西安:一帯一路で甦る古都長安のパワー【中国中心都市&都市圏発展指数2021】第12位

中国中心都市&都市圏発展指数2021
第12位


 西安市は中国中心都市&都市圏発展指数2021の総合第12位に輝いた。同市は前年度より順位を1つ下げた。

 〈中国中心都市&都市圏発展指数は、中国都市総合発展指標の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価している。10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の発展を総合評価するシステムである。

CCCI2017 | CCCI2018 | CCCI2019 | CCCI2020

 

〈中国中心都市&都市圏発展指数〉:【36中心都市】北京、上海、深圳、広州、成都、天津、杭州、重慶、南京、西安、寧波、武漢、青島、鄭州、長沙、廈門、済南、合肥、福州、瀋陽、大連、昆明、長春、ハルビン、貴陽、南昌、石家荘、南寧、太原、海口、ウルムチ、蘭州、フフホト、ラサ、西寧、銀川


■ 西北地域の最大都市


 西安は陝西省の省都で、中国西北地域の政治・経済・文化の中心地である。古くは長安や鎬京と呼ばれ、関中平原メガロポリスの中心都市となっている。2021年末現在、西安市は11区と2郡を管轄し、東西は204キロメートル、南北は116キロメートルにわたり、面積は10,752平方キロメートル(岐阜県と同程度)で中国第170位である。

 西安は紀元前11世紀からから約2,000年の間、秦、漢、隋、唐など13の王朝の都として栄えてきた。1981年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)が選定した世界十大古都の一つに数えられている。西安は中華文明の重要な発祥地であり、シルクロードの起点でもある。

■ 豊かな自然資源の恵み


 西安は中国の北西部、関中平野の中央に位置し、北は渭河、南は秦嶺山脈に囲まれ、地理的な境界が明確な都市である。8つの河川が潤すことから、古くから「八水繞長安」と評されている。

 市内の海抜変化は大きく、中国で最も高度差が激しい地域である。秦岭山脈の海抜は2,000〜2,800メートルで、中でも最南西部にある太白山の最高峰は海抜3,867メートルあるのに対して、渭河平原の海抜は400〜700メートルとなっている。

 秦岭山脈には、高山の灌木草地、針葉樹林、針広葉混交林、落葉広葉樹林などの自然植生タイプが垂直に分布している。秦岭山脈は野生植物資源の宝庫であり、138科681属2224種の野生植物が存在し、中国の種子植物の重要な遺伝資源庫の一つである。また、野生動物資源も多く生息し、哺乳類55種、鳥類177種が含まれ、その中にはジャイアントパンダ、金絲猴、扭角羚秦岭亜種、スマトラカモシカ、オオサンショウウオ、黒鶴、白冠長尾雉、血雉、金雞などの希少動物も含まれている。自然生態系と珍種動植物資源を保護するため、3つの国家級自然保護区が設けられている。西安の「国家公園・保護区・景観区指数」は中国第21位である。

 西安は暖温帯の半湿潤大陸性季風気候に属し、寒暖、乾湿の差があり、四季がはっきりしている。年平均気温は13℃、年降水量は600-650ミリメートルで、その大部分が夏季に集中している。「気候快適度」は中国第173位、「降雨量」は中国第195位である。

■ 内陸部の一大消費地


 2021年における西安の地域内総生産(GDP)は1兆688億元(約21.4兆円、1元=20円換算)で、中国第24位であった。成長率は、前年比4.1%増、過去2年の平均成長率は4.6%であった。その中で、第一次産業GDPは308億元(約6,160億円)で6.1%増、第二次産業GDPは3,585億元(約7.2兆円)で0.9%増、第三次産業GDPは6,794億元(約13.6兆円)で5.7%増であった。一人当たりGDPは8万3,689元(約167万円)で、中国第91位だった(詳しくは【ランキング】世界で最も経済リカバリーの早い国はどこか? 中国で最も経済成長の早い都市はどこか?を参照)。

 住民消費価格(CPI)は前年比1.7%上昇し、商品小売価格は1.4%上昇した。新築住宅の販売価格は7.5%上昇し、中古住宅の販売価格は6.3%上昇した。

 企業の小売売上動向を示す社会消費品零售総額は4,963億元(約9.9兆円)で、前年比0.8%増であった。その中で、内訳がわかる限度額以上企業の小売売上高は2,420億元(約4.8兆円)で、前年3.8%減少した。

 西安の消費力は西北部地域で群を抜いて高く、「国際トップブランド指数」では深圳、広州などを抑えて中国第5位にランクインしている。

■ 内陸部三大貿易地の一つ


 2021年における西安の輸出入総額は前年比26.5%増の4,400億元(約8.8兆円)で、中国第19位であった。うち輸出総額は前年比33.0%増の2,362億元(約4.7兆円)で、中国第22位。輸入総額は前年比19.8%増の2,038億元(約4兆円)で、中国第18位であった。これは成都、鄭州に続く内陸都市としての好成績である(詳しくは【ランキング】中国で最も輸出力の高い都市はどこか?を参照)。

 外資利用額(実行ベース)は87億ドル(約1.2兆円、1ドル=140円換算)で、前年比13.5%増であった。

■ 一大人口吸収都市


 2021年末の常住人口は約1,316万人で中国第9位であった。人口の流出入を示す「流動人口(非戸籍常住人口)」では、陝西省内10都市のうち9都市は、外へ人口が流出している。これに対して西安は、流動人口が約317万人の大幅プラスであり、周辺から多くの人口を吸い上げている。よって西安は中国第12位の人口流入都市となっている。

■ 西北地域における航空、鉄道の中枢


 西安は中国西北部の重要な交通ハブを担っている。その機能は一帯一路政策によってさらに強化されている。

 中国都市総合発展指標の「空港利便性」項目で西安は中国第9位、航空旅客数も第9位である(詳しくは【ランキング】中国で最も空港利便性が高い都市はどこか?を参照)。

 「鉄道利便性」は中国第18位、「高速鉄道便数」も第18位で、「準高速鉄道便数」は第4位であった。


中国都市総合発展指標2021
第12位


 西安は〈中国都市総合発展指標2021〉総合ランキング第12位であり、前年度の第13位から、順位が1つ上がった。

 西北地域の中心都市として「社会」大項目は第8位で、前年度に比べ順位が2つ上がった。3つの中項目で「伝承・交流」は第5位でトップ10入りし、「ステータス・ガバナンス」は第11位、「生活品質」は第15位だった。小項目で見ると、「歴史遺産」は第2位、「社会マネジメント」は第6位、「人的交流」は第7位、「文化娯楽」は第10位と、9つの小項目のうち7項目がトップ10に入った。なお、「都市地位」「居住環境」は共に第11位、「人口資質」は第12位、「生活サービス」は第18位、「消費水準」は第22位であった。西安市内に最高等級病院「三甲病院」は26カ所で、その規模は中国第9位である。医療従事者は12.3万人で、そのうち医師は4.3万人と中国第12位の規模を持つ。

 「経済」大項目は第14位であり、前年度に比べ順位が1つ上がった。3つの中項目で「発展活力」は第11位、「都市影響」は第16位、「経済品質」は第20位で、3項目のうちトップ10入りした項目はなかった。小項目では、「広域輻射力」は第9位と、9つの小項目のうち1項目がトップ10に入った。なお、「ビジネス環境」「イノベーション・起業」は第12位、「開放度」は第14位、「経済規模」は第15位、「広域中枢機能」は第16位、「経済構造」は第20位、「都市圏」は第24位、「経済効率」は第88位であった。

 「環境」大項目は第76位で、3つの中項目のうち「空間構造」は第15位、「環境品質」は第151位、「自然生態」は第212位であった。9つの小項目のうち、トップ10入りした項目はなかったものの、「コンパクトシティ」は第16位、「環境努力」は第17位、「交通ネットワーク」は第18位、「都市インフラ」は第19位と、4項目がトップ20に入った。

 なお「資源効率」は第93位、「自然災害」は第160位、「気候条件」は第176位、「水土賦存」は第187位、「汚染負荷」は第241位であった。2021年のPM2.5年間平均濃度は41マイクログラム/標準立方メートルで、前年比19.6%減少しているものの、全国順位は第260位と芳しくない。二酸化炭素の排出量も多く、その規模はワースト27位と落ち込んでいる。西安市政府はその現状を打破するため、環境改善に向けた努力に多くのリソースを注いでおり、「環境努力指数」は第9位と善戦している。


 〈中国中心都市総合発展指標2021〉について詳しくは、メガシティの時代:中国都市総合発展指標2021ランキングを参照。

CICI2016:第13位  |  CICI2017:第14位  |  CICI2018:第14位
CICI2019:第13位  |  CICI2020:第13位  |  CICI2021:第12位


■ 中国トップクラスの観光都市


 西安は中国屈指の観光地である。市内には現在、秦始皇陵、兵馬俑、大雁塔、小雁塔、唐長安城の大明宮遺跡、漢長安城の未央宮遺跡、興教寺塔などの世界遺産があり、その他にも西安城壁、鐘楼・鼓楼、華清池、終南山、大唐芙蓉園、陝西歴史博物館、碑林などの著名な観光地を有している。その結果、中国都市総合発展指標の「世界遺産」において、西安は中国第5位、「無形文化財」は第6位、「重要文化財」は第10位と高順位を誇る。

 こうした文化遺産に魅了された観光客が毎年大勢国内外から同市を訪れている。中国都市総合発展指標の「国内観光客」で、西安は第11位、「国内観光収入」は第16位となっている。

■ 文化・娯楽都市としての輝き


 内外の観光客を惹きつけているのは、文化遺産だけではない。西安は文化・娯楽も盛んな都市である。中国都市総合発展指標の「文化・スポーツ・娯楽輻射力」で中国第6位となっている。

 文化面では、市内には博物館(民間のものを除く)が136館あり、「博物館・美術館指数」は中国第8位、「動物園・植物園・水族館」は中国第10位である。公立図書館は14カ所あり、毎年合計217.5万人が利用し、その蔵書量は中国第2位を誇る。コンベンション産業の発展度合いを示す「展覧業発展指数」は中国第14位であった。

 娯楽面では、「映画館・劇場消費指数」が中国第11位である。スポーツ面では、「スタジアム指数」は第100位に甘んじているものの、西安からはオリンピック金メダリストが4名排出され、「オリンピック金メダリスト指数」は中国第20位となった。

■ 名門大学が数多く立地


 新中国成立以来、西北の中心地である西安に、多くの大学が置かれた。西安交通大学、北西理工大学、西安電子科技大学など7つのトップクラスの大学が立地している。

 中国都市総合発展指標の「高等教育輻射力」で西安は中国第6位を誇り、高等教育機関(大学・専門学校)は63校で、学生は78.4万人で中国第7位。

 大学が数多くあることで、西安は人材輩出の豊富さを示す「傑出人物排出指数」で中国第9位に輝いている。また、国家を代表する研究者の排出数を示す「中国科学院・中国工程院院士指数」は第4位と、中国トップクラスの順位である。他方、住民の教育水準を示す「人口教育構造指数」も第7位である。


寧波:港湾機能をベースとした製造業スーパーシティ【中国中心都市&都市圏発展指数2021】第13位

中国中心都市&都市圏発展指数2021
第13位


 寧波市は中国中心都市&都市圏発展指数2021の総合第13位だった。同市は前年度より順位を1つ下げた。

 〈中国中心都市&都市圏発展指数は、中国都市総合発展指標の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価している。10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の発展を総合評価するシステムである。

CCCI2017 | CCCI2018 | CCCI2019 | CCCI2020

〈中国中心都市&都市圏発展指数〉:【36中心都市】北京、上海、深圳、広州、成都、天津、杭州、重慶、南京、西安、寧波、武漢、青島、鄭州、長沙、廈門、済南、合肥、福州、瀋陽、大連、昆明、長春、ハルビン、貴陽、南昌、石家荘、南寧、太原、海口、ウルムチ、蘭州、フフホト、ラサ、西寧、銀川


■ 古くからの一大貿易拠点都市


 寧波は、浙江省の東部に位置する計画単列市であり、中国東部沿岸の重要な港湾都市である。2021年までに、寧波は6つの区、2つの県級市、2つの県を管轄し、総面積は9,816平方キロメートル(青森県と同程度)である。寧波は雨量が多く、亜熱帯モンスーン気候に属し、温暖湿潤で、四季がはっきりしている。

 地理的に、東は舟山群島が点在し、西は紹興市、南は台州市と隣接している。海岸線が長く、その総延長は1,594キロメートルにも達し、大小614の島を有している。

 寧波は7000年前の稲作文化として名高い「河姆渡新石器遺跡」を有し、また秦の時代、徐福の大船団が寧波から出発した伝説がある。唐の時代、寧波はすでに揚州や広州と並ぶ中国三大貿易港の一つとなっていた。

 1127年に南宋が杭州に都を置いた後は、寧波の地理的な重要性が更に高まり、杭州の対外貿易のほとんどを担うようになった。この時代に寧波は、広州、泉州と並ぶ対外貿易の三大港の一つに数えられていた。

 しかし、明朝初頭に、倭寇や海賊対策のため、寧波は重要な海防基地となった。政府から遠洋舶の製造が禁止され、沿海部の貿易が厳しく制限されて寧波の経済発展が後退した。

 1545年に、ポルトガルが寧波で貿易活動を展開しはじめ、最初は密貿易であったが、1567年以後、公的な貿易も行うようになった。その後、オランダやイギリスからも商人が相次ぎやってきて、寧波は再び一大貿易拠点都市となった。

■ 群を抜く港湾能力


 現在、寧波は港湾機能中枢都市の地位をより高め、2021年に寧波―舟山港の年間貨物取扱量は世界で第1位、コンテナ取扱量は世界第3位を誇っている(詳しくは、「【ランキング】世界で最も港湾コンテナ取扱量が多い都市はどこか?」を参照)。

 寧波―舟山港は中国の一大鉄鉱石中継基地、原油・石炭輸送基地、穀物輸送基地である。寧波は240以上の国際航路で、100以上の国・地域とつながっている。

■ 民営経済の活力をベースに


 改革開放以降、寧波経済は活力に満ちている。その原動力は民営経済である。寧波は、中国商人発祥の地とも呼ばれ、上海人の1/4は寧波出身者と言われている。また、寧波は華僑の故郷としても有名で、30万人以上の寧波人が世界50以上の国と地域に居住している。海外の寧波人は、寧波市と世界を結ぶ重要な架け橋となっている。

 2021年末までに、寧波には香港、上海、深圳の三大メインボードに上場する企業が84社立地し、中国で第9位の規模を誇っている。現在、寧波GDPの80%以上が民営経済によって生み出されている。

 2021年、寧波の地域内総生産(GDP)は1兆4,595億元(約29.2兆円、1元=20円換算)で、中国第12位であった。成長率は、前年比8.2 %であった。一人当たりGDPは15万3,922元(約308万円)で、中国第12位だった(詳しくは「【ランキング】世界で最も経済リカバリーの早い国はどこか? 中国で最も経済成長の早い都市はどこか?」を参照)。

■ 人口吸収でメガシティが目前に


 経済成長が人口を吸引し、2021年末の常住人口は約954万人で中国では第22位の人口規模であった。寧波は、流入人口が杭州とほぼ同等で約327万人であり、全国から多くの人口を吸い上げている。よって寧波は中国第11位の人口流入都市となっている。寧波は人口1000万人を超えるメガシティになるのも時間の問題だ。

人口吸収都市

2021年末の常住人口は約954万人で中国第22位であった。人口の流出入を示す「流動人口(非戸籍常住人口)」では、浙江省内11都市のうち9都市は、外部から人口が流入している。寧波は、流動人口が杭州と同等の約327万人の大幅プラスであり、周辺から多くの人口を吸い上げている。よって寧波は中国第11位の人口流入都市となっている。


中国都市総合発展指標2021
第14位


 寧波は〈中国都市総合発展指標2021〉総合ランキング第14位であり、前年度の順位を維持した。

 「経済」大項目は第12位で、前年度の順位を維持した。3つの中項目で「経済品質」は第11位、「発展活力」および「都市影響」は第12位で、3中項目のうちトップ10入りした項目はなかった。小項目では、「広域中枢機能」は第8位、「開放度」は第9位、「経済構造」は第10位と、9つの小項目のうち3項目がトップ10に入った。なお、「経済規模」は第12位、「ビジネス環境」は第13位、「経済効率」は第15位、「イノベーション・起業」は第16位、「都市圏」「広域輻射力」は第19位であった。

 「社会」大項目は第18位で、前年度に比べ順位が1つ下がった。3つの中項目で「生活品質」は第16位、「ステータス・ガバナンス」は第20位、「伝承・交流」は第26位だった。小項目で見ると、9つの小項目のうち、トップ10入りした項目はなかったものの、「居住環境」は第12位、「社会マネジメント」は第13位、「文化娯楽」「消費水準」は第17位と、5項目がトップ20に入った。なお、「生活サービス」は第25位、「人口資質」は第31位、「都市地位」は第32位、「歴史遺産」は第33位、「人的交流」は第34位であった。

 「環境」大項目は第29位で、前年度より順位を4つ上げた。3つの中項目のうち「空間構造」は第28位、「環境品質」は第38位、「自然生態」は第83位であった。9つの小項目のうち、トップ10入りした項目はなかったものの、「環境努力」は第14位、「都市インフラ」は第20位と、2項目がトップ20に入った。なお、「コンパクトシティ」は第26位、「交通ネットワーク」は第38位、「汚染負荷」は第40位、「気候条件」は第71位、「資源効率」は第77位、「自然災害」は第93位、「水土賦存」は第205位であった。


 〈中国中心都市総合発展指標2021〉について詳しくは、メガシティの時代:中国都市総合発展指標2021ランキングを参照。

CICI2016:第12位  |  CICI2017:第13位  |  CICI2018:第13位
CICI2019:第14位  |  CICI2020:第14位  |  CICI2021:第14位


■ 製造業スーパーシティとしての発展


 寧波は、港湾と民間活力をベースに現在、一大製造業スーパーシティに成長した。〈中国都市総合発展指標〉の「中国都市製造業輻射力2020」では寧波は中国で第5位。2021年、同市の工業付加価値は6,298億元(約12.6兆円)を達成し、前年比で11.0%の増加となった。輸出総額も前年比19%増の7,624億元(約15.2兆円)で、中国第5位(詳しくは「【ランキング】中国で最も輸出力の高い都市はどこか?」を参照)。

 製造業の成長に伴い、科学技術への投資も大きく拡大している。〈中国都市総合発展指標〉の「中国都市科学技術輻射力2021」で寧波は中国第9位であり、トップ10にランクインした。「R&D人員」は中国第9位、「特許取得数指数」は中国第16位、「国際特許取得総数」は中国第14位と、科学技術力を測る多くの指標が高い成績を収めている。その結果、市内にユニコーン企業が3社立地し、その企業価値は760億ドル(約10.6兆円)に達している。


青島:中国北方で第3位の経済規模を誇る国際交易拠点【中国中心都市&都市圏発展指数2021】第14位

中国中心都市&都市圏発展指数2021
第14位


 青島市は中国中心都市&都市圏発展指数2021の総合第14位だった。同市は前年度の順位を維持した。

 〈中国中心都市&都市圏発展指数は、中国都市総合発展指標の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価している。10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の発展を総合評価するシステムである。

CCCI2017 | CCCI2018 | CCCI2019 | CCCI2020

 

〈中国中心都市&都市圏発展指数〉:【36中心都市】北京、上海、深圳、広州、成都、天津、杭州、重慶、南京、西安、寧波、武漢、青島、鄭州、長沙、廈門、済南、合肥、福州、瀋陽、大連、昆明、長春、ハルビン、貴陽、南昌、石家荘、南寧、太原、海口、ウルムチ、蘭州、フフホト、ラサ、西寧、銀川


■ 山東半島の国際港湾都市


 青島は、山東省に属する計画単列市で、中国の主要な港湾の一つであり、国際的な海運業の中心地である。

 同市は、山東半島の南東、黄海の東に位置し、総面積は11,293平方キロメートル(秋田県と同等)で中国第163位、7つの区と3つの県級市を管轄している。

 青島は、海岸沿いの丘陵都市であり、全長816.98キロメートルに及ぶ海岸線は優美な曲線を描き、大小さまざまな島が点在している。市の地形は東部が低く、西部が高い傾向にある。南北の両端は盛り上がっており、中央部は凹んでいる。全体として、山地が総面積の15.5%を占め、丘陵が2.1%、平野が37.7%、低地が21.7%を占める。

■ 避暑地として人気の青島


 青島は温帯夏雨気候に属し、海洋の影響を強く受け、四季がはっきりと分かれている。夏季は湿度が高く降雨が多いが、厳しい暑さはない。そのため、避暑地としても人気がある。春と秋は短く、冬季は風が強く寒さは厳しいが、降雪は年10日程度と少ない。冬季の影響により、「気候快適度」は中国第185位となっている。「降雨量」は中国第190位である。

 風光明媚な景観により、観光・保養地としても名高い。「青島」の名は、市内に豊富に存在する常緑樹の景色にちなんで付けられた。

■ 租界の歴史


 青島は、屈指の歴史文化都市であり、道教の発祥地とされている。

 青島の膠州湾は唐宋時代以降、北方の重要な港となった。青島が最初に租借地となったのは1897年であり、当時、ドイツが青島とその周辺地域を占領した。翌1898年、ドイツと清朝との間で「膠澳租界条約」が締結され、青島はドイツの租借地となり、これが青島租界の始まりとなった。

 ドイツは青島を東洋における重要な軍事基地かつ商業中心地と位置づけ、都市開発を積極的に行った。また、ドイツの文化や技術が導入され、それが現在の青島の建築様式や世界的に知られる「青島ビール」などに影響を与えている。ドイツ占領時代の建物の多くは今も保存され、青島の風景の一部を形成している。その街並みの優美さから当時は「東洋のベルリン」と称されていた。

 第一次世界大戦勃発後、1914年に日本がドイツに宣戦布告し、青島は日本によって占領された。第二次世界大戦後、青島は1945年に中国に返還された。新中国成立後、青島は中国の重要な工業都市と港湾都市として発展し、今日の姿に至っている。

■ 中国北方の製造業スーパーシティ


 青島は中国北方の重要な経済中心地の一つである。2021年青島の地域内総生産(GDP)は1兆4,137億元(約28.3兆円、1元=20円換算)に達し、中国第13位であった。中国北方では北京、天津に次ぐ第3位の経済規模を誇る。一人当たりGDPは13万7,827元(約276万円)で、中国第91位だった(詳しくは【ランキング】世界で最も経済リカバリーの早い国はどこか? 中国で最も経済成長の早い都市はどこか?を参照)。

 青島は製造業基地として存在感が大きく、「製造業輻射力」は中国第13位である。山東省内第2位の煙台は中国第24位に留まっているため、省内で圧倒的な順位を誇っている。特に家電産業では、ハイアール等、中国有数の企業が青島市に拠点を置いている(詳しくは【ランキング】中国で最も輸出力の高い都市はどこか?を参照)。

■ 渤海湾の巨大貿易地


 青島は港湾都市としての存在が大きい。世界130カ国以上の地域と450以上の港との間で貿易が行われており、コンテナ取扱量は世界第5位に名を連ねている。「コンテナ港利便性」も中国第5位である(詳しくは【ランキング】世界で最も港湾コンテナ取扱量が多い都市はどこか?)を参照)。

 2021年における青島の輸出入総額は前年比32.4%増の8,498億元(約17兆円)で、中国第9位であった。うち輸出総額は前年比27.0%増の4,921億元(約9.8兆円)で、中国第11位。輸入総額は前年比40.7%増の3,577億元(約7.2兆円)で、中国第10位であった。輸出入ともに、青島は山東省内トップの規模を誇る。

 また、青島は日本とのビジネス関係が深く、対日輸出額は中国第2位であり、対日輸入額は中国第3位である。特に、野菜・水産物等の食品関連の対日輸出が大きなウエイトを占めている。

■ 国際的な総合交通ハブ


 青島は港湾だけでなく、空港、高速鉄道、高速道路を軸とした総合交通運送システムの構築も進めている。

 2021年8月12日には、39年間青島市民を支えてきた青島流亭空港が閉鎖され、山東省初の4F級空港である青島膠東国際空港が開業した。〈中国都市総合発展指標〉の「空港利便性」項目で青島は中国第17位、航空旅客数も同第15位である。いずれも山東省内では第1位である(詳しくは【ランキング】中国で最も空港利便性が高い都市はどこか?を参照)。

 鉄道では、〈中国都市総合発展指標〉の「鉄道利便性」は中国第23位、「高速鉄道便数」も第23位で、「準高速鉄道便数」は第30位であった。これらいずれの指標も山東省内第1位である。

■ 山東省の最大人口吸収都市


 2021年末の常住人口は約1,026万人で中国第13位、山東省内では第1位であった。人口の流出入を示す「流動人口(非戸籍常住人口)」では、山東省内16都市のうち9都市は、外へ人口が流出している。これに対して青島は、流動人口が約170万人の大幅プラスであり、周辺から多くの人口を吸い上げている。よって青島は中国第26位、省内第1位の人口流入都市となっている。


中国都市総合発展指標2021
第16位


 青島は〈中国都市総合発展指標2021〉総合ランキング第16位であり、前年度の第17位から、順位が1つ上がった。

 「経済」大項目は第13位で、前年度より順位が1つ上がった。3つの中項目で「都市影響」は第13位、「経済品質」は第14位、「発展活力」は第15位で、この3項目のうちトップ10入りした項目はなかった。小項目では、「広域中枢機能」は第7位と、9つの小項目のうち1項目がトップ10に入った。なお、「経済規模」は第14位、「経済構造」「イノベーション・起業」は第15位、「ビジネス環境」「広域輻射力」は第16位、「開放度」は第17位、「都市圏」は第27位、「経済効率」は第33位であった。

 「社会」大項目は第17位で、前年度に比べ順位が2つ上がった。3つの中項目のうち「伝承・交流」は第18位、「ステータス・ガバナンス」「生活品質」は第19位だった。小項目で見ると、「社会マネジメント」は第9位と、9つの小項目のうち1項目がトップ10に入った。なお、「人的交流」は第15位、「文化娯楽」「生活サービス」は第16位、「消費水準」は第21位、「居住環境」は第24位、「人口資質」は第25位、「都市地位」は第35位、「歴史遺産」は第115位であった。

 「環境」大項目は第77位で、3つの中項目のうち「空間構造」は第33位、「環境品質」は第132位、「自然生態」は第144位であった。9つの小項目のうち、「都市インフラ」は第10位と、1項目がトップ10に入った。なお、「自然災害」は第12位、「環境努力」は第16位、「交通ネットワーク」は第31位、「コンパクトシティ」は第43位、「水土賦存」は第134位、「資源効率」は第153位、「汚染負荷」は第161位、「気候条件」は第177位であった。


 〈中国中心都市総合発展指標2021〉について詳しくは、メガシティの時代:中国都市総合発展指標2021ランキングを参照。

 

CICI2016:第14位  |  CICI2017:第17位  |  CICI2018:第16位
CICI2019:第18位  |  CICI2020:第17位  |  CICI2021:第16位


■ 一大観光都市


 青島はその美しい海岸線と歴史的な建築物で知られ、多くの観光客を引きつけている。主な観光地には、青島海洋世界、青島動物園、青島科学技術博物館、青島ビール博物館、八大峡公園などがある。特に海外からの観光客が多く、〈中国都市総合発展指標〉の「海外観光客」で、青島は第10位と、第15位の済南を上回り、山東省内で最も高い順位である。

■ ヨットと映画ロケの聖地


 青島は豊かな文化遺産と活気あるエンタメを持つ都市である。〈中国都市総合発展指標〉の「文化・スポーツ・娯楽輻射力」は中国第18位である。市内には、青島大劇院、青島市図書館、青島市美術館など、多くの文化施設を有する。「博物館・美術館」は中国第16位、「動物園・植物園・水族館」は中国第19位、「公共図書館蔵書数」は中国第32位である。

 また、青島は映画の都としても知られ、映画ロケ地を多く持ち、映画祭や音楽祭も多数開催されている。その影響もあり、青島の〈中国都市総合発展指標〉における「映画館・劇場消費指数」は中国第20位であり、山東省内で最も順位が高い(詳しくは【ランキング】世界で最も稼ぐ映画大国はどこか?を参照)。

 スポーツにおいても、青島は多くのスポーツイベントを開催している。青島は2008年の北京オリンピックのヨット競技の会場となり、その後も多くの国際的なヨット大会が開催されており、いまや中国におけるヨットの聖地となっている。また、青島はプロサッカーチーム、青島中能の本拠地でもある。〈中国都市総合発展指標〉の「スタジアム指数」は中国第8位と、トップの規模を誇る。

■ 科学技術・本社機能・高等教育


 青島は近年では科学技術の発展にも注力している。〈中国都市総合発展指標〉の「科学技術輻射力」で同市は中国第18位と、省内トップの実力を有する。「特許取得数指数」は中国第10位と全国トップ10に入る成績を誇り、「R&D要員」は第18位、「R&D支出指数」は第19位に躍進している(詳しくは【ランキング】科学技術大国中国の研究開発拠点都市はどこか?)。ただし、「中国都市IT輻射力」は第34位と、第14位の済南に水をあけられており、今後の発展が望まれている(詳しくは【ランキング】中国IT産業スーパーシティはどこか?を参照)。

 同市は屈指の交流交易機能を活かし、本社機能の立地も進んでいる。「メインボード上場企業」は中国第18位と済南の第27位を上回る。ユニコーン企業は4社立地している。

 また、青島には多くの有名な大学と研究所が立地している。青島科技大学、中国海洋大学、青島大学など、多くの学生がこれらの教育機関で学んでいる。

 〈中国都市総合発展指標〉の「高等教育輻射力」で青島は中国第17位と山東省内トップクラスの成績を誇る。


長沙:エンタメ・グルメのニューメガシティ【中国中心都市&都市圏発展指数2021】第15位

中国中心都市&都市圏発展指数2021
第15位


 青島市は中国中心都市&都市圏発展指数2021の総合第15位だった。同市は前年度より順位を1つ上げた。

 〈中国中心都市&都市圏発展指数は、中国都市総合発展指標の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価している。10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の発展を総合評価するシステムである。

CCCI2017 | CCCI2018 | CCCI2019 | CCCI2020

〈中国中心都市&都市圏発展指数〉:【36中心都市】北京、上海、深圳、広州、成都、天津、杭州、重慶、南京、西安、寧波、武漢、青島、鄭州、長沙、廈門、済南、合肥、福州、瀋陽、大連、昆明、長春、ハルビン、貴陽、南昌、石家荘、南寧、太原、海口、ウルムチ、蘭州、フフホト、ラサ、西寧、銀川


「星城」長沙


 長沙市は湖南省の省都であり、「星城」と称される。同市は東に江西省の宜春、萍郷、西に娄底、益陽、南に株洲、湘潭、北に岳陽と隣接し、長江中流域の重要な地域中心都市である。また、米どころ・魚どころである。北京を始めとする中国の都市は長い歴史の中で、さまざまな理由により都市の中心地が変動してきた。そうした中、長沙は、三千年にわたって都市の位置が変わらない「楚漢名城」である。

 長沙の総面積は11,819平方キロメートルにおよび、15のニューヨーク、11の香港、6つの深圳に相当する広さである。中国国内では第157位の規模であり、日本では秋田県と同等の大きさである。

 2022年末の常住人口は1,042万人で、ニューヨークを上回り、スウェーデンの全人口を超えるメガシティである。中国国内では第16位の人口規模である。

 同年のGDPは1.4兆元(約20.8兆円、1元=20円換算)に達し、中国第15位の経済規模がある。これはスリランカのGDPに匹敵する規模である(詳しくは「【ランキング】世界で最も経済リカバリーの早い国はどこか? 中国で最も経済成長の早い都市はどこか?を参照)。

歴史の深さ、継続する文脈、名人の輩出


 長沙は、その長い歴史と豊かな文化資源で知られる。特に、「岳麓書院」は、宋、元、明、清の四つの王朝を経て、現在の湖南大学につながり、世界で最も古い高等教育機関の一つとして人材を輩出し続けている。毛沢東を始め曽国藩、左宗棠ら中国の近代史を形作った偉人が岳麓書院から大勢出ている。まさに岳麓書院正門に掲げられた「惟楚有才,于斯為盛(楚に人材あり、ここに集まる)」という対聯の通りである。

 現在、長沙には23の大学と37の専門学校から成る60の高等教育機関がある。湖南大学、中南大学、国防科学技術大学、湖南師範大学の4校は、国家重点大学「211大学」に含まれ、うち3校は「985大学」に名を連ねる名門校である。

 現在、同市の高等教育能力の高さを示す「高等教育輻射力」は中国第7位である。

 歴史上、長沙生まれ或いは長沙で活躍した傑出人物は数多い。前漢の思想家・文学家である賈誼、唐代の書家・文学家の欧陽詢。近代では画家・齊白石、辛亥革命先駆者の黄興、蔡鍔、文学者の周立波、周楊ら多くの著名人を生んでいる。

 同市は現在なお「傑出文化人指数」で中国第13位、「傑出人材輩出指数」で中国第22位と、好成績を誇っている。

人 材に活躍の場を与える長沙は、外からも人々を吸引し成長している。人口の流出入を示す「流動人口(非戸籍常住人口)」では、湖南省内13都市のうち12都市は、外へ人口が流出し、その規模は約845万人である。これに対して長沙は、流動人口が約264万人の大幅プラスである。よって長沙は中国第14位の人口流入都市となっている。

 住宅価格を低く抑える政策も独特である。中国の省都の中でも長沙の住宅価格は最も低い水準にある。これも、長沙の人口吸入力になっている。長沙は現在、「幸福感都市認定指数」で、杭州、成都と並び、中国第1位の都市である。


中国都市総合発展指標2021
第15位


 長沙は〈中国都市総合発展指標2021〉総合ランキング第15位であり、前年度の順位を維持した。

 「社会」大項目は第13位で、前年度に比べ順位が1つ下がった。3つの中項目で「生活品質」は第12位、「ステータス・ガバナンス」は第13位、「伝承・交流」は第17位だった。小項目で見ると、「居住環境」は第9位とトップ10に入った。また、「消費水準」は第12位、「生活サービス」は第13位、「文化娯楽」は第14位、「人口資質」は第15位、「人的交流」は第18位、「都市地位」は第19位と、6項目がトップ20に入った。なお、「社会マネジメント」は第26位、「歴史遺産」は第97位であった。

 「経済」大項目は第16位で、前年度に比べ順位が1つ上がった。3つの中項目で「経済品質」は第15位、「発展活力」は第17位、「都市影響」は第18位で、3中項目のうちトップ10入りした項目はなかった。9つの小項目のうち、トップ10入りした項目はなかったものの、「イノベーション・起業」は第13位、「ビジネス環境」「広域輻射力」は第14位、「経済構造」「広域中枢機能」は第17位、「経済規模」は第18位、「開放度」は第20位、と、7項目がトップ20に入った。なお、「経済効率」は第21位、「都市圏」は第25位と2項目もトップ30内に入り、同市の経済力は各指標ともにバランス良かった。

 「環境」大項目は第25位で、前年度より順位を5つ上げた。3つの中項目のうち「空間構造」は第25位、「環境品質」は第26位、「自然生態」は第105位であった。9つの小項目のうち、「資源効率」は第5位と、トップ10入りした。また、「環境努力」は第11位、「都市インフラ」は第15位と、2項目がトップ20に入った。なお、「交通ネットワーク」は第23位、「コンパクトシティ」は第30位、「自然災害」は第35位、「気候条件」は第97位、「水土賦存」は第184位、「汚染負荷」は第193位であった。


 〈中国中心都市総合発展指標2021〉について詳しくは、メガシティの時代:中国都市総合発展指標2021ランキングを参照。

CICI2016:第18位  |  CICI2017:第15位  |  CICI2018:第15位
CICI2019:第15位  |  CICI2020:第15位  |  CICI2021:第15位


バラエティのリーダー・湖南衛星テレビ


 「湖南衛星テレビ」は、もともと「湖南テレビ局」という名称であったが、1997年に衛星放送を開始して以来、「湖南衛星テレビ」として知られるようになった。マンゴーを模したロゴから「マンゴーチャンネル」という愛称で親しまれ、現在では湖南文化や長沙を象徴する存在となっている。

 このテレビ局は、常に新しい分野を切り開き、全国の他のテレビ局の一歩先を進んでいる。番組の視聴率は、省レベルの衛星テレビ局の中で常にトップを走っている。20年以上にわたって人気を博している「快楽大本営」や、オーディション番組の「スーパーガール」など、多数のヒットバラエティ番組やエンターテイメント作品が生まれた。これらの番組は、SNSで話題となり、特に「スーパーガール」や「快楽男声」は、20年前から中国の若い消費層にトップレベルのエンターテイメントを提供している。

 湖南衛星テレビは、人気バラエティ番組を多数製作するだけでなく、優れた司会者、俳優、歌手を輩出している。何炅、汪涵、謝娜、李宇春など人気タレントが名を連ねている。

 エンタメ都市として名高い長沙は、「文化・スポーツ・娯楽輻射力」で中国第12位であり、「映画館・劇場消費指数」は中国第11位である(詳しくは『【ランキング】世界で最も稼ぐ映画大国はどこか?』を参照)。

■ グルメとインフルエンサーの都市


 長沙は現在、「インフルエンサー都市」と呼ばれる。長沙は優れた自然環境と、長い歴史と文化を背負った美食の都市でもある。湖南衛星テレビの積極的な宣伝が功を奏し、湖南料理が、全国的に根を張り巡らせた。SNSの時代となり、大勢のインフルエンサーが長沙の食の魅力を広げている。

 長沙には、小龍蝦(ザリガニ)、臭豆腐、米粉(ビーフン)といった、独特で多様なグルメが存在する。中国一辛いと言われる「湖南料理」が、多くの観光客を魅了している。ミルクティー業界のスタバとも言われる「茶顔悦色」が2013年に設立され、長沙の新しいグルメの象徴的な存在となった。

 長沙は眠らないエンタメ都市としても有名であり、ナイトエコノミーが、多くの観光客を引き寄せている。

 交通の便も観光都市長沙へのアクセスを容易にしている。「鉄道利便性」が中国第7位、「空港利便性」が中国第15位と、交通の便が高いことも魅力のひとつとなっている(詳しくは【ランキング】中国で最も空港利便性が高い都市はどこか?を参照)。

 観光都市・長沙の「卸売・小売輻射力」は中国第13位、「ホテル・レストラン輻射力」は中国第18位である。

■ 強い機械産業を持つ


 長沙はソフトパワーだけでなく、製造業も優れている。長沙には、三一重工、中聯重科、鉄建重工、山河智能といった世界トップクラスの機械製造企業を擁している。長沙の「製造業輻射力」は中国第36位である(詳しくは「【ランキング】中国で最も輸出力の高い都市はどこか?を参照)。

 併せて、研究開発も活発であり、「科学技術輻射力」は、中国第15位である。国家を代表する研究者の排出数を示す「中国科学院・中国工程院院士指数」は第15位と、ここでも人材の豊富さを窺わせる(詳しくは『【ランキング】科学技術大国中国の研究開発拠点都市はどこか?』)。


鄭州:iPhone生産とEV産業クラスターとしての中原メガシティ【中国中心都市&都市圏発展指数2021】第16位

中国中心都市&都市圏発展指数2021
第16位


 青島市は中国中心都市&都市圏発展指数2021の総合第16位だった。同市は前年度より順位を1つ下げた。

 〈中国中心都市&都市圏発展指数は、中国都市総合発展指標の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価している。10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の発展を総合評価するシステムである。

CCCI2017 | CCCI2018 | CCCI2019 | CCCI2020

 

〈中国中心都市&都市圏発展指数〉:【36中心都市】北京、上海、深圳、広州、成都、天津、杭州、重慶、南京、西安、寧波、武漢、青島、鄭州、長沙、廈門、済南、合肥、福州、瀋陽、大連、昆明、長春、ハルビン、貴陽、南昌、石家荘、南寧、太原、海口、ウルムチ、蘭州、フフホト、ラサ、西寧、銀川


中原の中核都市


 鄭州は河南省の省都であり、中原メガロポリスの中核都市である(中原メガロポリスについて詳しくは中心都市がメガロポリスの発展を牽引:中国都市総合発展指標2022を参照)。鄭州は河南省の中北部に位置し、北に黄河、西に嵩山がある。東は開封、南は許昌と平頂山、西は洛陽、北は新郷と焦作の各市と接している。市の総面積は7,567平方キロメートル(熊本県と同程度)で、中国人口規模第11位の都市として約1,283万人を抱える。現在、6区5市1県を管轄し、国家級新区1つ、国家級開発区2つ、国家級輸出加工区1つを有している。

 同市は温帯大陸性季節風気候に属し、四季がはっきりしている。年間平均気温は約15.4℃、年間降水量は約630mmである​​​​。市内には大小124の河川があり、多様な自然地形を有している。

■ 由緒ある文明交流の地


 鄭州は中国古代文明・華夏文明の発祥の地として、古来より文明交流の十字路とされてきた。

 夏、商、管、鄭、韓の各王朝が鄭州に都を置き、隋、唐、五代、宋、金、元、明、清の各王朝が州を設置してきた。鄭州の中心市街地には、3,600年前の商朝の城壁遺跡(鄭州商城)全長7キロメートルが今も残る。市内には、世界文化遺産が2項目15カ所あり(中国第5位)、国家重点文化遺産保護施設87カ所(中国第3位)、省レベル文化遺産保護施設97カ所、市レベル文化遺産保護施設208カ所、国家レベル無形文化遺産6カ所を有している。他にも、裴李崗文化遺跡(約8,000年前)、大河村遺跡(約5,000年前)、打虎亭漢墓、黄帝故里など、多くの古代文化遺跡が散在している。少林寺のある嵩山を始め、黄河文化公園などの自然文化景観も多くの観光客を引き付けている。鄭州の「国内観光客数」は中国第21位である。

 豊かな中原文化は、古代において子産、列子、韓非、杜甫など傑出した人物を輩出している。同市は現在なお「傑出文化人指数」で中国第7位と好成績を誇っている。

■ 鉄道が産んだ大都市


 鄭州駅は1904年に設立され、当初はプラットフォーム1つ、平屋2軒、線路4本しかなかった。1953年に鄭州駅が拡張され、鉄道のハブとなった。鉄道の利便性により1954年に河南省の省都が開封から鄭州へ移転された。これが、鄭州が「鉄道が産んだ都市」と言われる由縁である。

 鄭州は、東西南北交通の要衝として、航空・鉄道・道路からなる巨大な交通ハブとなっている。鄭州駅は中国鉄道の最大級の旅客中継駅で「中国鉄道の心臓」と呼ばれている。同市の「空港利便性」と「航空輸送」は共に全国第13位であり、「鉄道利便性」に至っては全国第1位を誇っている。(詳しくは【ランキング】中国で最も空港利便性が高い都市はどこか?を参照)。

 鄭州は一帯一路の重要な結節点都市でもある。2013年に鄭州は中部地区で初めてヨーロッパへ直通する貨物列車―中欧列車を開通させた。過去10年間でユーラシア40カ国の140以上の都市を繋げた中欧列車(中豫号)が、累計750万トンの貨物を輸送した。


中国都市総合発展指標2021
第19位


 鄭州は〈中国都市総合発展指標2021〉総合ランキング第19位であり、前年度より順位を3つ下げた。

 「社会」大項目は第14位で、前年度の順位を維持した。3つの中項目で「ステータス・ガバナンス」「伝承・交流」は第14位、「生活品質」は第21位だった。小項目で見ると、「人口資質」は第6位、「歴史遺産」は第10位と2項目がトップ10に入った。また、「文化娯楽」は第13位、「消費水準」は第18位と2項目がトップ20に入った。なお、「都市地位」「生活サービス」は第22位、「人的交流」「居住環境」は第28位、「社会マネジメント」は第39位であった。

 「経済」大項目は第17位で、前年度に比べ順位が1つ上がった。3つの中項目で「都市影響」は第14位、「経済品質」は第17位、「発展活力」は第19位で、3中項目のうちトップ10入りした項目はなかった。9つの小項目のうち、トップ10入りした項目はなかったものの、「経済規模」「開放度」「広域中枢機能」は第13位、「広域輻射力」は第14位、「イノベーション・起業」は第19位と、5項目がトップ20に入った。また、「経済構造」「都市圏」は第22位の2項目もトップ30に入った。なお、「ビジネス環境」は第33位、「経済効率」は第43位だった。

 「環境」大項目は第107位であった。3つの中項目のうち「空間構造」は第29位、「環境品質」は第163位、「自然生態」は第222位であった。9つの小項目のうち、「環境努力」は第12位、「都市インフラ」は第18位と、2項目がトップ20に入った。なお、「コンパクトシティ」は第29位、「交通ネットワーク」は第32位、「資源効率」は第102位、「自然災害」は第158位、「気候条件」は第187位、「水土賦存」は第210位、「汚染負荷」は第255位であった。


 〈中国中心都市総合発展指標2021〉について詳しくは、メガシティの時代:中国都市総合発展指標2021ランキングを参照。

 

CICI2016:第26位  |  CICI2017:第21位  |  CICI2018:第18位
CICI2019:第16位  |  CICI2020:第16位  |  CICI2021:第19位


■ ギリシャ一国に匹敵する経済規模


 鄭州は中原地区の経済中心地として、2022年のGDPは1兆2,935億元(約25.9兆円、1元=20円換算)に達し、中国第16位の経済規模を誇る。これは世界第54位のイラクのGDPを超え、世界第53位のギリシャのGDPに匹敵する規模である(詳しくは「【ランキング】世界で最も経済リカバリーの早い国はどこか? 中国で最も経済成長の早い都市はどこか?を参照)。

 金融・医療センターとしての機能も高く、鄭州の「金融輻射力」は中国第7位、「医療輻射力」は中国第9位となっている。鄭州には中国初の先物取引所と、中国初の空港経済区がある​。

鄭州は中国の主要な研究都市として、「科学技術輻射力」は中国第19位である。複数の国家重点大学が存在し、「高等教育輻射力」は中国第15位と高水準である。「大学学生数」と「高等教育教師数」はいずれも中国第3位である(詳しくは【ランキング】科学技術大国中国の研究開発拠点都市はどこか?)。

 中心都市としての鄭州は、外部から人々を吸引し成長している。人口の流出入を示す「流動人口(非戸籍常住人口)」では、河南省内17都市のうち16都市は、外へ人口が流出し、その規模は約2,012万人に達している。中でも、周口、信陽、駐馬店の3都市は、中国で最も人口が流出するトップ3都市であり、同3都市だけで約938万人が外部に流出している。これに対して鄭州は、流動人口が約363万人のプラスである。よって鄭州は中国第11位の人口流入都市となっている。

■ iPhone生産とEV産業クラスターの一大拠点


 鄭州は、世界最大のApple製品の生産基地として名高い。最近、EV生産にも力を入れている。

 鄭州はBYDの中高級車種の重要な生産基地であり、2023年11月、BYDの第600万台目のEVが鄭州で生産された(詳しくは【ランキング】自動車大国中国の生産拠点都市はどこか?を参照)。

 内陸都市でありながら、鄭州の「製造業輻射力」は中国第20位で高い(詳しくは【ランキング】中国で最も輸出力の高い都市はどこか?を参照)​。

■ エンタメ都市としての台頭


 鄭州のコンテンツ産業も盛んである。2021年、河南衛星テレビの春晩(旧正月を祝う中国の国民的年越し番組)には、ダンス番組「唐宮夜宴」が全国を席巻した。その後、同テレビ局の「端午の不思議な旅」や、水中ダンス番組「祈」も大ヒットした。

 「唐宮夜宴」は、河南博物院が所蔵する唐代の舞楽佣から着想を得たことで、河南博物院も注目を集め、多くの観光客が訪れている。

 エンタメ都市としても名を上げつつある鄭州は、「文化・スポーツ・娯楽輻射力」で中国第15位であり、「映画館・劇場消費指数」は中国第14位である(詳しくは【ランキング】世界で最も稼ぐ映画大国はどこか?を参照)。

■ 黒川紀章設計の市街地が魅力


 鄭州東部に建設中の150万人都市「鄭東新区」の設計には、日本を代表する建築家・黒川紀章氏の案が採用されている。「鄭東新区」の設計案は2003年に実施された国際設計コンペによって決定されたもので、黒川氏は計画面積1.5万ヘクタールのマスタープランとCBD地区の詳細設計を担当した。生態回廊や水路都市などの人間と自然との共生といった基本コンセプトが、同市の新市街地の魅力を形作っている。


南寧:ASEANへのゲートウェイ中心都市 【中国中心都市&都市圏発展指数2020】第33位

 フフホト市は、中国中心都市&都市圏発展指数2020の総合第33位にランクインした。同市は2019年度より順位を2つ上げている。

 中国中心都市&都市圏発展指数は、中国都市総合発展指標の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 南寧市は、ベトナムと国境を接する広西チワン族自治区の省都である。現在、7区、4県、1県級市を管轄し、総面積は22,100平方キロメートル(岐阜県の面積の約2倍、北海道の約4分の1程度)である。南寧市は、悠久の歴史を持ち、チワン族を中心とした多民族が暮らす都市である。2021年現在、常住人口は約883万人で中国では35位である。第7回国勢調査(最新)のデータによると、市の人口は漢民族が48.6%を占め、少数民族の人口は51.5%、そのうち、チワン族は48.7%を占めている。

 南寧市は、トンキン湾の港湾都市である北海市に隣接し、ベトナムの首都ハノイと陸路でつながるなど、ASEAN諸国と地理的距離が近い。このためASEAN諸国との交流拠点として重要な役割を担っている。地域内総生産は約5,121億元(約10.2兆円、1元=20円換算)で、中国では51位である。

 同市は、亜熱帯モンスーン気候に属し、一年中緑に囲まれていることから「緑城」とも称される。年間平均気温は約21.6度で、冬の最も寒い1月の平均気温は12.8度、夏の最も暑い7月と8月の平均気温は28.2度である。「気候快適度」は中国で32位、中心都市36都市の中では、3位という恵まれた環境にある。緑と花が溢れるまちづくりが進められ、都市の緑化率は約40%に達している。年間平均降水量は1304.2mm、平均相対湿度は79%で、高温多湿の気候が特徴である。温暖な気候は多くの農作物に恵みをもたらし、水稲は二期作が可能である。小豆の原産地としても知られる。

 同市は、2000年以上の歴史を有している。古代南寧は百越国の領地であったが、秦代には桂林郡に属し、漢の郁林郡としての管轄を経て、東晋が今の南寧市に晋興県を置いたのが、今日の南寧市の始まりとされている。唐の時代に邕(よう)州が設置され、これが今日の南寧の簡称の起源となった。清代には、広西省に属している。

 市周辺には龍虎山や起鳳山など名所が多く、カルスト地形が造り出す山水画のような風景が観光客を楽しませている。同市の「国内観光客」は中国で11位、「国内観光客収入」は同18位である。

 同市の「空港利便性」は中国で30位(【ランキング】中国で最も空港利便性が高い都市はどこか?を参照)、南寧呉圩国際空港は、ASEAN諸国へのゲートウェイ空港として利用されている。「陸路運輸指数」も同26位で、空・陸の交通機能のポジションは高い。

 石炭、マンガン、アルミニウム、タングステンなど60種類以上の鉱物資源が産出され、水資源も豊富である。こうした天然資源を生かし、アルミ産業、化学産業、パルプ・製紙産業などが盛んである。

 南寧市は、中国華南地域の中心都市として「金融輻射力」は中国で23位、「高等教育輻射力」は同26位、「医療輻射力」は同19位と全国トップ30にランクインしている(【レポート】新型コロナパンデミック:なぜ大都市医療能力はこれほど脆弱に?を参照)。特に、医療リソースは豊富であり、「医者数」は同28位、「三甲病院(最高等級病院)」は同22位である。

 南寧市は、ASEANとの物流、貿易の拠点として、その存在感は年々増している。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)も締結された現在、南寧市のポジションは、より重要となってきている。


〈中国中心都市&都市圏発展指数〉:【36中心都市】北京、上海、深圳、広州、成都、天津、杭州、重慶、南京、西安、寧波、武漢、青島、鄭州、長沙、廈門、済南、合肥、福州、瀋陽、大連、昆明、長春、ハルビン、貴陽、南昌、石家荘、南寧、太原、海口、ウルムチ、蘭州、フフホト、ラサ、西寧、銀川

中国中心都市&都市圏発展指数2020
中国中心都市&都市圏発展指数2019
中国中心都市&都市圏発展指数2018
中国中心都市指数2017

ウルムチ:シルクロードの交易拠点都市【中国中心都市&都市圏発展指数2020】第37位

 ウルムチ市は、「中国中心都市&都市圏発展指数2020」の総合第37位にランクインした。同市は2019年度より順位を3つ下げている。

 〈中国中心都市&都市圏発展指数〉は、〈中国都市総合発展指標〉の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 ウルムチ市は、新疆ウイグル自治区の省都で、中国北西部の重要な中心都市である。同市は、中国で最も海から遠い中心都市(海岸線から約2,500キロメートル)であるだけでなく、「世界で最も海から遠い都市」としてギネスにも記録されている。現在、同市は7つの区と1つの県を管轄し、総面積は13,800平方キロメートル(福島県と同程度)である。2021年現在、常住人口は約405万人で中国では125位にありながら、中央アジアでは大きな人口規模を誇る。GDPは前年比6.1%増の約3,692億元(約7.4兆円、1元=20円換算)で中国では77位である。

 同市は、天山山脈中部の北麓、ジュンガル盆地の南端に位置する。地形は起伏に富み、広大な山地が広がっている。山地が総面積の50%以上を占める山岳都市である。最高高度は天山山脈の普達峰の山頂で海抜5,445メートル、最低高度は海抜490.6メートルと、高低差が非常に大きい。

 同市は、大陸性乾燥気候に属している。最も暑い時期は7月と8月で、平均気温は25.7℃、最も寒い時期は1月で、平均気温は-15.2℃である。寒暖差が激しく、「気候快適度」は全国262位と低い。また、砂漠にも隣接しているため、砂嵐に悩まされ、大気質は非常に悪く、「空気質指数(AQI)」は全国273位である。中国の砂漠化や大気質について詳しくは、【コラム】黄砂襲来に草地を論ず 〜中国都市草地面積ランキング2019〜を参照されたい。

 ウルムチ市は、古代からシルクロード上の交易要所として栄え、多くの商人たちが訪れ、異文化が交差し、多様な文化が育まれてきた。市内には古い建造物や文化遺産が数多く残され、観光客にも人気が高い。市内では公共交通が整備され、「公共バス客数」では、全国1位の成績に輝いている。

 同市では、周辺の豊かな石油・天然ガスの油田に恵まれ、またパイプラインの整備などにより、石油・天然ガス関連産業は主要な産業となっている。石炭に関しても100億トン以上の埋蔵量を有し、「石炭の海に浮かぶ都市」とも呼ばれている。非鉄金属や希少な鉱物資源も豊富である。豊かな資源をベースに、鉄鋼産業も発展し、「中国都市鉄鋼産業輻射力2020」では、全国21位の成績を誇っている。

 同市は今も、中央アジア、西南アジア、ヨーロッパを結ぶ交通の要衝として、多くの幹線道路や鉄道が通っている。近年、中国政府が進める「一帯一路」政策で、ウルムチは交通と交易のハブとしても重視されている。「一帯一路」政策は、ユーラシア大陸を結ぶ新たな交通と交易のネットワークの構築を目的としており、ウルムチ市のより一層の発展が期待される。


中国中心都市&都市圏発展指数」:【36中心都市】北京、上海、深圳、広州、成都、天津、杭州、重慶、南京、西安、寧波、武漢、青島、鄭州、長沙、廈門、済南、合肥、福州、瀋陽、大連、昆明、長春、ハルビン、貴陽、南昌、石家荘、南寧、太原、海口、ウルムチ、蘭州、フフホト、ラサ、西寧、銀川

中国中心都市&都市圏発展指数2020
中国中心都市&都市圏発展指数2019
中国中心都市&都市圏発展指数2018
中国中心都市指数2017

蘭州:黄河沿いのシルクロード交易拠点都市 【中国中心都市&都市圏発展指数2020】第39位

 蘭州市は、中国中心都市&都市圏発展指数2020の総合第39位にランクインした。同市は2019年度より順位を2つ下げている。

 中国中心都市&都市圏発展指数は、中国都市総合発展指標の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 甘粛省の省都である蘭州市は、西北地域の中心都市、重要な産業拠点、広域交通ハブである。同市は、5つの区と3つの県を管轄し、総面積は13,100平方キロメートル(福島県と同程度)である。2021年現在、常住人口は約438万人で中国では114位、GDPは前年比6.1%増の約3,231億元(約6.5兆円、1元=20円換算)で、中国では95位である。

 同市は、黄河中流に位置し、青海チベット高原から黄土高原への移行地帯にあり、海抜は約1,520メートルである。大陸性気候に属し、年間平均気温は10.3℃、避暑地としても有名である。年間平均日照時間は2,374時間、無霜期は172日、年間平均降水量は約300ミリメートルである。

 「シルクロードの真珠」と呼ばれる蘭州市は、古くから交通の要衝として交易拠点であると同時に軍事拠点でもあった。紀元前2世紀に張騫が漢王朝の外交使節団として中央アジアの国々を訪問したことを契機に、ユーラシア大陸を横断し、東西を結ぶシルクロードが開かれた。黄河沿いの蘭州は、シルクロードの主要商業港として、中国と西域の経済文化交流の一大拠点になった。その足跡は、『西遊記』などにも残されている。

 同市内を流れる黄河のほとりには、蘭州水車などの観光スポットが立ち並ぶ。黄河にかかる中山鉄橋は1909年に建設された中国最初の鉄橋で、「黄河第一橋」と呼ばれている。

 古来より交通の要衝であった蘭州の、ハブとしての地位は現代も変わらない。陸路では、西北地域で最も密集した鉄道網を持ち、「一帯一路」をつなぐハブとなっている。「中国都市鉄道密度」は全国で24位、「中国都市鉄道利便性」は同34位である。空路では、蘭州中川国際空港は西北地域の重要なハブ港であり、第3期拡張プロジェクトが2023年中の完成に向けて建設が進行している。「中国都市航空運輸量」は全国で24位、「中国都市空港利便性」は同29位(【ランキング】中国で最も空港利便性が高い都市はどこか?〜2020年中国都市空港利便性ランキング)である。

 新中国建国後、蘭州は重要な産業基地に位置づけられ、第一次五カ年計画、第二次五カ年計画、三銭建設の時代に産業基盤整備が行われた。蘭州周辺地域は石油資源埋蔵量が豊富であることから、中国の重要な石油化学基地となっている。「中国都市石油・石炭加工業輻射力」は全国で15位である。また、蘭州ハイテク産業開発区と蘭州経済技術開発区という国家レベルの開発区を有し、2012年には、西北地域における初の国家級新区である蘭州新区が承認された。

 蘭州大学を代表とする30の大学と1,200を超える各種科学研究機関に、国をリードする高度人材が多く集まっている。蘭州市の総合科学技術力は中国都市の上位にある。「中国都市高等教育輻射力」においては全国で20位と、西北地域では最も順位が高い。

 2,200年以上の歴史を有する同市には、万里の長城を含む多くの文化遺産がある。食文化でも「蘭州ラーメン」は世界に名高い。同市で発刊される『読者』は、中国で最も売れた雑誌として今も絶大な発信力を持っている。

 蘭州市は、「一帯一路」建設に即して新時代の交易拠点として発展を遂げることができるか、今後も要注目である。


〈中国中心都市&都市圏発展指数〉:【36中心都市】北京、上海、深圳、広州、成都、天津、杭州、重慶、南京、西安、寧波、武漢、青島、鄭州、長沙、廈門、済南、合肥、福州、瀋陽、大連、昆明、長春、ハルビン、貴陽、南昌、石家荘、南寧、太原、海口、ウルムチ、蘭州、フフホト、ラサ、西寧、銀川

中国中心都市&都市圏発展指数2020
中国中心都市&都市圏発展指数2019
中国中心都市&都市圏発展指数2018
中国中心都市指数2017

フフホト: 農耕文化と遊牧文化が混じり合う草原の中心都市 【中国中心都市&都市圏発展指数2020】第46位

 フフホト市は、中国中心都市&都市圏発展指数2020の総合第46位にランクインした。同市は2019年度より順位を1つ上げている。

 中国中心都市&都市圏発展指数は、中国都市総合発展指標の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 フフホト市は、内モンゴル自治区の省都であり、中国北部地域における重要な中心都市である。フフホト市は自然環境が大変豊かであり、「国家森林都市」にも認定されている。総面積は、17,200平方キロメートル(岩手県と同程度)である。市郊外の北部に連なる陰山山脈には大草原が広がり、牧草地は9,549平方キロメートルにも及び、市面積の半分以上を占めている。大草原には、羊や馬が放牧され、モンゴル族のテント「パオ」が観光客の人気を呼んでいる。2021年現在、常住人口は約350万人で中国では145位、地域内総生産は約3,121億元(約6.2兆円、1元=20円換算)で、中国では99位である。

 同市は、典型的な大陸性気候で、四季の気候変化が顕著であり、年間の気温差も、日中の気温差も大きい。冬は長く、特に1月が最寒で、最低気温は-25~-45℃にも達する。降水量は少なく不均一である。

 フフホトは、2000年以上の歴史を有し、遊牧文明と農耕文明の交易拠点として栄えてきた。同市は、黄土高原と内モンゴル高原の間に位置し、農耕地域と牧畜地域との境界に立地している。市内の南部には農業風景、北部には草原風景が広がり、鮮明な対照をなしている。

 清朝時代は、「綏遠城」と呼ばれていた。1954年、内モンゴル自治区が成立し、フフホトという古来よりの名称が復活し、内モンゴル自治区の省都となった。現在、モンゴル族、漢族、満族、回族、朝鮮族など36民族が集まり住んでいる。

 民族の特色が豊かなフフホトは、観光都市としても名高い。壮大な自然の風景、色彩豊かな民族文化、歴史的なモニュメント、華麗なモンゴルの歌と踊り、モンゴル相撲などが観光客を楽しませている。古代には召城と呼ばれ、召廟(モンゴル族ラマ教の寺院)が多くあったことで知られている。現在、市内には大小50余りの寺院があり、南東部には絢爛豪華な「五重塔」、「硅竹寺」、「銀仏寺」、「北門モスク」、「光華寺」などがある。

 寺院だけでなく市内には、モンゴル族の象徴的な飾りを付けた建物や回族によるイスラム様式の建物が数多く残されている。現在では、歴史的地区の保護や修築によって都市景観の保存をめざした動きが始まっている。

 フフホトは「酪農の都」としても知られ、「伊利」と「蒙牛」という二大ブランドを有し、乳製品が一大産業として育てられている。

 周辺の豊かな石炭資源をベースに市内には多くの発電所が建設されている。発電量は全国24位、中心都市の中では9位を誇り、その電力は周辺都市へ送電されている。電力多消費のデータセンターなども多数誘致している。

 


〈中国中心都市&都市圏発展指数〉:【36中心都市】北京、上海、深圳、広州、成都、天津、杭州、重慶、南京、西安、寧波、武漢、青島、鄭州、長沙、廈門、済南、合肥、福州、瀋陽、大連、昆明、長春、ハルビン、貴陽、南昌、石家荘、南寧、太原、海口、ウルムチ、蘭州、フフホト、ラサ、西寧、銀川

中国中心都市&都市圏発展指数2020
中国中心都市&都市圏発展指数2019
中国中心都市&都市圏発展指数2018
中国中心都市指数2017

ラサ:チベット高原にある小さな中心都市 【中国中心都市&都市圏発展指数2020】第51位

 フフホト市は、中国中心都市&都市圏発展指数2020の総合第51位にランクインした。同市は2019年度より順位を2つ上げている。

 中国中心都市&都市圏発展指数は、中国都市総合発展指標の派生指数として、4大直轄市、22省都、5自治区首府、5計画単列市からなる36の中心都市の評価に特化したものである。同指数は、これら中心都市を、全国297の地級市以上の都市の中で評価し、10大項目と30の小項目、116組の指標からなる。包括的かつ詳細に、中国中心都市の高品質発展を総合評価するシステムである。

 ラサとは、チベット語で「聖地」を意味する。ラサ市は、チベット自治区の省都であり、同自治区の政治、経済、文化、科学の中心地であるとともに、チベット仏教の聖地でもある。同市は、中国南西部、ヒマラヤ山脈の北、チベット高原の中央にあり、ヤルン・ツァンポ川の支流であるラサ川中流域谷間の平原に位置する。平均標高は3,658メートル、世界で最も標高の高い都市の一つに数えられる。

 ラサの気候は温帯高原気候に属し、冬は長く、夏は涼しく、最高気温は28℃、最低気温は-14℃、年間平均気温は約8℃であり、昼夜の温度差は大きい。新鮮な空気と豊富な日照量に恵まれ、年間日照時間が3,000時間を超えることから、「サンシャインシティ」とも呼ばれている。年間平均降水量は200〜510mmで、一般に6〜9月に集中的に降り、乾季と雨季がはっきりしている。

 市の総面積は2万9,518平方キロメートル(岩手県の約2倍程度)で、そのうち都市部は210平方キロメートル、既成市街地は50平方キロメートルである。現在、3区5郡を管轄している。常住人口は約87万人で中国では281位であり、最も人口規模が小さい中心都市である。ラサには、チベット族、漢族、回族など38の民族が暮らしており、そのうち8割弱をチベット族をはじめとする少数民族が占めている。2021年におけるラサの地域内総生産は、前年比6.7%増の741.8億元(約1.5兆円、1元=20円換算)で、中国では260位である。

 ラサの歴史は古く、7世紀初め、ソンツェン・ガンポ王によってチベット初の統一王国・吐蕃(とばん)の首都として建設されたのが、都市としての始まりである。9世紀に吐蕃国が崩壊した後も、ラサの宗教的な意義は変わらず、現在においても、チベット仏教の中心地となっている。

 その中心となっているのが、「ポタラ宮」である。ポタラ宮は、ソンツェン・ガンポ王とブリクティ王女との結婚を記念して建設されたのが始まりとされ、チベット仏教の象徴である。1649年から1959年までは、ダライ・ラマの冬の宮殿として使用され、それ以降は博物館として公開されている。ポタラ宮殿は、単体建築物としては世界最大級であり、チベットの様式と中原の様式を融合させた独特の建築様式で知られている。ポタラ宮と大昭寺(ジョカン寺)を中心とする1.3平方キロメートルの古代建築群は、1994年にユネスコ世界遺産に登録されている。

 ラサは自然資源に恵まれた都市である。市内における河川の年間平均流量は340億立方メートル、湖の貯水量は200億立方メートル存在し、地下水も豊富で、周辺の氷河や永久雪渓には、大量の固形水が貯留されている。一人当たりの水資源量は、中国の平均レベルを大きく上回り全国6位の規模を誇る。市内には、50種類以上の鉱物資源を有し、コランダム、カオリン、天然硫黄の埋蔵量は中国トップクラスである。冬虫夏草に代表される多様な動植物性薬草も豊富である。

 ラサの水と大気はとても澄んでおり、都市上空の二酸化炭素濃度は1立方メートルあたり0.1ミリグラム以下と、国の基準値を大幅に下回っている。「二酸化炭素排出量」も中国で下から29位と、中心都市では最も二酸化炭素の排出量が少ない。大気中の「PM2.5」は、2021年は8.95マイクログラム・パー・立方メートルであり、中国では6位の清らかさとなっている。なお、同上位5都市もすべてチベット自治区に属する都市である。ラサ川の水には、鉛、亜鉛、銅などの微量金属元素は含まれておらず、川岸の村や町からの汚染もないため、非常に澄んだ水が市内を流れている。

 ラサは、地質景観、翡翠氷河、草原風景、高原湖、気象地熱雲、湿地林など、観光地としても楽しめる自然資源も多い。また、市内には大小200以上の寺院があり、著名な観光スポットが多数存在している。市内に国家級自然保護区2カ所、国家級森林公園2カ所がある。他にも、ラサ雪ドン祭、ジョカン・チベット・オペラ、ラサ・ランマなどの76の無形文化遺産があり、市周辺には、医療効果のある温泉が豊富に存在している。

 ラサは長らく外部との交通アクセスが乏しく、険しい道路や空路に頼る秘境としての性格が強かったが、2006年7月青海省西寧とラサを結ぶ高原鉄道「青蔵鉄道(せいぞうてつどう)」が開通したことにより、都市化が大きく進展した。青蔵鉄道は、総延長1,944キロメートルで世界最高のチベット高原を走る世界でも珍しい高地の鉄道であり、旅客は壮大な車窓の風景を楽しむことができる。交通アクセスが改善した結果、人口流入が加速し、2011年から2021年の年平均人口増加率は4.7%となり、中国で6番目の人口増加都市で、中心都市では、深圳、西安に続いて3番目に人口増加が多い都市となっている。2021年6月にはラサと同自治区内のニンティ市を結ぶ「ラサ・ニンティ鉄道」も開通し、チベット自治区におけるラサの中心的な存在はさらに強まる。

 こうした自然環境や文化遺産に恵まれたラサは、広域交通の整備により、観光都市としても大変な人気を博している。毎年、国内外から大勢の観光客が訪れている。

 


〈中国中心都市&都市圏発展指数〉:【36中心都市】北京、上海、深圳、広州、成都、天津、杭州、重慶、南京、西安、寧波、武漢、青島、鄭州、長沙、廈門、済南、合肥、福州、瀋陽、大連、昆明、長春、ハルビン、貴陽、南昌、石家荘、南寧、太原、海口、ウルムチ、蘭州、フフホト、ラサ、西寧、銀川

中国中心都市&都市圏発展指数2020
中国中心都市&都市圏発展指数2019
中国中心都市&都市圏発展指数2018
中国中心都市指数2017