蘭州:黄河沿いのシルクロード交易拠点都市 【中国中心都市&都市圏発展指数2020】第39位

 蘭州市は、中国中心都市&都市圏発展指数2020の総合第39位にランクインした。同市は2019年度より順位を2つ下げている。

 中国中心都市&都市圏発展指数は、中国都市総合発展指標の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 甘粛省の省都である蘭州市は、西北地域の中心都市、重要な産業拠点、広域交通ハブである。同市は、5つの区と3つの県を管轄し、総面積は13,100平方キロメートル(福島県と同程度)である。2021年現在、常住人口は約438万人で中国では114位、GDPは前年比6.1%増の約3,231億元(約6.5兆円、1元=20円換算)で、中国では95位である。

 同市は、黄河中流に位置し、青海チベット高原から黄土高原への移行地帯にあり、海抜は約1,520メートルである。大陸性気候に属し、年間平均気温は10.3℃、避暑地としても有名である。年間平均日照時間は2,374時間、無霜期は172日、年間平均降水量は約300ミリメートルである。

 「シルクロードの真珠」と呼ばれる蘭州市は、古くから交通の要衝として交易拠点であると同時に軍事拠点でもあった。紀元前2世紀に張騫が漢王朝の外交使節団として中央アジアの国々を訪問したことを契機に、ユーラシア大陸を横断し、東西を結ぶシルクロードが開かれた。黄河沿いの蘭州は、シルクロードの主要商業港として、中国と西域の経済文化交流の一大拠点になった。その足跡は、『西遊記』などにも残されている。

 同市内を流れる黄河のほとりには、蘭州水車などの観光スポットが立ち並ぶ。黄河にかかる中山鉄橋は1909年に建設された中国最初の鉄橋で、「黄河第一橋」と呼ばれている。

 古来より交通の要衝であった蘭州の、ハブとしての地位は現代も変わらない。陸路では、西北地域で最も密集した鉄道網を持ち、「一帯一路」をつなぐハブとなっている。「中国都市鉄道密度」は全国で24位、「中国都市鉄道利便性」は同34位である。空路では、蘭州中川国際空港は西北地域の重要なハブ港であり、第3期拡張プロジェクトが2023年中の完成に向けて建設が進行している。「中国都市航空運輸量」は全国で24位、「中国都市空港利便性」は同29位(【ランキング】中国で最も空港利便性が高い都市はどこか?〜2020年中国都市空港利便性ランキング)である。

 新中国建国後、蘭州は重要な産業基地に位置づけられ、第一次五カ年計画、第二次五カ年計画、三銭建設の時代に産業基盤整備が行われた。蘭州周辺地域は石油資源埋蔵量が豊富であることから、中国の重要な石油化学基地となっている。「中国都市石油・石炭加工業輻射力」は全国で15位である。また、蘭州ハイテク産業開発区と蘭州経済技術開発区という国家レベルの開発区を有し、2012年には、西北地域における初の国家級新区である蘭州新区が承認された。

 蘭州大学を代表とする30の大学と1,200を超える各種科学研究機関に、国をリードする高度人材が多く集まっている。蘭州市の総合科学技術力は中国都市の上位にある。「中国都市高等教育輻射力」においては全国で20位と、西北地域では最も順位が高い。

 2,200年以上の歴史を有する同市には、万里の長城を含む多くの文化遺産がある。食文化でも「蘭州ラーメン」は世界に名高い。同市で発刊される『読者』は、中国で最も売れた雑誌として今も絶大な発信力を持っている。

 蘭州市は、「一帯一路」建設に即して新時代の交易拠点として発展を遂げることができるか、今後も要注目である。


〈中国中心都市&都市圏発展指数〉:【36中心都市】北京、上海、深圳、広州、成都、天津、杭州、重慶、南京、西安、寧波、武漢、青島、鄭州、長沙、廈門、済南、合肥、福州、瀋陽、大連、昆明、長春、ハルビン、貴陽、南昌、石家荘、南寧、太原、海口、ウルムチ、蘭州、フフホト、ラサ、西寧、銀川

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