西寧:西部大開発の拠点都市【中国中心都市&都市圏発展指数2020】第52位

 フフホト市は、中国中心都市&都市圏発展指数2020の総合第52位にランクインした。同市は2019年度より順位を1つ下げている。

 中国中心都市&都市圏発展指数は、中国都市総合発展指標の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価している。10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の発展を総合評価するシステムである。

 西寧市は、青海省の省都で、チベット高原の東玄関口として、中国西北部の中心都市である。現在、5区2県を管轄し、総面積7,660平方キロメートル(宮崎県と同程度)で、2021年における地域内総生産は、前年比8.1%増の1548.8億元(約3.1兆円、1元=20円換算)で、中国では188位である。

 同市は、東西に細長い形をしており、南西部が高く、北東部が低い地形となっている。南は南山、北は北山に囲まれている。海抜2,261メートル(長野県・有明山の標高と同程度)の高原都市で、年間平均降水量は380ミリメートル、年間平均日照時間は約1,940時間、年間平均気温は7.6℃、最高気温は34.6℃、最低気温は-18.9℃で、寒暖差は激しい。夏の平均気温は17〜19℃と過ごしやすい。

 青海省の東部、湟水河(青海省に源を発し甘肅省に流入する黄河上流の重要な支流)の中流域に位置する西寧市は、古代シルクロードや「唐蕃古道(とうはんこどう)」の交易都市として、古来より栄えた。唐蕃古道は、かつて中国中原とチベットを結んだ交易ロードである。唐は唐朝のことを指し、蕃はチベットのことを示す。

 西寧市は、黄土高原とチベット高原の結節点に位置することから、色彩豊かな民俗文化を有する多民族都市である。現在は、漢族、チベット族、回族など多民族が居住している。チベット仏教の聖地・タール寺は、観光名所として名高い。

 2000年から始まった「西部大開発」は同市に大きな発展をもたらしている。西部大開発とは、東部沿海地域と内陸の西部地域の格差を是正し、内陸経済の発展を促す国家政策である。同政策によって、西寧市の空港、鉄道や道路などの広域インフラ整備は急速に進み、経済発展が加速した。その結果、青海省の都市化率は、2000年の34.8%から、2021年には61%に達した。西寧市の人口は、2000年の197.9万から、2021年には247.6万となり、この間、約50万人も増加している。

 青海省は、チベットに続く中国で2番目に草地が多い省である(「【コラム】黄砂襲来に草地を論ず 〜中国都市草地面積ランキング2019〜」を参照)。西寧市は、市内の半分以上の面積が草地である。しかし、上記のコラムでも指摘しているように、中国では乱開発の影響により、草地の減少が大きな環境問題となっている。近年、「主体効能区」政策の実施によって、草地の資源状況が大幅に改善されている。西寧市の豊富な自然資源は現在、観光資源としても注目を集めている。


〈中国中心都市&都市圏発展指数〉:【36中心都市】北京、上海、深圳、広州、成都、天津、杭州、重慶、南京、西安、寧波、武漢、青島、鄭州、長沙、廈門、済南、合肥、福州、瀋陽、大連、昆明、長春、ハルビン、貴陽、南昌、石家荘、南寧、太原、海口、ウルムチ、蘭州、フフホト、ラサ、西寧、銀川

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