比べ、東北地域の長春、ハルビン両市は総合ランキングのトップ30から転落した。主な原因は社会大項目での指標成績が悪化したことにある。相対して中部地域は、南昌と西部地域の貴陽の両市は、同トップ30への仲間入りを果たした。

 中国都市総合発展指標2019で、CO2排出量への評価を導入したことにより、環境大項目においてはランキングの変動が大きい。前年度と比較し、上海、広州両市の順位が向上し、深圳に次いで全国第2位と第3位を勝ち取った。これは、環境マネジメントの強化でメガシティでも環境問題を改善できることを示した。相対して温州、龍岩、黒河、天津、南平、莆田、泉州、フルンボイル、臨滄など都市はトップ30から転落した。

 社会大項目においては、そのランキングは経済大項目との相関度が高い。これは経済成長が社会発展の礎であることを意味する。相対して、海口、石家荘、南昌、ラサ、ウルムチ、蘭州、呼和浩特、銀川、西寧など省都・自治区首府がトップ30入り出来なかった。

 経済大項目においては、順位の変化はあったものの、トップ30の都市には古参メンバーが多く見られた。強いものが常に強いという局面が現れている。相対して、常州と煙台両都市はトップ30から脱落した。

 中国都市総合発展指標2019ランキングにおける変化からいくつかの構造的な特徴が見て取れる。①中国の経済分布が基本的に安定し、経済の重心が依然として東南地域に偏っている。②生態環境が全体として改善されたものの、個別では伝統的に環境が優れていたいくつか都市の環境データが悪化した。③社会発展が安定的に進んでいるものの、経済発展への依存が依然として強い。

 以上から見て取れるように、よく体系化され、適切な指標を選定した中国都市総合発展指標は、都市の主な発展分野を網羅し、中国都市発展の方向性を明確に示す重要な政策ツールである。


図4 中国都市総合発展指標2019 環境ランキング1-100位都市


図5 中国都市総合発展指標2019 社会ランキング1-100位都市


図6 中国都市総合発展指標2019 経済ランキング1-100位都市


中国網日本語版(チャイナネット)」2021年3月11日

【ランキング】中国都市総合発展指標2019ランキング

 雲河都市研究院は、中国都市総合発展指標2019を発表した。これは2016年以来4度目の「中国都市総合発展指標」に基づいた中国都市ランキングの発表となる。同指標が中国全国297の地級市及び以上の都市をカバーしたことで、全ての都市が自らの立ち位置や成績を見ることができるようになった。

 中国都市総合発展指標は雲河都市研究院と中国国家発展改革委員会発展戦略和計画司が共同で開発した都市評価指標システムである。同指標の特徴は環境、社会、経済の3つの大項目から中国の都市発展を総合的に評価するところにある。各大項目の下に3つの中項目を置き、各中項目は3つの小項目に支えられる。見事な3×3×3構造になっている。また、小項目は数多くの指標データにより構築される。2019年度ではさらに、これらの指標データが878組の基礎データより構成されることとなった。

  これら基礎データは、統計データだけではなく、衛星リモートセンシングデータやインターネットのビッグデータを3分の1ずつ取り入れている。中国都市総合発展指標はある意味では五感で都市を感知するマルチモーダルインデックス(Multimodal Index)である。これは世界でも初めての斬新なスーパーインデックスである。

1. 総合ランキング


北京が4年連続総合ランキングで第1位を獲得。上海が第2位、深圳は第3位

 中国都市総合発展指標2019総合ランキングトップ10都市は、北京、上海、深圳、広州、重慶、杭州、成都、天津、南京、武漢である。この10都市は5つのメガロポリスに分布している。長江デルタメガロポリスに3都市、珠江デルタメガロポリスに2都市、京津冀メガロポリスに2都市、成渝メガロポリスに2都市、長江中游メガロポリスに1都市ある。

 総合ランキングではトップ4の北京、上海、深圳と広州は、総合実力が抜群で、連続4年間各々の順位を守り抜いた。4都市其々で見ると、首都北京は社会大項目で他の追随を許さない優位性を持つ。魔都上海は経済大項目で全国トップの座を揺るぎないものとした。新興スーパーシティ深圳は経済大項目におけるパフォーマンスに特に秀でている。由緒ある貿易都市広州は三大項目それぞれの成績のバランスが良い。

 重慶は総合ランキングで天津と杭州を超え、2018年の第7位から第5位に上り詰めた。相反して天津は、2018年の第5位から第8位へと後退した。成都と南京は各々順位を1つずつ上げて第7位、第9位になった。これに対して武漢は順位を一位下げて第10位となった。杭州は第6位の座を守り抜いた。

2. 環境大項目ランキング


深圳は環境大項目で連続4年首位、上海と広州は各々第2位、第3位へと躍進

 二酸化炭素排出量を中国の都市評価に取り入れることは、中国都市総合発展指標2019の一大進化である。長年の努力により雲河都市研究院は、衛星リモートセンシングデータの解析とGISの分析を用いて各都市の二酸化炭素排出量を正確に算出した。これにより都市評価の精度と分析幅を大幅に上げた。勿論、二酸化炭素排出量を取り入れたことにより総合ランキング、とりわけ環境大項目ランキングに一定の影響を及ぼした。

 中国都市総合発展指標2019環境大項目ランキングトップ10都市は深圳、上海、広州、林芝、昌都、廈門、三亜、北京、日喀則、海口である。

 深圳は4年連続環境大項目で第1位に輝いた。上海と広州は其々2018年の第8位、第7位から2019年には第2位、第3位に躍進した。対する北京は2018年の第5位から第8位へと転落した。

  環境大項目ランキングで、チベットの林芝、昌都、日喀則の3都市がトップ10入りしたことは注目に値する。これはチベット各都市のデータ整備が進んだことから、「最後の浄土」であるチベットの、環境における優位性が現れた結果である。

 これまで3年間、廈門、三亜と海口は、環境大項目ランキングの上位に名を連ねる沿海3都市であった。チベット勢3都市のトップ10入りのショックを受けてもなおトップ10内に留まった廈門、三亜、海口3都市は、其々第6位、第7位、第10位に踏みとどまった。

3. 社会大項目ランキング


北京、上海が連続4年間、社会大項目ランキングの首位、第2位に輝き、広州が連続3年間第3位に

 中国都市総合発展指標2019社会大項目ランキングトップ10都市は、北京、上海、広州、深圳、杭州、重慶、成都、南京、武漢、天津である。

 社会大項目ランキングでは連続4年間、北京が首位を、上海が第2位に輝いた。広州は連続3年間第3位を守り抜いた。

 社会大項目は深圳のウィークポイントであった。本年度は大きな進歩を見せ、2018年の第8位から第4位へと躍進した。南京も前年の第10位から第8位へとアップした。

 重慶、成都、武漢は社会大項目ランキングで2018年の順位を保持し、其々第6位、第7位、第9位であった。

 杭州は前年比一位下がって第5位、天津は前年比で五位も下げて第10位へと転落した。

4. 経済大項目ランキング


上海が4年連続経済大項目ランキングで首位、北京、深圳も第2位、第3位を不動に

 中国都市総合発展指標2019経済大項目ランキングトップ10都市は、上海、北京、深圳、広州、天津、蘇州、重慶、杭州、成都、南京である。

 3つの大項目の中でも特に実力本位である経済大項目では、ランキング順位の変動幅が最も少ない。第1位から6位までの上海、北京、深圳、広州、天津、蘇州6都市が連続4年間、各々の順位を守った。杭州は連続2年間、第8位であった。

 重慶は前年比で二位上げて第7位へ、南京は同一位上げて第10位となった。これに対して成都は二位下げて第9位へと滑落、武漢はトップ10外の第11位へと下がった。


【掲載】「中国網日本語版(チャイナネット)」2021年2月2日

中国都市総合発展指標2019

 雲河都市研究院は、「中国都市総合発展指標2019」を発表した。これは2016年以来4度目の「中国都市総合発展指標」に基づいた中国都市ランキングの発表となる。同指標が中国全国297の地級市及び以上の都市をカバーしたことで、全ての都市が自らの立ち位置や成績を見ることができるようになった。

 中国都市総合発展指標は雲河都市研究院と中国国家発展改革委員会発展戦略和計画司が共同で開発した都市評価指標システムである。同指標の特徴は環境、社会、経済の3つの大項目から中国の都市発展を総合的に評価するところにある。各大項目の下に3つの中項目を置き、各中項目は3つの小項目に支えられる。見事な3×3×3構造になっている。また、小項目は数多くの指標データにより構築される。2019年度ではさらに、これらの指標データが878組の基礎データより構成されることとなった。

  これら基礎データは、統計データだけではなく、衛星リモートセンシングデータやインターネットのビッグデータを3分の1ずつ取り入れている。「中国都市総合発展指標」はある意味では五感で都市を感知するマルチモーダルインデックス(Multimodal Index)である。これは世界でも初めての斬新なスーパーインデックスである。


1. 総合ランキング


北京が4年連続総合ランキングで第1位を獲得。上海が第2位、深圳は第3位

 「中国都市総合発展指標2019」総合ランキングトップ10都市は、北京、上海、深圳、広州、重慶、杭州、成都、天津、南京、武漢である。この10都市は5つのメガロポリスに分布している。長江デルタメガロポリスに3都市、珠江デルタメガロポリスに2都市、京津冀メガロポリスに2都市、成渝メガロポリスに2都市、長江中游メガロポリスに1都市ある。

 総合ランキングではトップ4の北京、上海、深圳と広州は、総合実力が抜群で、連続4年間各々の順位を守り抜いた。4都市其々で見ると、首都北京は社会大項目で他の追随を許さない優位性を持つ。魔都上海は経済大項目で全国トップの座を揺るぎないものとした。新興スーパーシティ深圳は経済大項目におけるパフォーマンスに特に秀でている。由緒ある貿易都市広州は三大項目それぞれの成績のバランスが良い。

 重慶は総合ランキングで天津と杭州を超え、2018年の第7位から第5位に上り詰めた。相反して天津は、2018年の第5位から第8位へと後退した。成都と南京は各々順位を1つずつ上げて第7位、第9位になった。これに対して武漢は順位を一位下げて第10位となった。杭州は第6位の座を守り抜いた。

中国都市総合発展指標2019 総合ランキングトップ30都市分布図
中国都市総合発展指標2019 総合ランキングトップ30都市
中国都市総合発展指標2019 総合ランキングトップ51-100位都市
中国都市総合発展指標2019 総合ランキングトップ101-200位都市
中国都市総合発展指標2019 総合ランキングトップ201-297位都市

2. 環境大項目ランキング


深圳は環境大項目で連続4年首位、上海と広州は各々第2位、第3位へと躍進

 二酸化炭素排出量を中国の都市評価に取り入れることは、「中国都市総合発展指標2019」の一大進化である。長年の努力により雲河都市研究院は、衛星リモートセンシングデータの解析とGISの分析を用いて各都市の二酸化炭素排出量を正確に算出した。これにより都市評価の精度と分析幅を大幅に上げた。勿論、二酸化炭素排出量を取り入れたことにより総合ランキング、とりわけ環境大項目ランキングに一定の影響を及ぼした。

 「中国都市総合発展指標2019」環境大項目ランキングトップ10都市は深圳、上海、広州、林芝、昌都、廈門、三亜、北京、日喀則、海口である。

 深圳は4年連続環境大項目で第1位に輝いた。上海と広州は其々2018年の第8位、第7位から2019年には第2位、第3位に躍進した。対する北京は2018年の第5位から第8位へと転落した。

  環境大項目ランキングで、チベットの林芝、昌都、日喀則の3都市がトップ10入りしたことは注目に値する。これはチベット各都市のデータ整備が進んだことから、「最後の浄土」であるチベットの、環境における優位性が現れた結果である。

 これまで3年間、廈門、三亜と海口は、環境大項目ランキングの上位に名を連ねる沿海3都市であった。チベット勢3都市のトップ10入りのショックを受けてもなおトップ10内に留まった廈門、三亜、海口3都市は、其々第6位、第7位、第10位に踏みとどまった。

中国都市総合発展指標2019 環境ランキングトップ30都市分布図
中国都市総合発展指標2019 環境ランキングトップ30都市
中国都市総合発展指標2019 環境ランキングトップ1-100位都市

3. 社会大項目ランキング


北京、上海が連続4年間、社会大項目ランキングの首位、第2位に輝き、広州が連続3年間第3位に

「中国都市総合発展指標2019」社会大項目ランキングトップ10都市は、北京、上海、広州、深圳、杭州、重慶、成都、南京、武漢、天津である。

 社会大項目ランキングでは連続4年間、北京が首位を、上海が第2位に輝いた。広州は連続3年間第3位を守り抜いた。

 社会大項目は深圳のウィークポイントであった。本年度は大きな進歩を見せ、2018年の第8位から第4位へと躍進した。南京も前年の第10位から第8位へとアップした。

 重慶、成都、武漢は社会大項目ランキングで2018年の順位を保持し、其々第6位、第7位、第9位であった。

 杭州は前年比一位下がって第5位、天津は前年比で五位も下げて第10位へと転落した。

中国都市総合発展指標2019 社会ランキングトップ30都市分布図
中国都市総合発展指標2019 社会ランキングトップ30都市
中国都市総合発展指標2019 社会ランキングトップ1-100位都市

4. 経済大項目ランキング


上海が4年連続経済大項目ランキングで首位、北京、深圳も第2位、第3位を不動に

「中国都市総合発展指標2019」経済大項目ランキングトップ10都市は、上海、北京、深圳、広州、天津、蘇州、重慶、杭州、成都、南京である。

3つの大項目の中でも特に実力本位である経済大項目では、ランキング順位の変動幅が最も少ない。第1位から6位までの上海、北京、深圳、広州、天津、蘇州6都市が連続4年間、各々の順位を守った。杭州は連続2年間、第8位であった。

 重慶は前年比で二位上げて第7位へ、南京は同一位上げて第10位となった。これに対して成都は二位下げて第9位へと滑落、武漢はトップ10外の第11位へと下がった。

中国都市総合発展指標2019 経済ランキングトップ30都市分布図
中国都市総合発展指標2019 経済ランキングトップ30都市
中国都市総合発展指標2019 経済ランキングトップ1-100位都市

中国都市総合発展指標2018

1. 総合ランキング


北京が3年連続で総合ランキング第1位、上海が第2位、深圳が第3位

 2016年、2017年と同様に総合ランキングトップ5都市は依然として北京、上海、深圳、広州、天津となった。首位の北京は、社会ランキングにおいて圧倒的に優勢で、空気環境の質がさらに改善されたことで、「環境」大項目のパフォーマンスも向上した。総合ランキング第2位の上海は、経済ランキングにおいて首位の座を保持した。「環境」大項目の「空間構造」中項目指標も上海が全国第1位を維持した。総合ランキング第3位の深圳は、「環境」「社会」「経済」の3つのランキングにおいて、それぞれ全国第1位、第8位、第3位となり、比較的バランスのとれた発展をしている。総合ランキング第4位の広州は、社会ランキングにおいて第3位で深圳よりも順位が高くなっている。第5位の天津は、「環境」大項目が第21位で2017年に比べて改善されている。杭州は2017年より順位を1つ上げ全国第6位、重慶は第7位に後退した。成都は2017年の第10位から順位を上げ2018年は第8位、南京は第10位であった。武漢は第9位に返り咲き、蘇州は2017年の第8位から第11位に転落した。

中国都市総合発展指標2018 総合ランキングトップ30都市
中国都市総合発展指標2018 総合ランキング1位 – 30位
中国都市総合発展指標2018 総合ランキング31位 – 150位
中国都市総合発展指標2018 総合ランキング151位 – 298位

2. 環境大項目ランキング


深圳は3年連続で環境ランキング第1位、三亜は第2位、海口は第3位を保持

 深圳は3年連続で環境ランキング第1位を獲得し、三亜と海口は2017年と同様、それぞれ第2位、第3位を保った。

 環境ランキング第4位の普洱と第5位の北京は、いずれも2017年と比べ大きく順位を上げている。特に北京の「空間構造」中項目が全国第3位となったと同時に、2017年に比べて空気汚染が大幅に改善された。北京だけではなく、空気の質が大幅に改善された他の都市、例えば福州や広州なども「環境」大項目でのパフォーマンスが、各々相対的に向上した。

 廈門は第6位を維持している。広州と上海は第7位、第8位であり、2017年と比較していずれも3つ順位を落としている。福州と重慶は第9位、第10位となり、2017年より各々1つ順位を下げている。2017年にトップ10都市に入っていた蘇州と珠海は第15位、第18位と2018年は残念ながらトップ10都市にランクインできなかった。

中国都市総合発展指標2018 環境ランキングトップ30都市
中国都市総合発展指標2018 環境ランキング1位 – 30位
中国都市総合発展指標2018 環境ランキング31位 – 65位
中国都市総合発展指標2018 環境ランキング66位 – 100位

3. 社会大項目ランキング


北京、上海が3年連続で第1位、第2位、広州は第3位を保持

 北京と上海は3年連続で第1位、第2位を獲得し、広州は2017年と同様に第3位であった。

 首都という性質上、北京は、「社会」大項目の「ステータス・ガバナンス」「伝承・交流」「生活品質」の3つの中項目指標でいずれも他の都市と比類ない優位性をもっている。上海は「社会」大項目の3つの中項目指標で第2位を獲得している。広州の「生活品質」中項目は第3位、「ステータス・ガバナンス」中項目は第5位となった。

 社会ランキングの第4位は杭州、第5位は天津であり、2017年に比べそれぞれ1つ順位を上げた。逆に、重慶は2つ順位を落とし第6位となった。成都は第7位で「伝承・交流」中項目指標は2017年より2つ順位を上げた。深圳は同中項目で1つ順位を後退させ第8位であった。武漢の「生活品質」中項目指標が向上し、これに伴い社会ランキングは2017年より2つ順位を上げ、第9位となった。第10位は南京で2017年と比べ2つ順位を下落させた。前年度第10位であった西安は残念ながら2018年は第11位となり、トップ10都市にランクインできなかった。

中国都市総合発展指標2018 社会ランキングトップ30都市
中国都市総合発展指標2018 社会ランキング1位 – 30位
中国都市総合発展指標2018 社会ランキング31位 – 65位
中国都市総合発展指標2018 社会ランキング66位 – 100位

4. 経済大項目ランキング


上海が3年連続第1位を保持、北京は第2位、深圳は第3位

 上海は疑いの余地なく、3年連続で経済ランキングの首位に輝いた。北京が第2位、深圳は第3位となった。

 上海は「経済」大項目の「経済品質」と「発展活力」の両中項目指標で全国第1位に輝いた。北京は「都市影響」中項目指標で全国第1位を獲得した。深圳は「経済品質」と「発展活力」の両中項目指標で全国第3位、「都市影響」中項目指標では全国第4位になった。

 広州、天津、蘇州は、それぞれ第4位、第5位、第6位であり、2017年のランキングと変化がない。成都と杭州は第7位、第8位となり、いずれも2017年より順位を1つ上げている。重慶は第9位で2017年と比べると順位を2つ落とした。武漢は第10位で経済ランキングのトップ10位内に舞い戻った。2017年の経済ランキングトップ10都市にランクインしていた南京は第11位となり、残念ながら今回は追いつけなかった。

中国都市総合発展指標2018 経済ランキングトップ30都市
中国都市総合発展指標2018 経済ランキング1位 – 30位
中国都市総合発展指標2018 経済ランキング31位 – 65位
中国都市総合発展指標2018 経済ランキング65位 – 100位

中国都市総合発展指標2017

1. 総合ランキング


総合ランキングで北京が首位、上海が第2位、深圳が第3位

 北京、上海、深圳はそれぞれ「社会」「経済」「環境」の三大項目において全国のトップを占めている。
 北京は「社会」大項目において「生活品質」「伝統・交流」「ステータス・ガバナンス」の3つの中項目で第1位を誇る。上海は、「経済」大項目中「経済品質」「都市影響」および「環境」大項目中「空間構造」の3つの中項目で第1位である。深圳は「環境」「経済」「社会」の三大項目が、それぞれ第1位、第3位、第7位で比較的バランスの取れたパフォーマンスを見せている。しかし、北京と上海は「環境」大項目において多くの解決すべき課題があることが、各指標から見られる。
 広州と天津は総合ランキング第4位、第5位で昨年と同位である。両都市は「経済」「社会」2つの大項目で各々特色があるが、天津は「環境」大項目で奮わず、広州の下位に帰した。重慶、杭州、蘇州、南京、成都は、それぞれ第6位から第10位となった。

中国都市総合発展指標2017 総合ランキングトップ30都市
中国都市総合発展指標2017 総合ランキング1位 – 30位
中国都市総合発展指標2017 総合ランキング31位 – 150位

2. 環境大項目ランキング


環境ランキングは深圳が第1位を保持、三亜、海口がそれぞれ第2位、第3位

 深圳の「環境」大項目が第1位の理由として、高水準の都市化、都市交通の利便性の高さ、高密度な人口、コンパクトな空間構造が挙げられる。新興臨海型大都市として、深圳は「環境」「社会」「経済」の三大項目で相対的にバランスがとれている。
 「環境」大項目の第2位から第10位までの都市は、三亜、海口、広州、上海、廈門、珠海、福州、重慶、蘇州である。「環境」大項目ランキングトップ10都市の中で重慶と蘇州は、長江沿いの都市であり、その他8都市は臨海都市である。臨海、そして長江沿いの都市は、改革開放後の大交流、大交易時代に急速な経済発展を遂げただけでなく、交通の利便性と生態資源にも恵まれ、開放と交流、そして空間構造と環境品質のパフォーマンスが優れている。

中国都市総合発展指標2017 環境ランキングトップ30都市
中国都市総合発展指標2017 環境ランキング1位 – 30位
中国都市総合発展指標2017 環境ランキング31位 – 150位

3. 社会大項目ランキング


社会ランキングでは北京は首位、上海、広州がそれぞれ第2位、第3位

 北京は首都ということもあり、「社会」大項目の優位は他の都市とは比べることができないほど明確だ。上海は、「社会」大項目において「生活品質」「伝統・交流」「ステータス・ガバナンス」の3つの中項目ですべて第2位である。広州は「生活品質」中項目の第3位を除き、他の中項目は第4位となっている。
 重慶、杭州、天津、深圳、南京、成都、西安は、「社会」大項目でそれぞれ第4位から第10位である。
 「社会」大項目上位10都市は、直轄市、省都、計画単列市に集中している。深圳は改革開放によって経済特区として発展した新興都市であり、その他9都市は悠久の歴史を湛え、なかでも北京、杭州、南京、西安の4都市が、かつて王朝の古都であった。
 注目すべきは、珠江デルタメガロポリス、長江デルタメガロポリス、京津冀メガロポリスと成渝メガロポリスの4大メガロポリスの中心都市が「社会」大項目の上位9位を占めていたことである。

中国都市総合発展指標2017 社会ランキングトップ30都市
中国都市総合発展指標2017 社会ランキング1位 – 30位
中国都市総合発展指標2017 社会ランキング31位 – 150位

4. 経済大項目ランキング


経済ランキングでは上海、北京、深圳がそれぞれ第1位、第2位、第3位

 上海は長江デルタメガロポリスと長江経済ベルトのエンジンとして、「経済」大項目の首位の座を堅持した。北京は「経済品質」と「都市影響」の2つの中項目を上海に譲ったが、「発展活力」中項目では第1位である。「経済」大項目第3位の深圳は「経済品質」「発展活力」「都市影響」の3つの中項目が各々第3位となった。広州、天津、蘇州、重慶、成都、杭州、南京は、「経済」大項目でそれぞれ第4位から第10位である。
 珠江デルタメガロポリス、長江デルタメガロポリス、京津冀メガロポリスと成渝メガロポリスの4大メガロポリスの中心都市が「経済」大項目の上位10位を総嘗めにした。

れに対して成都は二位下げて第9位へと滑落、武漢はトップ10外の第11位へと下がった。

中国都市総合発展指標2017 経済ランキングトップ30都市
中国都市総合発展指標2017 経済ランキング1位 – 30位
中国都市総合発展指標2017 経済ランキング31位 – 150位

中国都市総合発展指標2016

1. 総合ランキング


総合ランキングで北京が首位、上海が第2位、深圳が第3位

  北京が総合ランキングで上海を抑えて第1位となったのは、「社会」大項目のパフォーマンスで上海を大きく上回ったことによる。しかし、北京は「経済」大項目で上海と比べてやや遜色があり、「環境」大項目のパフォーマンスでは上海より大きく下回っている。
 深圳は総合ランキングで北京、上海に続く第3位となった。深圳の優位性は「環境」大項目と「経済」大項目に表れている。特に「環境」大項目では深圳がランキング第1位を獲得した。新興都市である深圳は、「社会」大項目のパフォーマンスでやや遜色がある。
 広州は総合ランキングで第4位、天津は第5位となった。両都市は「社会」大項目と「経済」大項目で各々特色があり、広州は「環境」大項目のパフォーマンスで天津に秀でている。
 蘇州、杭州、重慶、南京と武漢は第6位から第10位であり、「社会」大項目と「経済」大項目において、5都市はほぼ上位10位内に入っている。しかし「環境」大項目では、最も順位の高い蘇州でも、ランキングは第20位に留まっている。

中国都市総合発展指標2016 総合ランキングトップ20都市
中国都市総合発展指標2016 総合ランキング1位 – 20位

2. 環境大項目ランキング


環境ランキングは深圳が堂々第1位、寧徳、フルンボイルがそれぞれ第2位、第3位

  深圳は「環境」大項目で首位となった。環境の各中項目指標のパフォーマンスでは、「空間構造」は第3位、「環境品質」は第10位、「自然生態」は第26位である。
 寧徳は「環境」大項目で第2位である。福建省にある寧徳はあまり知られていない都市ではあるが、気候は穏やかで、「水資源量」や「森林面積率」、「空気質指数」のいずれの指標も飛び抜けて高い。
 内モンゴル自治区フルンボイルは「環境」のランキングで第3位である。北部全域で「環境」大項目の上位20位入りした唯一の都市。森林、草原、空気の清々しさが際立っている。
 三亜、上海、南平、三明、汕尾、麗江、福州がそれぞれ第4位から第10位までの都市である。
 注目すべきは、総合ランキング上位10都市で、深圳と上海だけが「環境」大項目のトップ10に入ったことである。

中国都市総合発展指標2016 環境ランキングトップ20都市
中国都市総合発展指標2016 環境ランキング1位 – 20位

3. 社会大項目ランキング


社会ランキングでは北京は首位、上海、天津がそれぞれ第2位、第3位

 北京と上海は「社会」大項目で第1位と第2位であった。「伝承・交流」中項目では北京は上海に秀で、「社会ガバナンス」中項目では上海が北京を超えている。「生活品質」中項目では両都市は伯仲している。
 天津、杭州、広州、重慶、南京、蘇州、武漢と成都が、「社会」ランキングで第3位から第10位までの都市である。この8都市の偏差値の差はそれほど大きくはなく、偏差値が最大の天津が69.4で、最小の成都が65.5となっている。
 「伝承・交流」中項目指標は天津、広州、重慶が優勢で、「生活品質」中項目では杭州、蘇州が秀でている。

中国都市総合発展指標2016 社会ランキングトップ20都市
中国都市総合発展指標2016 社会ランキング1位 – 20位

4. 経済大項目ランキング


経済ランキングは上海首位、北京と深圳がそれぞれ第2位、第3位

 上海と北京が「経済」大項目で第1位、第2位。「経済品質」と「発展活力」の2つの中項目では上海が秀でているが、「都市影響」指標では、北京が突出した首位である。
 深圳、広州、天津と蘇州は「経済」大項目で第3位から第6位である。深圳は「経済品質」と「発展活力」の両中項目指標で上位であり、広州は「都市影響」指標でのパフォーマンスが目をひく。
 杭州、重慶、南京、成都は「経済」大項目で第7位から第10位となった。この4都市の偏差値に大きな違いはないが「経済品質」中項目では重慶がより優れて第4位である。「都市影響」指標では杭州と成都が比較的よく、各々第5位、第9位となった。

中国都市総合発展指標2016 経済ランキングトップ20都市
中国都市総合発展指標2016 経済ランキング1位 – 20位