【寧波】港湾機能をベースとした製造業スーパーシティ【中国都市総合発展指標】第14位

中国都市総合発展指標2022
第14位



 寧波は中国都市総合発展指標2022総合ランキング第14位であり、前年度の順位を維持した。

 「経済」大項目は第12位で、前年度の順位を維持した。3つの中項目で「経済品質」は第11位、「発展活力」および「都市影響」は第13位で、3中項目のうちトップ10入りした項目はなかった。小項目では、「開放度」「経済構造」は第10位と、9つの小項目のうち2項目がトップ10に入った。なお、「経済規模」「広域中枢機能」は第11位、「経済効率」は第13位、「ビジネス環境」「イノベーション・起業」は第16位、「広域輻射力」は第18位、「都市圏」は第19位と、9つの小項目のうちすべての項目がトップ20に入った。

 「社会」大項目は第18位で前年度の順位を維持した。3つの中項目で「生活品質」は第16位、「ステータス・ガバナンス」は第21位、「伝承・交流」は第23位、3中項目のうちトップ10入りした項目はなかった。小項目で見ると、9つの小項目のうち、トップ10入りした項目はなかったものの、「居住環境」は第13位、「文化娯楽」は第15位、「社会マネジメント」「消費水準」は第18位と、4項目がトップ20に入った。なお、「生活サービス」は第24位、「都市地位」「人口資質」「人的交流」は第32位、「歴史遺産」は第33位であった。

 「環境」大項目は第25位で、前年度より順位を4つ上げた。3つの中項目のうち「空間構造」は第23位、「環境品質」は第60位、「自然生態」は第70位であった。9つの小項目のうち、トップ10入りした項目はなかったものの、「都市インフラ」は第17位と、1項目がトップ20に入った。なお、「環境努力」は第22位、「コンパクトシティ」は第26位、「交通ネットワーク」は第30位、「気候条件」は第68位、「資源効率」は第72位、「自然災害」は第81位、「汚染負荷」は第101位、「水土賦存」は第205位であった。

■ 古くからの一大貿易拠点都市


 寧波は、浙江省の東部に位置する計画単列市であり、中国東部沿岸の重要な港湾都市である。2021年までに、寧波は6つの区、2つの県級市、2つの県を管轄し、総面積は9,816平方キロメートル(青森県と同程度)である。寧波は雨量が多く、亜熱帯モンスーン気候に属し、温暖湿潤で、四季がはっきりしている。

 地理的に、東は舟山群島が点在し、西は紹興市、南は台州市と隣接している。海岸線が長く、その総延長は1,594キロメートルにも達し、大小614の島を有している。

 寧波は7000年前の稲作文化として名高い「河姆渡新石器遺跡」を有し、また秦の時代、徐福の大船団が寧波から出発した伝説がある。唐の時代、寧波はすでに揚州や広州と並ぶ中国三大貿易港の一つとなっていた。

 1127年に南宋が杭州に都を置いた後は、寧波の地理的な重要性が更に高まり、杭州の対外貿易のほとんどを担うようになった。この時代に寧波は、広州、泉州と並ぶ対外貿易の三大港の一つに数えられていた。

 しかし、明朝初頭に、倭寇や海賊対策のため、寧波は重要な海防基地となった。政府から遠洋舶の製造が禁止され、沿海部の貿易が厳しく制限されて寧波の経済発展が後退した。

 1545年に、ポルトガルが寧波で貿易活動を展開しはじめ、最初は密貿易であったが、1567年以後、公的な貿易も行うようになった。その後、オランダやイギリスからも商人が相次ぎやってきて、寧波は再び一大貿易拠点都市となった。

■ 群を抜く港湾能力


 現在、寧波は港湾機能中枢都市の地位をより高め、2022年に寧波―舟山港のコンテナ取扱量は世界第3位を誇っている(詳しくは、「【ランキング】世界で最も港湾コンテナ取扱量が多い都市はどこか?」を参照)。

 寧波―舟山港は中国の一大鉄鉱石中継基地、原油・石炭輸送基地、穀物輸送基地である。寧波は240以上の国際航路で、100以上の国・地域とつながっている。

■ 民営経済の活力をベースに


 改革開放以降、寧波経済は活力に満ちている。その原動力は民営経済である。寧波は、中国商人発祥の地とも呼ばれ、上海人の1/4は寧波出身者と言われている。また、寧波は華僑の故郷としても有名で、30万人以上の寧波人が世界50以上の国と地域に居住している。海外の寧波人は、寧波市と世界を結ぶ重要な架け橋となっている。

 2022年末までに、寧波には香港、上海、深圳の三大メインボードに上場する企業が89社立地し、中国で第9位の規模を誇っている。現在、寧波GDPの80%以上が民営経済によって生み出されている。

 2022年、寧波の地域内総生産(GDP)は1兆5,704億元(約31.4兆円、1元=20円換算)で、中国第12位であった。成長率は、前年比3.5%であった。一人当たりGDPは16万3,280元(約327万円)で、中国第14位だった(詳しくは「【ランキング】世界で最も経済リカバリーの早い国はどこか? 中国で最も経済成長の早い都市はどこか?」を参照)。

■ 人口吸収でメガシティが目前に


 経済成長が人口を吸引し、2022年末の常住人口は約962万人で中国では第21位の人口規模であった。人口の流出入を示す「流動人口(非戸籍常住人口)」では、浙江省内11都市のうち9都市は、外部から人口が流入している。寧波は、流入人口が杭州とほぼ同等で約336万人であり、全国から多くの人口を吸い上げている。よって寧波は中国第12位の人口流入都市となっている。寧波は人口1000万人を超えるメガシティになるのも時間の問題だ。

■ 製造業スーパーシティとしての発展


 寧波は、港湾と民間活力をベースに現在、一大製造業スーパーシティに成長した。「中国都市製造業輻射力2022」では寧波は中国で第5位。2022年、同市の工業付加価値は6,682億元(約13.4兆円)を達成し、前年比で3.3%の増加となった。輸出総額も前年比8%増の8,231億元(約16.5兆円)で、中国第5位(詳しくは「【ランキング】中国で最も輸出力の高い都市はどこか?」を参照)。

 製造業の成長に伴い、科学技術への投資も大きく拡大している。「中国都市科学技術輻射力2022」で寧波は中国第9位であり、トップ10にランクインした。「R&D人員」は中国第9位、「特許取得数指数」は中国第16位、「国際特許取得総数」は中国第12位と、科学技術力を測る多くの指標が高い成績を収めている。その結果、市内にユニコーン企業が2社立地し、その企業価値は1,060億ドル(約21.2兆円)に達している。


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