大連:中国東北部の玄関口【中国中心都市&都市圏発展指数2020】

 大連市は、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の総合第23位にランクインした。同市は2019年度より順位がいきなり5位も下降した。大項目でみると、「都市圏実力」、「輻射能力」、「広域中枢機能」、「開放交流」、「文化教育」といった経済・社会を代表する指標が軒並み順位を落としており、総じて総合順位が下降する結果となった。

 〈中国中心都市&都市圏発展指数〉は、〈中国都市総合発展指標〉の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 大連市は遼寧省に属する計画単列市・副省級市であり、中国東北地域を代表する港湾都市である。渤海湾と黄海に面した遼東半島に位置し、東は黄海、西は渤海、南は山東半島、北は東北平原と三方を海に囲まれた地形を有する。大連市の総面積は12,574平方キロメートル(新潟県と同程度)。2021年の常住人口は約745万人であり、遼寧省では省都の瀋陽市に次ぐ規模を誇る。2021年のGDPは前年比8.2%増の約7826億元(約15.7兆円、1元=20円換算)を達成した。

 大連市は、近代史の中で幾度も戦禍を被ってきた。第一次アヘン戦争、第二次アヘン戦争では、イギリス軍が大連周辺に侵攻し、日清・日露戦争では大連市は主戦場となった。

 大連港は世界的に有名な不凍港で、1万トン以上のバース (荷役を行う港湾施設)40基を含む70基以上のバースを有し、世界160以上の国・地域の300以上の港と貿易・輸送を行っている。まさしく中国東北地域の玄関口である。

 「中国中心都市&都市圏発展指数2020」における「広域中枢機能」の中項目「水路輸送」では、第9位という高順位に位置している。実際、コンテナ取扱量は中国国内で第9位、世界全体では第25位という成績を誇っている。詳しくは、下記の記事を参考にされたい(【ランキング】世界で最も港湾コンテナ取扱量が多い都市はどこか? 〜2020年中国都市コンテナ港利便性ランキング)。


中国中心都市&都市圏発展指数

中国中心都市&都市圏発展指数2020
中国中心都市&都市圏発展指数2019
中国中心都市&都市圏発展指数2018
中国中心都市指数2017

瀋陽:中国東北部最大の中心都市【中国中心都市&都市圏発展指数2020】

 瀋陽市は、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の総合第22位にランクインした。同市は2019年度より順位が1位下降した。

 〈中国中心都市&都市圏発展指数〉は、〈中国都市総合発展指標〉の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 遼寧省の省都である瀋陽市は、中国東北地域最大の経済、文化、交通の中心都市である。市内を流れる瀋水(渾河)の北部に位置することから、「瀋陽」と名付けられた。

 瀋陽市は、平野部が優勢で、山や丘陵は南東部に集中している。瀋陽市の緯度は日本の函館に相当し、気候は湿潤大陸性気候で、最高気温は34.6℃、最低気温は-30.6℃と極端な温度差がある。季節風の影響を受け、四季がはっきりしている。

 瀋陽市は、鉄鉱石や石炭などの豊富な資源に恵まれ、鉄鋼産業、機械工業などの重化学工業を中心に発展してきた中国有数の工業地帯である。しかしグローバルサプライチェーンの展開に遅れを取り、長江デルタ、珠江デルタなど新興工業地帯との競争に追いついていない。そのため、産業の地盤沈下が著しい。

 2022年現在、瀋陽市は10区、2県、1県級市を管轄し、総面積は12,860平方キロメートル(新潟県と同程度)、2021年のGDPは7,249.7億元(約14.5兆円、1元=20円換算)で全国第33位、常住人口は911.8万人で全国第31位。

 瀋陽市は中国を代表する歴史文化都市でもある。同市は、清王朝発祥の地で、2300年以上の歴史を有する。1625年、満州族の王朝である後金(のちの清)の都として清朝皇帝太祖ヌルハチが瀋陽市に都を建設し、1644年に清朝が北京に遷都されるまで、瀋陽市は国都とされ、盛京と呼ばれた。太祖ヌルハチが建設した故宮やその墓である東陵は、当時の建物がそのまま残され、博物館となっている。故宮、東陵に加え北陵という3つの世界文化遺産がある。市内には他にも1,500以上の歴史文化の名所があり、塔・寺院群などがひしめいている。

 しかし、これだけの観光資源を有しながら、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の中項目「交流実績」は全国37位、そのうち、「国内観光客」は全国54位と成績は振るわない。

 瀋陽市政府は、近年、観光産業などサービス業に力を入れ、第三次産業へと産業構造の転換を図っている。


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福州:華僑を輩出した歴史港湾都市【中国中心都市&都市圏発展指数2020】

 福州市は、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の総合第21位にランクインした。同市は2019年度より順位が1位上昇した。

 〈中国中心都市&都市圏発展指数〉は、〈中国都市総合発展指標〉の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 福州市は、福建省の省都は中国東南地域沿岸部に位置し、長江デルタメガロポリスと珠江デルタメガロポリスの中間地点に位置する。2020年末には、6市区、6県、1県級市を管轄し、総面積11,968平方キロメートル(秋田県と同程度)、常住人口は842万人を抱えている。

 福州市が位置する地域は、典型的な河口盆地で、周囲を山や丘陵に囲まれ、そのほとんどが標高600〜1000mの高地である。福州市の気候は亜熱帯モンスーン気候で、冬は短く夏は長い。温暖湿潤で、年間平均降水量は900〜2100mm、年間平均気温は16〜20℃。最も寒い月の1〜2月でも、最低気温は9度前後と暖かい。20201年には、福州市のGDPは1兆元20億元(約20兆円、1元=20円換算)で、中国の都市では23位であった。

 福州市の歴史は、紀元前202年まで遡り、秦・漢の時代に初めて「冶」と名付けられ、その後、域内に福山があることから「福州」と改称された。同市は、長い間、福建省の社会・経済・文化・政治の中心地であった。

 福州市は、中国の重要港湾都市でもある。同市は、古代から中国の重要な貿易拠点であり、古くから日本や東南アジアとの海上交通の要所であった。同市の馬尾港は、中国近代海軍発祥の地の一つとして名高い。同市は、近代中国で最初に開港した5つの商港の一つであった。改革開放後、中国で海外に開放された最初の14の都市の一つである。

 「中国中心都市&都市圏発展指数2020」において、福州市は「水路輸送」中項目で全国第16位であり、そのうち、「コンテナ港利便性」は全国14位、「コンテナ取扱量」は全国16位である。なお、「コンテナ取扱量」の2020年における世界ランキングでは世界第49位である(東京港:44位)。

 福州市の地域経済は、水産業、紡績産業、機械産業、電子情報産業、不動産・建材産業、観光産業の6つの柱を中心に成り立っている。海外への移民が多い同市では、海外送金と民間金融が盛んで、海外からの大量送金と投資により、中小民間企業が発展している。

 福州市は300万人以上の華僑の故郷として、中国を代表する華僑の都市となっている。「中国中心都市&都市圏発展指数2020」において、福州市は「交流実績」中項目は全国第18位であり、そのうち、「国内旅行客数」が全国35位である一方、「海外旅行客」は全国第5位という好成績を収めている。同様に、「国内観光収入」は全国202位である一方、「国際観光収入」は全国6位という順位を誇っている。華僑の力量を見せつける数字である。


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合肥:イノベーションで飛躍を遂げる 【中国中心都市&都市圏発展指数2020】

 合肥市は、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の総合第19位にランクインした。同市は2019年度より順位が2位上昇した。

 〈中国中心都市&都市圏発展指数〉は、〈中国都市総合発展指標〉の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 合肥市は安徽省の省都として地域の政治、経済、文化の中心都市である。同市は、長江デルタメガロポリスにおける副中心都市であり、四大科学教育基地の一つに数えられ、製造業の拠点都市であるとともに、交通の要所でもある。

 合肥市は、4区・4県・1県級市を管轄し、総面積は11,445平方キロメートルである(巣湖の水面770平方キロメートルを含む)。合肥市は、丘陵地、低山地、低平地の3つの地形があり、丘陵地が優勢である。亜熱帯モンスーン気候で、四季がはっきりし、気候は穏やかである。2021年末には、市の常住人口は946.5万人、都市化率は84.04%に達し、2021年の地域GDPは約1,143億元(約2.3兆円、1元=20円で換算)を達成している。

 合肥市は秦の時代から約2100年の歴史をもつ古都で、その名は、この地を源とする東江と南江にちなんで名付けられた。同市は、『三国志』において、魏と呉、曹操と孫権が争った土地として知られ、両軍は度々この地で激戦した。市内には、三国志時代を彷彿とさせる人気の観光歴史スポット「三国遺址公園」が整備されている。

 合肥市は元来、農業・製造業が盛んな都市であったが、現在ではめざましい経済発展を遂げ、合肥ハイテク技術産業開発区等3つの国家級開発区を有し、多くの外資企業が進出する新産業都市として、イノベーションを軸にした経済成長が期待されている。中国における科学技術・研究開発の重要拠点といえば北京、上海、深圳等が有名であるが、中国の最先端・新興科学技術都市として、現在、合肥市が国内外から注目を集めている。

 合肥市は近年、研究インフラへの投資を加速させ、市内に開設された研究開発施設は1,000以上にも及ぶという。市内ではさまざまな最先端の研究が行われ、中でも注目を集めているのが、量子コンピューター研究と人工知能研究である。

 合肥市内には、量子コンピューター分野の川上・川下企業が30社以上立地し、中国における量子企業の約3分の1を占めている。また、テンセントの人工知能産業本部基地等の大型プロジェクトが相次いで合肥に立地している。 同市における人工知能産業集積には900社近くが集まっている。合肥市は、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の中項目「イノベーション・起業」において全国第13位を誇り、その内訳として「研究集積」は全国第12位と好成績を収めている。

 合肥市は、今後、要注目していくべき都市である。


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済南【中国中心都市&都市圏発展指数2020】

 済南市は、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の総合第18位にランクインした。同市は2019年度より順位が2位上昇した。

 〈中国中心都市&都市圏発展指数〉は、〈中国都市総合発展指標〉の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 済南市は、渤海湾と黄河中下流の南部に位置する山東省の省都・副省級市である。北は京津冀(北京市・天津市・河北省)メガロポリス、南は長江デルタメガロポリスとつながり、渤海経済圏と北京・上海経済軸の交差点として、華東地区の重要な中心都市のひとつである。「中国中心都市&都市圏発展指数2020」での「陸路輸送」は全国第14位である。 

 南は泰山に、北は黄河に面し、南部が高く北部が低い地形である。気候は温暖な大陸性モンスーン気候帯で、四季がはっきりしている。2022年現在、10区と2県を管轄しており、総面積は10,245平方キロメートル(岐阜県と同程度)、2020年現在の常住人口は約920万人である。

 済南市は美しい自然景観を持つ都市で、古くから「泉都」と呼ばれ、多くの泉があることで有名な山紫水明の都市である。市内では700以上の場所から湧水が溢れ出ており、100以上の泉を有し、泉水でできた大明湖やホウ突泉などは多くの観光客を集めている。豊かな自然と歴史資源を持つため、国家歴史文化名城に指定されている。 

 同市の歴史は古く、2600年余り前に城郭がたてられたのが始まりで、漢の初期に済南と名付けられ、以降、山東省の政治、経済、文化の中心地として栄えている。

 済南市は医療資源も豊富に抱えており、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の中項目「医療福祉」は全国第9位を誇り、その内訳として「三甲医院(中国で最高クラスの病院)」は全国第8位、「医者数」は全国第14位と好成績を収めている。

 また、同市は山東省の文化・教育の中心地であり、山東大学、山東師範大学、山東財経大学、済南大学など、著名な高等教育機関を抱えている。市内には計45の大学があり、約60万人の大学生が在籍している。「高等教育輻射力」は全国第14位、「世界トップクラス大学指数」も全国第14位と上位クラスにランクインしている。


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廈門【中国中心都市&都市圏発展指数2020】

 廈門市は、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の総合第17位にランクインした。同市は2019年度より順位を2位落とした。

 〈中国中心都市&都市圏発展指数〉は、〈中国都市総合発展指標〉の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 同市は、福建省の東南端に位置する計画単列市・副省級市であり、中国南東部沿岸の重要な中心都市である。古来より国際的な港湾として名高く、風光明媚な観光都市で「海上花園」とも呼ばれている。同市の総面積は1700平方キロメートル、常住人口は528万人であり、漢民族が中心で、シェ族、回族などの少数民族も居住している。廈門は有名な華僑都市でもあり、香港、マカオ、台湾の華僑が多く居住している。

 同市は、古来、白鷺が生息していたことから「鷺島」と呼ばれたとの伝説がある。明の時代には泉州府に属し、1387年に国府の門を意味する「廈門城」が建設され、「廈門」の名が歴史書に加えられた。

 16世紀は、茶の輸出における一大拠点となり、19世紀半ばに開港し、教会、病院、学校、外国銀行などが建設された。廈門市は中国・西洋文化が多様に融合・発展してきた稀有な都市でもある。

 1980年、中国国務院は廈門経済特区の設立を承認し、中国における改革開放の「窓」あるいは「実験場」となった。以来、同市は急速な発展を遂げ、その勢いは今も続いている。

 中国南東部沿岸の宝石と称され、古来より様々な外部の世界からの来訪者を迎えていた廈門市は、古くからの文化も息づき、独特のエキゾチックな雰囲気が漂っている。また、同市は亜熱帯気候に属し、温暖で雨が多く、年間平均気温が約21℃と快適な環境も有している。そのため、観光都市としてしても名高い。「2020年海外観光客(華僑含む)」は、全国第4位である。

 廈門市は優れた港湾機能を有している。同市の港湾区域は基本的に水深10メートル以上の深水路で、5万トン級の船舶が出入りできるようになっており、歴史的に中国南東沿岸の海外貿易の重要な港となっている。2020年、廈門港のコンテナ取扱量は世界のトップ14、国内ではトップ7にランクインし、中国における主要な国際港になっている。

 現在、同市は中国政府が推進する「一帯一路」における21世紀海上シルクロードの戦略的要衝都市となっている。また、アジアとヨーロッパを結ぶ「中欧班列(ユーラシア横断鉄道)」は同市にも接続している。これにより、「海のシルクロード」と「陸のシルクロード」は同市で出会い、混ざり合っている。


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長沙【中国中心都市&都市圏発展指数2020】

 〈中国中心都市&都市圏発展指数〉は、〈中国都市総合発展指標〉の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 長沙市は、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の総合第16位にランクインした。同市は2019年度より順位が1位上昇した。

 同市は、湖南省の省都であり、長江(揚子江)中流域の重要な中心都市である。人口約1,024万人を抱えるメガシティであり、2021年のGDPは1.33兆元(約25.2兆円、1元=19円換算)を達成している。長沙市は6つの市区、1つの県、2つの県級市を管轄し、総面積は11,819平方キロメートルである(秋田県と同程度の大きさ)。

 2007年、中国政府は同市を「”両型(省エネルギー・環境保護)社会” 建設総合改革モデル地域」に指定し、同市と周辺都市で省エネルギーと環境保護を重視した都市建設を推し進めている。また、同市は中国の重要な穀物生産基地でもあり、長江中流域と「長江経済ベルト」の重要な結節点としての役割を担い、交通・物流の重要なハブとしても機能している。

 同市は豊かな自然資源に囲まれ、古来より人々が行き交う都市として発展を遂げてきた。都市の歴史は3000年以上を有し、楚漢文明と湖湘文化の発祥の地でもあり、市内には多くの歴史的遺産が残されている。同市は中国国内で最初に指定された「中国歴史文化名城(歴史文化都市)」という称号も有している。

 同市は、古くから教育が盛んで、近代中国の礎を築いた多くの革命家を輩出した都市としても有名である。清朝末期、旧民主革命の発祥地の一つであり、太平天国鎮圧の立役者で洋務運動初期の推進者・曽国藩、辛亥革命の中心的人物である黄興、共産党のトップであった毛沢東や劉少奇らも同市で学んだ。

 長沙市は商業都市としても名を轟かせており、経済はサービス業を主とし、中でも TV、出版を中心としたメディア産業や娯楽産業が活発である。「中国中心都市&都市圏発展指数2020」において、「文化・スポーツ・娯楽輻射力」は全国第10位、「飲食・ホテル輻射力」は全国第10位、「卸売・小売輻射力」は全国第7位である。


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鄭州【中国中心都市&都市圏発展指数2020】

 〈中国中心都市&都市圏発展指数〉は、〈中国都市総合発展指標〉の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 鄭州市は、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の総合第15位にランクインした。同市は2019年度より順位が1位上昇した。

 河南省の省都・鄭州市は、河南省の中北部、黄河の中流と下流の境界に位置し、中国中部地区の重要な中心都市であり、人口約1,260万人を抱えるメガシティである。

 同市は、古来より交通の要衝であり、航空・鉄道・道路の3つの交通手段からなる交通ネットワークの巨大交通ハブを形成している。2022年現在、同市には2つの空港ターミナル、航空路線162本、鉄道6駅、主要鉄道2路線、高速鉄道路6線、鉄道22本、自動車道11本、BRT37本を有し、〈中国中心都市&都市圏発展指数2020〉における「広域中枢機能」では、「航空輸送」は全国10位、「陸路輸送」は全国7位の地位を誇っている。

 同市は華夏文明の重要な発祥地であり、国家的に有名な歴史文化都市でもある。市内には、世界文化遺産が2項目、15ヶ所存在し、83の国家重点文化遺産保護単位、97の省レベル文化遺産保護単位、208の市レベル文化遺産保護単位、6つの国家レベル無形文化遺産を有している。日本では、「少林寺建築群」が存在する都市、といえばピンとくる方が多いだろう。

 また、同市東部に建設中の150万人都市「鄭東新区」の設計には、日本を代表する建築家、黒川紀章氏の案が採用されている。「鄭東新区」の設計案は2003年に実施された国際設計コンペによって決定されたもので、黒川氏は計画面積1.5万ヘクタールのマスタープラン、およびCBD地区の詳細設計を担当している。生態回廊や水路都市などの人間と自然との共生を基本コンセプトとする計画案は、現在フェイズ1が完成しており、同市の新たな未来が築き上げられている。


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青島【中国中心都市&都市圏発展指数2020】

 〈中国中心都市&都市圏発展指数〉は、〈中国都市総合発展指標〉の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 青島市は、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の総合第14位にランクインした。同市は2019年度の順位を維持した。

 青島市は山東省に属する副省級計画単列市であり、中国の重要な国際港湾都市である。

 青島市は、山東半島の南東、黄海の東に位置し、総面積は11,293平方キロメートル、人口は約1,007万人を抱えるメガシティである。また、国内屈指の歴史文化都市であり、中国道教の発祥地でもある。風光明媚な観光・保養地としても名高く、青島の名は、市内に豊富に存在する常緑樹の景色にちなんで付けられた。

 青島といえば、日本にとって馴染み深いのは「青島ビール」であろう。他にも、家電のハイアール等、中国有数の企業も青島市に拠点を置いている。

 青島市は日本とのビジネス関係が深く、対日輸出額は中国国内2位であり、対日輸入額は中国国内3位である。特に、野菜・水産物等の食品関連の対日輸出が大きなウエイトを占めている。


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武漢【中国中心都市&都市圏発展指数2020】

 〈中国中心都市&都市圏発展指数〉は、〈中国都市総合発展指標〉の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 武漢市は、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の総合第13位に輝いた。同市は2019年度から順位を2位落とした。

 武漢市は湖北省の省都である。中国中部地域の最大都市であり、工業、科学、教育の重要な拠点都市でもある。総面積は約8,569km2で広島県とほぼ同じ面積である。

 武漢市は世界でも水資源が最も豊富な都市のひとつであり、水域面積は全市の面積の4分の1を占めている。武漢市の水域面積は2,217.6km2(琵琶湖の面積の約3.3倍)、水域の面積カバー率は26.1%である。

 武漢市は中国東西軸の長江と、南北軸の陸上大動脈が交差する場所に位置している。故に、交通のハブ機能が発達している。本指標の「空港利便性」項目では全国第25位、航空旅客数は第12位である。「高速鉄道便数」は全国第13位で、「準高速鉄道便数」は第2位であった。

 武漢は新型コロナウイルスの試練に世界で最初に向き合った都市であった。武漢は27カ所の三甲病院(最高等級病院)を持ち、医師約4万人、看護師5.4万人と医療機関病床9.5万床を擁する。〈中国都市総合発展指標2018〉での「経済」の指標「医療輻射力」ランキングで全国第7位の都市である。しかしながら、武漢のこの豊富な医療能力が新型コロナウイルスの打撃により、一瞬で崩壊した。

 よくも悪くも中国の医療リソースは中心都市に高度に集中している。武漢は1千人当たりの医師数は4.9人で全国の水準を大きく上回る。武漢と同様、医療の人的リソースが大都市に偏る傾向はアメリカや日本でも顕著だ。ニューヨーク州の1千人当たりの医師数は4.6人にも達している。東京都は人口1千人当たりの医師数が3.3人で、これは武漢より少なく、ニューヨークと同水準にある。

 しかし、武漢、ニューヨークの豊かな医療リソースをもってしても、新型コロナウイルスのオーバーシュートによる医療崩壊は防ぎきれなかった。2020年5月11日までは、中国の新型コロナウイルス感染死者数累計の83.3%が武漢に集中していた。その多くが医療機関への集中的な駆け込みによる集団感染や医療崩壊による犠牲者だと考えられている。

 2020年4月8日、武漢市では2カ月半にわたった都市封鎖(ロックダウン)が解除され、武漢市民は1月23日以来、ようやく市外へ出られることが可能となった。ゼロコロナ政策によって普段の日常が取り戻され、それは今日まで続いている。


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